マイナンバー制度で督促を受ける美容室が増える!?

2016.04.26

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2016年1月からスタートしたマイナンバー制度。企業や個人に割り振られた12桁の数字が、私たちにどのような影響を与えるのか、正しく理解している人は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、美容室の労務管理に詳しく、労務系の啓発セミナーで檀上にあがることもある特定社会労務士・秋田繁樹さんに、マイナンバー制度が美容室に与える影響について教えていただきました。

 


 

■そもそもマイナンバーって何ですか?

 

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すでに皆さんのお手元に届いていると思いますが、マイナンバーとは社会保障や納税などの個人情報を管理するために作られた12桁の番号です。マイナンバーにさまざまな情報を絡めていくことによって、例えば、役所以外の場所でもマイナンバーを参照するだけで行政サービスが利用できるようになるなど、国民生活の利便性を向上させることを目的として掲げられています。

 

内閣官房のホームページにも、「マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです」とあります。要するに、マイナンバーを使ってみなさんの情報を一元管理します、と言っているわけです。

 

社会保障や租税に関する個人情報を行政が把握できるようになるので、もし不正があったときはすぐにわかってしまいます。マイナンバーは税務署に提出する源泉徴収票や、会社が従業員に代わって行っている社会保障などの手続きで必要となりますので、大切に保管してください。

 

■マイナンバーが美容室に与える影響は?

 

マイナンバーが試行される前から、法人番号(企業マイナンバー)というものが企業に与えられています。行政側がこの番号を参照することによって、社会保険の加入状況を確かめることが可能です。これまでは、社会保険加入の督促をする前に、登記簿謄本を取り寄せ、源泉所得の金額や従業員数など、さまざまな情報をかき集める必要がありました。ところが、今は法人番号を参照すれば、たちまち加入状況が分かってしまいます。そのため、未加入の美容室は、年金事務所から督促を受けやすくなるのです。

 

社会保険の加入条件をかいつまんで説明すると、法人の場合は従業員がいなくても強制加入となります。個人事業の場合も、「従業員5人以上」だと強制加入になります。ただし、個人事業所の理容業は「従業員が5名以上」でも強制適用の扱いは受けません。つまり加入義務がないと言えます。美容業界に限ったことではありませんが、加入義務があるのに未加入という事業所は少なくないと言われています。当てはまる美容室のオーナーさんは、早急に対応を考える必要がありそうです。

 

面貸しサロンのオーナーさんや個人事業主の美容師さんにもマイナンバー制度の影響を心配している方が少なくないようですが、社会保険のケースと同じで、正しく納税申告を行うなど、ルールに則った活動をしていれば影響はありません。

 

■従業員のマイナンバーは絶対に必要?

 

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納税や社会保障関係の手続きのためにマイナンバーを使うので、スタッフから収集することは必須となります。このとき注意しなければならないのは、マイナンバーの収集と管理の方法についてです。

 

「マイナンバーを教えて」といって、写メを送ってもらって、それで終わりなら楽ですが、そういうわけにはいきません。本当にその個人番号が本人であるかを確認するため、個人番号カード、住民票や運転免許証などといった「本人確認」ができる書類が必要となります。情報漏洩防止の観点からメール添付ではなく、より安全性の高い手渡しなどでのやり取りが求められます。

 

またマイナンバーは都度収集が原則です。例えば、年末調整で使うとしたら、翌年の年末調整のときも収集しなければなりません。それではあまりに手間なので、データベース化することも可能です。ただし、その場合も、鍵がかかるところで保管したり、PCで保管する場合は、情報を破棄するときに、完全に削除できるソフトウェアを使ったり、物理的に破壊するなど、さまざまなルールがあります。番号の流出を避けるために万全を尽くさなければならないのです。

 

もし故意に番号を流失させたときは、刑事罰が科せられます。故意ではなくても、流出させてしまった場合は、被害者から損害賠償請求をされる可能性があります。流失したマイナンバーにどのくらいの価値があるのかは未知数ですが、運転免許証と同じように身分証明書として悪用されることが考えられます。今の時代、一度漏えいした情報がインターネットで拡散されると、もう手がつけられません。不測の事態が起こる可能性も視野にいれて管理しましょう。

 

■マイナンバーが個人に与える影響があるとしたら?

 

マイナンバー制度が始まったところで何か新しい影響があるかと言えば、正直なところ「大きな影響はない」と思います。納税情報がより明確になるので、副業の申告漏れなどが問題になることは考えられますが、税金が未納の人のもとにはすでに督促状が届いているわけですし、正しく申告している人にとっては何の問題も起こりません。

 

影響が大きいのは、やはり美容室のほうです。行政から社会的制裁を与えられたら経営は苦しくなります。だからこそ、マイナンバーで引き締めを強くして、社会保険料や税金の取りっぱぐれをなくしたいというのが、国の本音だと思います。もちろん、ルールに則って経営をしている美容室には何の影響もありませんので安心してください。

 

もし、マイナンバー制への対応や、社会保険に関する悩みがあれば、お近くの社会保険労務士法人に相談することをお勧めします。

 

 

プロフィール
社会保険労務士法人秋田国際人事総研
秋田繁樹

国内大手生命保険会社、国内大手ITベンダー(東証1部上場企業)などを経て、特定社会保険労務士として独立開業。美容室の労務管理や就業規則・社内規定に精通しており、助言歴は10年を超える。全国の美容室経営に関するセミナーの講師としても活躍。

http://www.akita-sr.com/

 

(取材・文/外山  武史)

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