JHAグランプリ受賞! 「Double」根本貴司さんに聞く美容師さんとコンテストの関係

グランプリ作品は粘った先に偶然生まれた

 

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-2007年に「ジャパンへアドレッシングアワーズ」の新人賞を穫ってから、2013年に公募部門のライジングスター賞、2014年に準グランプリ。そして、とうとう2015年にグランプリ受賞されています。

 

ありがとうございます。ただ、グランプリを取る・取らないに関係なく、「純粋に新しくていいものをつくりたい、見ていてドキッとするものをつくりたい」と思う気持ちはずっと消えていません。それがベースになっているのです。最初から見たことないものをつくりたいという動機がありましたから。

 

-作品をつくる際は、「ジャパンヘアドレッシングアワーズ」を意識してつくるんですか?

 

頭の片隅にはありますね。「ジャパンへアドレッシングアワーズ」って、通常のコンテストのように、その場で作品をつくるわけでも、コンテストのために作品をつくるわけじゃないんです。美容専門誌に年間で10作品以上掲載された美容師だけがノミネートされて、その中から4作品を自分で選んで応募するんです。

 

でもコンテストの『傾向と対策』を考慮したうえでつくるわけじゃないですよ。まずは雑誌の編集者から指定されたテーマがあって、そこに僕なりのこだわりやそのときにうずまいている新しさを入れ込んで作品をクリエイションしていく。作品というのは、その結果なんですよね。

 

-グランプリ作品のテーマを教えてください。

 

そのときは、国をテーマにした作品をつくりました。エストニアですね。ちょっと影というか、憂いがあっていいなと思って、自分で決めたんですよね。

 

-今回、グランプリを受賞した作品は、ほかの作品や従来のグランプリ作品と比べて、すごくナチュラルなスタイルに見えました。

 

普通っぽい? そうかもしれないですね。2013年のアプリケーションを取った作品もものすごくシンプルでカラーがオレンジのスタイルだったんです。衣裳もないので要素が少ない。もちろん、自分ではいいと思っているんですよ。トーンの新しさだったり、毛流れの新しさだったり。迫力があればいいっていうものじゃないし、似合っているのが絶対条件だと思っているので、現実にあるようなスタイルなんだけれども、でも、ちょっとはみ出している。そのさじ加減が自分の特色なんだと意識していますね。

 

グランプリの作品も、一見、普通なんだけど、表情だったり、顔にかかる影、髪の毛だったりをものすごくこだわりました。でも、完成されすぎてもワザとらしく見えてしまうので、絶対的に似合ってはいるけど、どこかに不雑味を残したというか…。でも本当は時間がなくていっぱいいっぱいだったんですけどね。

 

あとは、一枚の絵として、身体がキレイに見えるかとか、空間の使い方、光も、撮影時にカメラマンさんとセッションしながら作り上げていきましたね。首から上だけの勝負ですからね。

 

-ノミネートされたとき、グランプリを受賞できる自信はありましたか?

 

いやいや、全く思っていなかったです。美容師だったらみんなそうだと思うのですが、どんな作品でも、何かしらの反省があるんですよね。どうして、こうしちゃったんだろうとか、もう少しこうすればよかったかなとか。常に反省しきりですね。でも、そういうのがないと進歩していかないんだとも思います。もちろん、ある程度のレベルまでは経験でカバーできますが、そこから先に進めないんですよね。雑誌が出てからも、写真を見ては反省しています。

 

でも、あきらめずに粘っていたら、予想外の動きがでて、そこから偶然にものすごくいいものが生み出されるってこともありますね。グランプリの作品をつくったときも大変だったんですよ。最初は天窓のあるスタジオを使って、夏っぽい開放的な光の下で撮影するはずだったのに、天窓が曇りガラスで、しかもその日は曇っていたんですよ。それで仕方なく、途中までストロボでやっていたんですが、どうしてもしっくりこなくて。そしたら、偶然、光が出てきて。「今だ!」って、急遽、ロケになりました。そのときに太陽の光ってすごいなぁと改めて思い知らされましたね。

 

-そういう苦労を経て、グランプリを受賞した感想を教えてください

 

ものすごくビックリしました。いつも新しいものをつくりたい、上手くなりたいと思っていたので、それを評価してもらえたことは、本当にうれしかったです。2014年の準グランプリからの2015年が大賞だったのでそれはもうひとしおでした。(笑)前年の悔しさもありましたから、表彰台の景色が違って見えました。

 

>グランプリを受賞した後のキャリア

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