カンタロウさん、なんで弟子を育てているんですか? ――古くて新しい人材育成の可能性

 

大阪、東京、シンガポール、ロンドン、香港。各国の大都市でそれぞれ独特の存在感を放つ『LIM』。サロン全体を牽引する統括ディレクターのカンタロウさんが、昨年よりアシスタントとはまた異なる立場の「弟子」を育てているそうです。美容の世界は師弟制度こそ本来の教育のあり方だとはよく言いますが、この21世紀になぜまた師弟制度というかたちを選んだのでしょうか。というか、そもそも弟子って何!? 

 


 

そんなわけで今年7月には2人目の弟子がつくというカンタロウさんに、その真意をうかがいました。弟子をとる、弟子になる。両者にとって相当の覚悟が必要なこの関係性の先にカンタロウさんが見ている未来とは? 最終ページには初弟子、慶志郎さんのコメントも!

 

同じ空間、同じリズムで過ごすことで思考の全部を目撃させる

 

-昨年5月から弟子をとって育てているとうかがっています。そもそも弟子って……どういうことですか?

 

LIM所属のアシスタントではなく、僕が個人的に採用し、責任を持って売れっ子スタイリストになるための教育をする。正真正銘の弟子であり、付き人のような存在です。

 

大阪、東京でのサロンワークではメインアシスタントとしてカンタロウについてもらいます。その他にスケジュールの管理、身の回りの世話、運転手など、サロンワーク外のカンタロウの仕事のフォローをしてもらっています。そのため弟子は我が家に住み込んでもらい、基本的には無給。必要なお金は「お小遣い」として渡しています。弟子期間はアシスタントである2年間と、LIM内でJr.スタイリストデビューとして働く2年間の約4年間と定めています。

 

-住み込みに、お小遣い制! まさに昔ながらの弟子そのものですね。

 

住み込みにさせたのは、カンタロウと同じ空間で過ごし、同じリズムで生活することで、カンタロウが日頃から何を考え、どういったプロセスで答えを出しているのか。そういった思考そのものを、弟子に体感してもらおうというねらいからです。

 

美容師はカットなどの「技術」を教えてほしいと考えますが、ある程度のベーシックを身につけたら、あとは自分で深めたり、進化させていくものだと思うんです。なので技術以上に人間性の部分を伝えていくことこそが大事なんじゃないかと考えているからです。

 

-お小遣い制に関しては、どのような理由からですか?

 

働けば当然の報酬としてもらえる「給与」というかたちにしなかったのは、「近くで仕事を見られること」や「考え方や技術を教わること」、また「ブレーンを紹介してもらえること」などを、もっとも大きな「報酬」と考えられる若者もいるんじゃないかと考えたからです。そういったものに価値を感じ、給与がなくても手に入れたいという強い覚悟を持って、「一流の美容師になりたい!」と強く思う人材を弟子にしたかったからえす。

 

とはいえ、このプロジェクトはかなり実験的なことです。カンタロウの弟子になるために、まずは本人が自ら両親を説得し、その上で僕もご両親に会いにいって、先のような条件や事情を説明し、納得してもらった上で決定となりました。

 

-カンタロウさんは日本にいないことも多いですよね。技術的なレッスンはどのようにしているのですか?

 

さすがに毎回海外に連れていくわけにはいかないですからね。ベーシックな技術はLIMのレッスン会に参加し、LIM規定のテストを受けて、アシスタントと同様に技術を習得してもらいます。それ以外に僕からも課題を与え、クリアできるように指導しています。

 

具体的に僕からの課題は、毎週木曜日は1日中モデルハントをして将来のお客さまをつくること。毎週日曜日の夜18時からははクリエイティブな活動ができる美容師になるための練習。また自分が日本にいるときには、毎週金曜日の朝にカンタロウの技術を伝えるカットレッスンを行っています。

 

付き人としての仕事や雑用もあるので、ほぼ休みはなし。普通のアシスタントと比べると、時間的なことだけを見てもかなり厳しいと思いますよ。

 

 

>カンタロウさんが語る「弟子制度」のねらい

 

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