奥が深すぎて語り切れない「2.5Dヘアの世界」 「あの人に会いたい」美容師×美容師の化学反応  第3回LECO内田聡一郎さん×Wille志賀尚之さん

「2.5Dって、やっぱり大変なこともあるでしょ?」(内田さん)

 

 

内田:たとえばコスプレイヤー向けのウィッグをつくる人と、リアルな2.5D的要素を追求する人、アニメの要素をファッションに昇華させる人だと、やっていることも、お客さんも全然違うじゃない? 僕はアニメキャラクターのスタイルにしたいとオーダーがあった場合でも、どちらかというとファッション寄りなスタイルにするんだけど、それでも「もっとアニメに寄せて」と現実には難しい無理難題をぶつけられることもある。だから変に足を突っ込んじゃいけないゾーンなのかなって思ったことがあるんだよね。やっぱり大変なこともあるでしょ?

 

志賀:そうですね。たくさんありました。

 

内田:だよね。アニメ愛が強い人がくればくるほど、「なんかコレ違わないですか?」と言われたりする状況になりやすいっていうか。「そうすると街に溶け込まなくなっちゃいますよ」とか、「髪へのリスクもありますよ」っていう説明をしなきゃいけないとか。あまりにもこういうやりとりが多いとよろしくないよね。だから僕は近づきすぎないようにしたんだけれど、志賀さんはあえて飛び込んだわけじゃないですか。だからこそ、2.5Dで成功したんだと思うんだけど…。

 

志賀:そうですね、大変なところとしては、ヘアのこだわりもそうだし、ファンの心理的な部分も多いですね。例えば、サロンに電話がかかってきて「勝手に再現すんじゃねぇ」とか。

 

内田:すげえ、そんなのあるんだ。

 

志賀:DMとかメールもたくさんきましたけれど、自分の存在が世の中に認知されつつある証拠だととらえるようにしていました。

 

内田:そうだよね。実際は大変だろうけど。

 

志賀:それから一応、自分のやっていることに問題がないのか、アニメ業界の人に話を聞いたりして、大丈夫ですよっていうフォローもあったので続けようと。ヘアに関していうと、僕のなかではアニメのそのままはつくりたくないと思っています。

 

内田:なるほどね、エッセンスを入れるということね。

 

志賀:ストリートに寄せたり、ファッションに合わせたり、その人に似合うような提案を心がけています。街を歩いているときに誰かが振り返って、「あの髪、かわいくない?」といってもらえるようなヘアをつくりたいですね。

 

内田:俺も以前、声優さんを毎回変身させる連載をやってて…

 

志賀:見てました!

 

内田:アニメや声優文化がバーッときていた時期だからイケると思ってやってみたんだけれど、そうしたらお客さんもアニメや声優が好きな人がたくさんきてくれたの。けれど、お客さんたちのアニメ愛が、俺が想像するよりも濃くって…もう大変だったんですよ、本当に。

 

志賀:サロンワークがですか?

 

内田:こだわりが強くて。アニメの画像を持ってきて、寸分狂わないクオリティでお願いしたいっていうお客さんもいて。「これは物理的に無理だよ」って納得してもらうのに時間がかったりしてた。だからこれは大変だなって。自分が好きなものだから楽しくはあるけれどね。

 

>「特化の時代、好きと仕事がリンクしている志賀さんはすごい」(内田)

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