「額面20万円=手取り20万円」じゃない!?美容師の初任給と「手取り額」のリアル 【美容業界を熟知した税理士が教える、知っておきたい「お金」の話Vol.1】

 

美容師として働くうえで、技術や接客と同じくらい大切なのが「お金」の知識。けれど、学校ではなかなか学ぶ機会がなく、実際に働き始めてから知ることも少なくありません。そこで、美容業界に精通する税理士・水村耕史(みずむらこうじ)さんに、美容学生と美容師に向けて、お金の基本をわかりやすく解説してもらいます。これから働き始める美容学生の皆さんも、すでに美容師として働いている人も、知っておきたいお金の知識をこれから一緒に学んでいきましょう!

第1回目は「初任給」について。内定通知書や求人票を見て、「初任給20万円か〜!これで欲しかったシザーも買えるし、一人暮らしのインテリアもこだわりたいな」なんてワクワクしているあなた。ちょっと待ってください!実は、”給料20万円”と書かれていても「給料日に口座に入るお金」は20万円ではありません。社会人になってから「えっ、思ってたより少ない…!?」とショックを受けないために、先輩たちの失敗談を交えながら、お給料のリアルをお金のプロがやさしく解説します!

 


ズバリ!「額面20万円」の手取りは約16万7000円

 

まず押さえておきたいのが、言葉の違いです。

額面(総支給額):サロンがあなたに払う約束をした「スタートの金額」

手取り(差引支給額):税金や保険料が引かれ、実際に口座に振り込まれる金額

 

結論から言うと、初任給が「額面20万円」の場合、実際の手取り額は約16万7000(全体の約8割)になります!「残りの3万3千円はどこへ消えたの…?」と思いますよね。ここから、お給料から天引きされる「4つの謎のコスト」の正体を明かします。

 

お給料から引かれる「4つのコスト」の正体

 

毎月引かれるお金は、決して損をしているわけではなく、あなたをサポートするための大切な仕組みです。

 

 

① 健康保険料(約10,000円)

 

病院の窓口で払うお金が3割で済むのはこれのおかげ!万が一、病気やケガで長期間仕事を休んだ時もお給料の約2/3が手当として支給されます。

 

② 厚生年金保険料(約18,300円)

 

将来もらえる年金を増やすための積み立てです。

 

③ 雇用保険料(約1,200円)

 

もしサロンを退職して次の仕事を探すことになった時、失業手当をもらうためのお守りです。

 

④ 所得税(約3,500円)

 

稼いだ収入に応じて国に納める税金です。

 

★ プロのワンポイント

 

「高い!」と思うかもしれませんが、実はこれでも①健康保険と②厚生年金は、サロン(企業や雇い主)が半分を代わりに払ってくれています(折半負担)。これは正社員として働く大きなメリットと言えるでしょう。

 

実はこんなにショック!先輩美容師の「お金の失敗談」3選

 

 

ここからは、お金の知識がないまま社会人になり、「こんなはずじゃなかった…!」と戸惑った先輩たちのリアルな体験談をご紹介します。

 

失敗ケース①:家賃の予算オーバーで極貧生活に…(20代女性・アシスタント)

 

「初任給20万円だから、家賃8万円の部屋でも大丈夫と思って契約したら、実際の手取りは16万円。家賃を払うと8万円しか残らなくなってしまい、そこから光熱費や携帯代、練習用ウィッグ代を払ったら食費がほぼゼロに。もう少し早く知っていればよかった」

 

失敗ケース②:「社保なしサロン」で年金・保険の請求に青ざめた(20代男性・スタイリスト)

「基本給の高い個人サロンに入社。でも基本給が高い理由は、『社会保険に加入していないサロンだったから』。自分で国民健康保険や国民年金に加入して、給料から支払わなければならなかったんです。社会保険料が給与から天引きされないぶん、最初は『手取りが多い!』と思っていたのですが、後から自分で保険料を支払う必要があると知ってびっくり。入社後に国民健康保険や国民年金の手続きをすることになり、想像以上に負担が大きくてきつかったです」

 

失敗ケース③:クレカの限度額まで買物して破たん(20代女性・アシスタント)

 

「4月の終わりに初任給が入ると思って、クレカで服や美容家電をしっかり揃えていました。でも入社したサロンは『翌月払い』で、最初の給料日は5月25日!4月末に引き落としができず、親に泣きついて借りる羽目になってしまいました…」

 

求人票でここだけは見て!チェックすべき3つのポイント

 

先輩たちのような失敗を防ぐために、求人票では次の3つを必ずチェックしましょう!

 

チェック1:社会保険完備(社保完)か?

 

未加入の場合、自分で国民健康保険や国民年金を払うため、全額自己負担になり将来の保障も少なくなります。

 

チェック2:「固定残業代」が含まれているか?

 

「基本給20万円(固定残業代30時間分含む)」の場合、30時間分の残業代が最初から組み込まれています。表記を確認しておきましょう。

 

チェック3:ウィッグ代や道具代の「天引き」はあるか?

 

サロンによっては、練習用ウィッグや講習費が毎月のお給料から引かれるシステムの場合もあります。

 

まとめ:正しい手取りを知って、秋からの準備を進めよう!

 

「額面20万円」の手取りイメージは約16万7000円。給与から引かれるお金は、税金や社会保険など、社会人として生活していくために必要なものです。入社後に「思っていたより少ない!」と慌てないためにも、「給料日」「社会保険の有無」「給与から何が天引きされるのか」は、今のうちにしっかり確認しておきましょう。

実際に手元に残る金額がわかれば、一人暮らしの家賃や生活費、欲しいものに使える金額も具体的にイメージできて、卒業までの過ごし方も変わるはず。社会人1年目を安心してスタートするためにも、まずは自分がもらえる「手取り」を知ることから始めてみましょう!

 

株式会社any advisory

代表取締役CEO / 税理士

水村耕史

 

1988年生まれ、神奈川県出身。神奈川大学経済学部卒。税理士として26歳で独立。税理士活動に加え、美容室・美容材メーカー、就労支援A型事業、内装建築業、WEB制作業など、複数の事業会社で取締役を歴任。アドバイザーという立場に留まらず、自らも経営の当事者として現場に入り込むスタイルが特徴。

https://any-advisory.com/

 

 

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