サトーマリさんの「クリエイティブの素」

撮影の技術よりも先に、カットの技術を磨くことを勧めたい

 

 

最近、自分で撮影の仕事をしたり、人の作品を見せてもらったりして強く思うのは、作品にはその人のカットラインが出ることです。今トレンドのスタイルはアレンジに頼らないものが中心だから、自分のカット技術が追いつかないと、ある程度のものしかつくることができないんですよね。

 

私はカット技術を日々向上させていきたいですし、それが作品のレベル向上にもつながると思っています。サロンの後輩にも撮影を教えていますが、そこで必ず伝えるのは「絶対にカットしなさい」ということです。作品にはカットラインが必ず出てしまいます。だからこそ、積極的に手を入れることが大事なんです。たとえ下手でも、カットをしたほうがいいし、そのほうがスタイリングもしやすくなります。もちろん手を入れなくても上手な人もいるかもしれないけど、それって10年以上やっているプロの人だと思うんですよね。5年、6年でそれができる人はかなりの天才ですよ。

 

サロンワークがうまい人はすぐに撮影も上手くなると思います。撮影だけが上手い人がサロンワークも上手くなるかといえば、それは違うんですよ。カットが重要なんです。

 

 

昔と違い、どのサロンにいても撮影の仕事を得るチャンスがある

 

 

前のサロンは、デビューしたら雑誌の撮影の仕事をどんどん振ってもらえる環境でした。そこで結果を出すと指名で依頼が届くようになるんですが、茅野さんという先輩美容師に集中していたんですよね。男性誌の仕事が多かったんですが、茅野さんは女性誌からも指名があって羨ましかった。私が指名をもらうためには茅野さんを超えないといけないと思いました。その甲斐あって、少しずつ指名の仕事が増えましたが、売上も撮影の指名でも彼女を超えられなかったので、悔しかったですね。

 

それから随分時間が経ちましたが、ありがたいことに今も業界誌や一般誌の撮影の依頼をいただいています。業界誌の仕事はこれからもやり続けていきたいとと思いますが、一般誌の仕事は後輩にもチャンスがあるようサロンで取り組んでいきたいと考えています。下につなげていくことが今の課題です。

 

昔と違い最近はInstagramなどSNSの発信によってい依頼は入ることもあります。そういう意味で、みんなにチャンスがある時代ですよね。

 

デビュー直後の撮影の仕事でいきなり結果を出せたわけ

 

 

ちなみに、私がデビュー前にしていたトレーニングは、1日1回、ウィッグを使ってショートレイヤー、ミディアムレイヤー、ロングレイヤーのスタイルをつくること。雑誌でみつけた素敵なスタイルを、ひたすら真似していました。アイロンで巻いて、ワックスをつけて、スプレーで固めて写真を撮り、翌日それを先輩に見てもらうんです。それを3カ月か4カ月くらい続けていましたね。

 

さすがにそれだけやれば、上達するものなんです。そのおかげで、撮影の仕事もすんなり入っていけましたし、つくった作品も大きく取り上げられていたと思います。でも、カットの技術はまだ追いついていないわけですよ。雑誌で作品を見た新規のお客さまがたくさんいらっしゃるんですが、満足いただくことができなくて、リピートにはつながらない時期もありました…。先ほども言いましたが、やっぱり美容師にはカットの技術の向上が不可欠なんですよ。

 

とはいえ、ウィッグの練習が効果的だったことは間違いないので、やる価値はあると思います。やる気のあるかたはぜひ試してみてください!

 

 

プロフィール
siika NIKAI(シーカ ニカイ)サトーマリ

茨城県出身。専門学校卒業後、都内某有名店に入社。2014年JHA newcomer of the year(新人賞)ノミネート。2015年に退職後、2016年に夫の加藤龍矢さん(代表)とともに「siika」(東京・学芸大学前)を立ち上げる。サロンワークを中心に、ファッション誌、一般誌、業界誌などの撮影でも活躍。

 

(文/外山 武史 )

 

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