シザーのプロが語る「有名美容師の共通点」

簡単にできるシザーの手入れ

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 シザーは安くはないですが、10年、20年と使えるものです。毎日の簡単なお手入れで長持ちさせられます。

 

どんなに耐久性の高い鋼材をもちいたシザーでも、水分や薬剤を付着したまま放置すると、サビなどのダメージを与えてしまいます。高品質な鋼材は、錆びにくく、耐摩耗性も高いですが、それでもメンテナンスフリーというわけではない。ですから、仕事終わりに必ずシザーを拭いて汚れを落とし、こびりついた薬剤などは火傷しない程度の温度のお湯で汚れを落としてください。なぜお湯なのかというと、蒸発しやすく水分がシザーに残りにくいからです。

 

キレイに洗ったら、水気をしっかりととって、油をさしましょう。シザーが痛んでしまうので、間違っても機械の動きをよくする石油系溶剤は使わないでください。シザー専用油を選びましょう。

 

シザーの動きが悪くなってもそのまま使い続けていると、どうしてもカットに余計な力がかかり、押し切り気味になります。シザーに余計な力が加わり損傷の恐れがありますし、腱鞘炎のリスクも高まるので、なるべく早くメーカーにメンテナンスを依頼してください。

 

 

うまい美容師のシザーは“痛まない”

 

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シザーの切れ味を保つために定期的にメンテナンスに出しましょう。目安は半年から1年くらいです。プロの職人は拡大レンズを使って、摩耗しているところだけを最小限に研ぐことができます。すると、刃が減りにくいので長持ちするのです。腕のある職人にお願いすれば、20年は使えると思います。

 

「OKAWA pro-scissors」では、有名美容師さんのシザーもメンテナンスしていますが、人の倍はお客さまの髪を切っている方なのに、「これ、全然傷んでいない」と感じるくらいダメージがなくて驚きます。2年、3年使っても、ほとんど歪みがないんです。力の抜けたいい切り方をしているのではないかと思います。

 

力みなくカットするためには、やはりよく切れるシザーが必要です。断言はできませんが、有名美容師さんは最初から、切れ味のよいシザーで、力の抜けたいい切り方を続けているのではないでしょうか。

 

また、そういう美容師さんは、普段の手入れとメンテナンスに加えて、同じスペックのシザーを2~3丁もってローテーションさせています。真似をするのは大変かもしれませんが、美容師として長く活躍し続けるためには、こういう投資も必要だと思います。

 

最後に一人の客としてのお願いですが、やはり髪を切ってもらうときは、切れるシザーを使ってほしいです。いいシザーは開閉音も心地いいです。もしも、板前さんが宝石の付いた包丁で魚を切っていたらおいしく見えますか? よく切れる包丁でテンポよく捌いているほうがおいしく見えるはず。シザーも同様に考えていただきたいと思います。

 

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プロフィール
株式会社プロシザーズOKAWA 代表
大川 啓介

https://okawa-proscissors.co.jp/

日本体育大学を卒業し、広告代理店にて提案営業を経験。その後、シザーづくりの修行の道にすすみ、2011年7月にOKAWA pro-scissorsブランドを立ち上げる。「ヘアスタイリストのみなさまに長く愛されるシンプルで高品質なシザーズを創りたい」という思いで、日々ハサミ作りに取り組む。ユーザーリストには有名美容師が名を連ねる。

 

(取材・文/外山  武史  撮影/菊池 麻美)

 

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