トップメイクアップアーティスト山口啓さんに聞くこれから伸びる技術者と学びのヒント

「最近の若い子は…」と思ったら逆に「最近の自分」を振り返る

 

 

福井:コミュニケーションが大事ということですが、特に若い方はそこが苦手という人も多いですよね。“どうやって信頼関係をつくりあげればいいのか”“年上の方にメイクをするときにはどうしたらいいのか”と迷うと思います。スタートとしてどんなことに気を付けたらいいでしょうか?

 

山口:僕は野球少年からメイクの世界に転身したんですよ。母がメイクアップアーティストだったのに影響されて。野球のコミュニケーションは単純ですよ。仲間、チームプレイ、サインプレイをやっておけばよかった。そこからメイクの世界に入ったときに、どうやってコミュニケーションをとったらいいのか僕も戸惑いました。何しろ女性と話したことすらほどんどない状態でしたから。でもメイクの勉強を始めて、僕が1年かかって覚えることを1週間で覚えるなど、尊敬できる人が沢山いることを知り、すごいなと思ったんです。コミュニケーションで大切なことは、まずは相手を尊敬することです。メイクをする方へも同じで、リスペクトがないと絶対に心を開いてはもらえません。老若男女問わず相手を尊敬することから始めてみてください。

 

福井:若い方でも尊敬する方はいますか?

 

山口:“最近の若い子は”とかいいますが、素晴らしい人が沢山いますよ。“最近の若い子は”と思ったら、逆に“最近の自分は大丈夫なのか?”と考えたほうがいい。最近の自分が勉強不足でそう思ってしまうのかもしれない。過去、現在、未来とあって、過去のことは自分たちの世代が伝えていかないとと思うけれど、今のことは若い子に学びながらやっていかないと。今の若い子の情報収集能力は素晴らしく高いですよ。自分の若いころはテレビと新聞で情報を集めるのがせいぜい。それに比べて今の若い子は1日でその頃の1カ月分ぐらいの情報を得ているんじゃないかな。

 

逆転発想でコンプレックスを解消する

 

 

福井:顔にコンプレックスを持っている人は多いと思いますが、どうメイクで解消したらいいでしょうか?

 

山口:コンプレックスを持っている人は自分のコンプレックスばかりをみちゃうんですよ。シミができると女性って「みてみてここシミができちゃった」ってそこに自分から注目してしまうでしょ? でもメイクではそのコンプレックスを修正するのでなく、もっと目立つパーツを作ってあげるんです。いいところ、美しいところを際立たせる。そうすると不思議なものでコンプレックスに目がいかなくなる。メイクはフォーカスポイントを変えることができる。だから修正メイクはあまりお勧めしません。いやなところを直すと、極論をいうと逆に目立たせてしまうんですよ。

 

顔色が悪いから赤リップを塗ろうとすると赤いリップが歩いてるみたいになる。肌がコンプレックスでベースを厚くすると厚い化粧だけが目立ってしまう。意外とみんな自分のコンプレックスを強調してしまっているんです。自分が知らない素敵な自分はみんなある、それに気づくことが大切なんです。

 

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