異色キャリア美容師4名に聞く、仕事を辞めて美容の道に進んだ理由

元土木作業員!? 年功序列の縦社会を経験したからこその、新たな選択―SUNVALLEY忠本功さん

 

 

――土木作業員になった経緯を教えてください。

 

先輩の紹介で中学生のころから建設会社でアルバイトをしていました。中学生で、1日6,000〜7,000円稼げる仕事ってあんまりないですよね。稼いだお金で遊んだり、年上の方たちが仕事終わりにご飯連れて行ってくれたりしたのが楽しくて。「高校ぐらい出なさい」っていう親の反対を押し切り、中卒でアルバイトをしていた建設会社に就職しました。

 

しかし、社会人になってからは中学生のバイトだったころにはなかった厳しさを教わりました。上下関係を理解していなくて、注意されたときに舌打ちしちゃったんです。それで、ちょっと歩けなくなるくらい殴られたり(笑)。これは後々聞いたのですが、裏で建設会社の社長に親が「学校に行かないぶん、社会人として育てあげてほしい」みたいなことを言っていたらしいんです。厳しくされたのはそういう理由もあったのかもしれません。

 

――美容師になろうと思った理由とは?

 

美容師になろうかなと思いじめたのは、18〜19歳のとき。当時ちょうど「ビューティフルライフ」が放送していました。僕、母が美容師だったこともあって、それまで美容師は女性がやる仕事だと思っていたんです。小さいときはどこを見ても女性の美容師が多かったし、男社会で仕事をしていたので、「美容師はなよった男がやる仕事だ」という感覚でした。

 

でも、ドラマで働く美容師は華やかな世界ですごく輝いていて、憧れを持ちました。

 

さらに建設会社の親方から、「男社会をうまく生きていくのに必要なずる賢さがない。バカ正直過ぎる」と言われたんです。この一言で、建設会社を辞め、美容師を目指すことに決めました。

 

――別のキャリアを歩んできたことで苦労したことはありますか?

 

20か21歳のころに、母親の紹介で千葉県の美容室で働いたのですが、なかなか馴染めませんでした。土木って、力がすべてで、年齢が絶対の縦社会なんです。でも、千葉県の美容室で働きはじめたとき、急に年下の子にタメ口をされたり、年下のひょろひょろしたスタッフに指示されたりして、イラっとしていました。今思えばくだらないプライドなんですが、最初はそれが邪魔して馴染めず、1年はギクシャクしました。今考えると、一緒に働いていたスタッフたちも、気を遣いながら接してくれていたと思います。

 

――これまでの経験で仕事に活きていることは何ですか?

 

建設業に携わってきたので、これまでのサロンで、何かが壊れたり、修理が必要になったら、自分のところに一番にくるんです(笑)。

 

例えば、シャンプー台の排水が詰まったときに、シャンプー台を分解して直したり、「フロントに両開きの扉をつけたい」と言われたときに、ホームセンターに行って、材料買って取り付けたりしていました。

 

また、airの中途面接のとき、自分も含めて4〜5人受験者がいたのですが、自分だけ受かりました。あとになって聞くと、千葉で働いた4年半遅刻がなかったことや、千葉のサロンで4年間下のスタッフが入ってこない中続けてきた忍耐強さが評価されたそうです。

 

 

――別のキャリアを歩んできたからこそ感じる「美容師」の魅力とは?

 

生活面では、頑張ったら頑張っただけ、自分に返ってくるところ。自分の頑張り次第で生活を変えられるのは魅力です。

 

仕事面では、お客さまの人生の節目に携わる機会が多いこと。 

 

例えば学生時代から担当して、結婚して、子どもが生まれたら、その子どもも一緒に連れてきてって長くお付き合いできます。それに毎回お客さまの反応が返ってくるので結果がわかりやすくて楽しいです。お客さま人生の節目に髪を作り、一生関わり続けられるのはうれしいです。

 

プロフィール
SUNVALLEY
店長/忠本 功(ただもと いさお)

山梨県出身。中学卒業後、建設会社に就職し、下水管工事に従事。実家の美容室の拡張にともない退職。山梨県美容専門学校の通信課程で学びながら、山梨、千葉で経験を積んだのち、airに転職。渋谷謙太郎氏の専属アシスタントとして活躍。スタイリストデビュー後は、サロンワークのほか業界誌やファッション誌の撮影でも成果を上げる。大病で一時入院するも復帰し、2018年5月からはSUNVALLEYで理想のサロンづくりに励んでいる。

 

 

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