異色キャリア美容師4名に聞く、仕事を辞めて美容の道に進んだ理由

幼稚園教諭から憧れていた職に! 前職で得たキッズのトリセツとは? ―Luxe HAIR PARTNER鬼生田奈美さん

 

 

――幼稚園教諭になった経緯を教えてください。

 

叔母が美容師だったこともあり、実は小さいころから美容師をやってみたいなと思っていたんです。また、高校時代に自分で髪を切ったとき、なんとなくいい感じに仕上がり、「ヘアカットって楽しい」とも感じていました。

 

しかし、私の高校時代はバブル崩壊後。進路を考えるにあたって美容学校の資料も集めていたのですが、「大学を出たほうが、潰しが利く」という親のすすめもあり、短大に進学しました。卒業後の職業として幼稚園教諭を選んだのは、近所の小さい子たちの面倒を見ることが好きだったことや、幼稚園時代の先生に対する憧れがあったからです。

 

幼稚園教諭の仕事は充実していました。最初は自分のことで手いっぱいな子どもたちが、運動会や音楽会を通して、一つのテーマにクラス全体が向かっていくようになり、自然とできない子をみんなが助ける心が育まれていったり。4〜6歳の子どもたちは成長が早く、その様子を見守るのはとてもやりがいがありました。ただ、体力的にしんどい現場でもあり、体調を崩すことも多かったように思います。

 

幼稚園教諭時代の鬼生田さん

 

――美容師になろうと思った理由とは?

 

幼稚園教諭として働きながらも、ずっとどこかで「美容師やりたかった」という気持ちがあったんです。しかし、世間的に「とりあえず3年は働く」という考え方がありますよね。当時は私自身も3年は幼稚園教諭を続けようと考えていました。

 

何か大きなきっかけがあったわけではありませんが、幼稚園教諭となって2年目の終わりごろから美容師への転職を具体的に考えるようになりました。同僚の髪を切ってあげたときに、すごく喜んでもらえたことが、背中を押すきっかけの一つになったのだと思います。

 

ただ、両親は大反対。安定した職業から転職するので、反対するのも当然ですよね。それでもめげず専門学校の情報を集めたり、美容室の面接を受けたりと行動し続けていたら、最終的には両親も私の意思を尊重して納得してくれました。それまで体調を崩していた様子を見ていて、心配もしてくれていたのだと思います。また、後から聞いた話なのですが、実は親も美容師になりたいと思っていたことがあったそう。それも、納得してくれた理由のひとつかもしれません。

 

――別のキャリアを歩んできたことで苦労したことはありますか?

 

24歳で幼稚園教諭をやめた後、美容室で働きながら通信制の学校に通おうと思い就職活動をしたのですが、なかなか受からず大変でした。

 

「部下が上司より年上だと、接しづらい」というのが、主な理由でした。年下の人から教わることになるのは当たり前だと思って美容師を目指していたのですが、10軒ぐらい受けてもなかなかその思いが通じず…。一度、3カ月ほど就職活動から離れることにしました。「帰ったらしっかり切り替える」と決めた上で、気分転換もかねて岩手県へ行き、スノーボードの大会出場を目標に練習。実際に大会へ出場しました。

 

就職活動を再開したのは、翌年の4月。タイミングがあったのか、再開してすぐに、北新地のセットサロンへの就職が決まりました。面接の帰りに「サロンスタッフみんなが『あなたがいい』と言っている」とサロンから電話を受け、その言葉がとてもうれしくて、その場で就職を決めました。

 

サロンで働きながら通信制の学校で学ぶのは、忙しくはありましたが、やはり理解度などで大きなプラスだったと思います。また、セットサロンの経験はセットの基本や日本髪、着付けの勉強にもなりました。セットから学べたことで、スタイルのバランスなどの見方が身についたと感じています。

 

一方で、セットサロンではお客さまの髪をカットする機会がほとんどありませんでした。セミナーなどで自主的に学んではいたものの、お客さまの髪となると、やはり練習とは異なります。はじめてお客さまの髪をカットしたときはものすごく緊張して、手が震えていた記憶があります。カット後に知ったのですが、そのお客さまは知人の妹さんだったんです。その後サロンは移転しましたが、彼女は今でもヘアカットにお越しくださっています。

 

――美容師を目指すまでに経験したことは、仕事に活きていますか?

 

「Luxe HAIR PARTNER」はキッズのお客さまが多いサロン。子どもの扱い方や集中力のもたせ方などで、幼稚園教諭時代のスキルが活かせているかなと思います。

 

子どもはひとつのことに集中できる時間が短いので、次々と興味を引くものを持っていかないと、その場所に留まり続けてもらうことも難しい。そこで、おもちゃや動画を使って楽しませることに徹したり、お話ができる子には常に問いかけたりと、その子に合わせて工夫しながら子どもの集中力がもつようにしています。また、施術の時間が早ければ早いほどいいので、子どもが楽しんでいるうちに手早くカットします。

 

「人を育てる」「教える」という部分でも、共通する部分があります。

 

子どもに教えるのも、スタッフに教えるのも、反応を待つことが大切だと思うんです。待つことって意外に難しいと思うのですが、人にはそれぞれペースがあります。そのペースに合わせて教えていかなければいけないので、そのあたりは活きているなと感じます。

 

――別のキャリアを歩んできたからこそ感じる「美容師」の魅力とは?

 

お客さまのチャレンジやワクワクのお手伝いができたときに、幸福感を味わえること。自分の好きなことをしている中で、やったことに対して、すごく喜んでもらえるところや、お客さまの人生の節目にスタイルを任せていただき、貢献できるのは、喜びややりがいを感じます。

 

美容師になるまで大変だったこともありましたが、「苦労した」とは思っていません。目の前のことに取り組んで、できるようになったら次もクリアしてと、必死にやってきたので、苦労した感覚がそこまでないんです。美容師はずっと追いかけてきた仕事。自分の好きなことをやりながら大きなやりがいもある、本当にいい職業だなあと思っています。

 

プロフィール
Luxe HAIR PARTNER
店長/鬼生田 奈美(おにうだ なみ)

短大卒業後、4年間幼稚園教諭として働く。25歳のとき、将来の夢の一つだった美容師を目指すことに。通信制の美容学校に入学し、卒業後はセットサロンやカラーリング専門店、ブライダルのヘアメイクを経験。31歳のときにチカラコーポレーションに入社。「Luxe HAIR PARTNER」にて店長を経て、現在はゼネラルマネージャーを務める。

 

 

>「地球の歩き方」を手がける編集プロダクションを経験! MINX桜井智美さんが美容師を目指すまで

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