追いつけないほど遠い背中を見せてもらって、覚悟が決まった。Of HAIR 樋口夏希さん─天職WOMAN─

オーナーとの差に愕然。改めて仕事と向き合った半年間

 

 

先輩からの厳しい指導や、仕事の忙しさで辛くなったことはないのですが、働き始めてから一度だけ、心が折れたことがありました。

Of HAIRでは、デビュー前に社長の古里(オサムさん)に専属でつく、いわば修行期間があるんです。今は少しやり方が変わっていますが、当時は、サロンワークはもちろん外部仕事も全て帯同して、数カ月間朝から晩まで社長の仕事を間近で見ることができました。

コスメブランドの打ち合わせに社長業、現場でのサロンワークと、ハードなスケジュールを淡々とこなす姿を近くで見て圧倒されました。そして何より感動したのは、社長とお客さまとの信頼関係の強さです。

 

 

社長は、どれだけハードな毎日でも、お客さまに対しての気遣いを絶対に忘れないんですよ。例えば、雨の日だったらカウンセリングの前に「雨の中、来てくださってありがとうございます」と必ず一言添えたり。

何十年もサロンワークをする中で、そういう些細なことを忘れずにいられる人はあまりいないんじゃないかと思いましたし、お客さまも、社長の技術や人柄を信頼しているのがすごく伝わってきて。感動した反面、自分とのあまりの差に愕然としてしまったんですよね。

年数も経験も違うので当然とは思いながらも、ある種、カルチャーショックのような気持ちになって。このまま頑張ったとしても、自分は社長のようにはなれないんじゃないか?と感じて、すごく落ち込みました。一瞬、美容師を辞めた方がいいのでは、という考えが頭をよぎるほど。

 

 

でも、それだけ忙しい社長が私の技術ひとつひとつに丁寧に指導をしてくれているのに、私が落ち込んでいる場合じゃないなと。悩むくらいなら、社長の求めるものに必死に食らいついていこうと考え直しました。ただ、専属アシスタントとしてついた当初、白髪染めのリタッチという2年目で習う技術に関して指導された時は「これで怒られるって、私この先大丈夫かな?」と不安になりましたが…(苦笑)。

技術面でも、仕事への向き合い方の面でも、すごく勉強になりましたし、本当にいい経験をさせていただいたなと思いますね。

 

仕事が一番。でも、自分のことも大切にしたい

 

 

正直、私は仕事とプライベートをきっちり上手に分けられるタイプではありません。休みの日にサロンに撮影をしに来たり、つい街中でヘアのアイデアを探してしまったりもします。かといって、プライベートを疎かにするのもやっぱりストレスが溜まりますよね。家のことをきっちりできていないのは自分でも嫌なので、最近は、仕事とプライベートのバランスをうまく取れるように頑張っているところです。

 

私は今年30歳になる代。ようやく、自分がどういうタイプなのか少しずつ分析できてきた感覚があります。例えば私の場合、夜はなにもできずに寝てしまうことが多いのですが、朝は強いタイプ。それに気づいてからは、朝に家事を済ませたり、以前はサッと済ませることも多かった朝食をしっかり食べるようになりました。それだけでなく、睡眠時間も最低6時間は確保すると決めて、寝る時間から逆算して生活するよう心がけたり…。

 

 

小さなことでも、自分のために時間を使えているという感覚があるだけで、気持ちが違うと気づいたんですよね。年齢を重ねて、少しずつ身体に無理が効かなくなってきた実感もあるので、自分の機嫌は自分で取り、仕事に影響が出ないような毎日を送りたいなと思います。

 

まだまだ先のことになるとは思いますが、私の夢は、自分のお店を出すことなんです。来てくださるお客さまはもちろん、働いているスタッフも居心地がいいと思えるような、癒される空間を作れたらと思っています。

それに加え、美容師は技術とクオリティが求められる仕事だということも身に染みています。お客さまからの期待に応えられる美容師になることも、ずっと変わらない目標です。

社長を通して見た“憧れの美容師像”にいつか追いつけるよう、来てくださるお客さまへの感謝を忘れずに邁進したいと思います。

 

プロフィール
Of HAIR トップスタイリスト
樋口夏希

福岡県出身。大村美容ファッション専門学校卒業後、Of HAIRに入社。現在10年目。トレンドのレイヤーカットや柔らかい顔周りのデザイン、お呼ばれヘアのアレンジなどで幅広い世代の女性から支持されている。

Instagram:@of_naaatsuuko

 

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