美容師さんがアーティストの表情を見せたとき、ドキドキします…!

 

毛筆で書かれた言葉と、かわいい花のコラージュが生み出す「花咲く書道」で知られる書道家、永田紗戀(ナガタサレン)さん。あるお仕事がきっかけで、「髪」の力の偉大さを実感してきたのだそうです。今回は、そんな永田紗戀さんと髪、そして美容師との不思議な関係性について聞きました。

 


 

自分の力で食べていく…15歳の決意

 

私は母子家庭で育ったので、働く母の姿を見て、早く手に職をつけたいと思っていました。書道家になると決めたのは15歳のとき。書道は得意でしたが、むしろそれ以外の勉強が苦手だったので、消去法のような感じで選んだ部分もあります(笑)。21歳で師範の免許をとって書道教室を開きたかったのですが、勉強でお金は底をつき、社会経験もなかったので今ではないと思いました。

そこで、まず書道家としての実績をつくるために、デザイン会社に売り込みをかけました。営業活動が実を結び、少しずつ歴史漫画の題の文字や、テレビ用の文字など、自分の書いた字を素材として使ってもらえるように。さらにホームページを作って、制作実績などを発信すると、「表札は作れますか?」「パッケージに入れたいのですが」などなど、全国からさまざまな依頼が届くようになりました。

 

「花咲く書道」を掲げるようになったのは、娘が生まれてからのことです。まず詩を書いてから書に想いを込めるという作風は一貫していますが、当時はモノクロばかりの作品でした。母になり娘を想って書いた詩のなかにある「愛」という文字にある「心」を描くのに、黒い墨の点2つでは足りないと感じて、桃色の花を描いたのが原点になりました。

 

 

 

アデランスと出会い髪の力の大きさを知る

 

「花咲く書道」をはじめてから、問い合わせをいただくことがより増えました。アデランスさんとのお付き合いが始まったのも問い合わせがきっかけです。聞いたお話によると、アデランスの津村社長がインターネットで書道家を探していたときに、私を見つけてくださったのだとか。津村社長はお父様が書道家で、ご自身も達筆でいらっしゃいます。書道に造詣がおありだったので、広報の方を通じてご連絡をくださいました。ご担当の方から「カレンダーのデザインはできますか?」とご依頼いただき、それ以降、描かせていただています。

 

私は何かを作るときはできる限り取材をしています。カレンダーの場合も、アデランスのお客さまが髪にどんなお悩みを持っていて、どんな場所でカレンダーを見るのかを理解したうえで、デザインしています。カレンダーを見たときに、お客さまと施術担当者さんの間に会話が生まれたらいいなと考えてつくっているんですよ。

 

アデランスさんのお仕事でとくに思い出深いのは、乳がん患者さん向けの医療用ウィッグのパンフレットデザインです。有明にあるがんセンターにお伺いして、どんなところでパンフレットが手にとられるのか見に行きました。そこには、ウィッグを着用したままカットできる美容室があるのですが、そこを利用するお客さまは、苦しいときを一緒に乗り越えてきたという意味で、ウィッグのことを、「戦友」というんですね。

 

その人に似合うウィッグがあることで、「早く元気になって外に出たい!」という気持ちが膨らむこともあります。だから最初は、「笑」のような言葉をデザインしようかとも思いましたが、「笑」はときに人を傷つける言葉。悩んだ結果、髪が毎日を彩るという意味で、「彩」という文字を選びました。アデランスさんと出会ったおかげで、髪の毛の力の大きさを実感しています。

 

 

 

>担当の美容師とは15年以上の付き合い

 

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