“センスがいい”ってどういうこと? GOODTHING mayuさんの感覚の磨き方
仕事とプライベートの境界線をあえて曖昧に

─実際に働き始めて、心境の変化はありましたか?
めちゃくちゃありました。一番は、SNSとの向き合い方ですかね。それまでは、プライベートはプライベート、仕事は仕事という感覚で生きていたんです。だからSNSの投稿も、『美容師として、技術を見せるためのヘア』を投稿することが多かったんですよ。
でも、GOODTHINGはヘアと一緒にライフスタイルを提案するお店。ここに入って、自分がプライベートを楽しみ、それを発信してお客さまに届けることで相乗効果を生み出していこうという考え方に変わりました。正直、最初はそのバランスに戸惑ったところもあるんですけど、今は楽しみながらできています。

─もともとSNSが苦手だったmayuさんが、公私を織り交ぜた投稿を楽しめるようになるまでに、どんな過程が?
当初は、それまでの投稿と系統が変わったこともあり、反応もまちまちで。あまり一喜一憂しないように意識しつつ、試行錯誤しながらやっていました。とにかくたくさん写真をあげて、少しでも反応が良いものがあったら、何が良かったのかを分析する。その繰り返しで徐々に軌道に乗って、私自身もプライベートを発信することに慣れてきて…。明確に楽しいと思えるようになったきっかけは、SNSでの発信が仕事につながったことが一番大きかったと思います。
ヘアだけの発信から、お洋服やメイクなどライフスタイル面の発信もするようになったことで、他業種の方との関わりがだんだんと増えていったんです。その中で、地元の新潟県にあるニット工場と、GOODTHINGでコラボしてモヘアニットを作るという機会をいただいて。私もデザインに参加させてもらうことになりました。
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一年かけてデザインを決めて、実際にそれが形になって発売されたときに、ものすごくやりがいを感じたんです。意識を変えて人と関わりを持ち、発信し続けたことが新しい仕事につながって、自分の中で風向きが変わった感覚がありました。「大変だな」と思いながらもSNSを続けてきたことの一つの結果が出たような気がしたんですよね。
GOODTHINGのオリジナルブランドであるNIKIで出しているアイウェアにも携わらせてもらっていて、初期で出た二つの型のうち、ダブルブリッジの方をデザインしました。それもとても楽しかったですし、素晴らしい経験をさせてもらっていると感じます。
センスとは、取捨選択の基準を持てること

─投稿されているスタイルの雰囲気も、数年前と今で変化を感じます。SNSとの向き合い方が変わった影響はありますか?
あると思います。公私の境界線をぼかしたことで、私自身とあまりに違う系統のスタイルを作ると全体のバランスが崩れる気がして、自分とスタイルの雰囲気をリンクさせるようになったんですよね。例えば私はもともとレイヤースタイルが好きで、自分の髪にもたっぷりレイヤーを入れていたので、お客さまのスタイルにもそれを取り入れるようにしたりとか。
発信内容が変わったことで、来てくださるお客さまの雰囲気も少しずつ変わってきました。でも一方で、東京で働き始めた頃からずっと通ってくださっているお客さまもたくさんいらっしゃいます。その方達も色々なことに挑戦しながら年を重ねていて、私の変化に共感しながら、一緒に楽しんでくれているのかなと思いますね。
─スタイルの変遷という点で、トレンドとはどのように向き合っていますか?
トレンドはこまめにチェックしていますが、流行っているからといって全てに飛びつくことはありません。自分の気分だと感じるものは取り入れ、それ以外は“知っておく”ようにしています。一度自分の中で噛み砕いて、やる、やらないの取捨選択をきちんとするのが大事なのかなと思いますね。

例えば、韓国アイドルや韓国ヘアはすごく可愛いと思うし、メイクで取り入れることはあっても、ヘアはあまり寄せすぎないようにしていたりとか。言葉にするのは難しいですが、『可愛いと思うか否か』だけではない、自分なりの基準があるのだと思います。
─そうした取捨選択の基準も含め、mayuさんのセンスはもともと備わっていたものですか?
全然。今でも誰かに「センスがいい」と言われると、「いやいや、そんな」と思いますよ(笑)。全く自信がないわけではないですが、自分の感覚だけを頼りにするよりも、常にアンテナを張って、周りからいろいろなものを吸収していたいタイプです。
気になるショップやご飯屋さん、色々なジャンルの場所に遊びに行って、そこで新しい人と仲良くなって、学びを得る。一方で、自分の好きだと思うものも、ちゃんと大事にする。もし“センス”と言われるものがあるなら、その積み重ねで培われてきたもので、後天的な要素も大きいと思います。

そういう意味では、先ほどお話した他業種とのコラボの仕事なども、美容師の仕事に影響していると思いますね。デザインのときに考えたことや集めた情報がサロンワークに影響することもありますし、逆に、サロンワークで受けた刺激がプロダクトに反映されることもあります。幅広い仕事をさせてもらっていることが、ヘアを作る際のセンスや感覚に反映されているのかもしれません。
─すでに、美容師の枠には収まりきらない活躍をされているmayuさんですが、この先にどんな将来像を描いていますか?
ありがたいことに本当に色々な経験をさせてもらっているので、美容師としての技術も、自分の感覚も、常にアップデートし続けて、これからもその幅をさらに広げていきたいです。ただ、外部のお仕事やプロダクト関係のお仕事にシフトして、サロンワークを減らしたいという意図はあまりなくて。サロンワークも楽しくて大好きなので、並行してどっちもやっていくのが理想です。そのためにも、時間を上手く使えるようになりたいですね。

- プロフィール
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GOODTHING/トップスタイリスト
mayu
新潟県出身。新潟理容美容専門学校卒業後、新潟市内のサロンに入社。2年間アシスタントとして勤めたのち、上京。都内サロン1店舗を経てフリーランスに。2022年12月からは、オープニングスタッフとしてGOODTHINGに参画。オリジナルブランドのNIKIのアイウェアデザインや、アパレルプロダクトのデザインにも加わるなど、美容師の枠にとどまらず活躍中。
Instagram:@maaa0624
(文/岩木日向子 撮影/菊池麻美)
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