スタッフとの距離感は「木の上に立って見る」くらいがちょうどいい。 改善を繰り返してきた内部育成の方法とは? ―10年サロン「S.HAIR SALON」のブランディングストーリー後編

2010年〜2013年 移転変革期

スタッフが増え、人間関係に変化が。立て続けに4人が離職し…

 

 

2009年ころから、外苑前のお店ではキャパシティに限界を感じることも増えていました。当時の店の規模はスタッフ7人だと少し狭く感じるほど。サロンが混み合い、お客さまも予約が取れなくなってきていたこともあり、2010年に現在の表参道の店に移転したんです。外苑前のお店は、セット面が5席、シャンプー台が2席。表参道店はセット面が8席、シャンプー台が4席なので、2倍弱まで広げたかたちです。スタッフが10人以上いても問題ない広さになりました。

 

ただ、やっぱりスタッフの人数が増えると、自分と距離が近い子もいれば遠い子もいるし、仲よしのグループもできてくる。移転後変化したその状況を解決するために、コミュニケーションの方法を変えないといけなかったのですが、僕自身がうまく変えることができず、結果的に伸び悩む子も出てきてしまいました。

 

スタッフたちもそうした店の状況を見ながら、自分の人生について考えたようです。結婚・出産のためだったり、オープニングスタッフが自分で小さなサロンを立ち上げたり、実家のほうで美容師をやることを決めたり。理由はさまざまですが、スタイリストが4人も続けて店を離れることになりました。売上も、30パーセントほど下がりました。

 

 

もちろん、誰かが店をやめる影響は大きいです。でも一方で、僕はある程度の人の出入りは大切だとも考えています。川や池の水とも似ていて、やっぱりどこかで淀まないよう流動しているほうが、場にいい影響もあると思うんです。当時店をやめていった人たちの事情を聞いても、「それはそうしたほうがいいね」と素直に背中を押したくなるものばかりでした。彼らにとって成長できる選択だと納得できたんです。

 

一緒に働けなくなるのは寂しかったけど、彼らが次の目標に向けて挑戦しようとする姿には頼もしさを感じました。経験することはすてきなことだから、「がんばれよ」って。僕は僕で、店に残ってくれている人たちを大切にできるよう、がんばろうと思えました。

 

>もっと先を目指す、「Go the Extra Mile」の精神とは?

 

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