街の美容室Vol.4 代々木上原 空間 武部光矩さん

 

それぞれの街を代表する美容師さんをインタビューする企画、「街の美容室」。第四回目の街は「代々木上原」。

4~5年前から話題の飲食店やおしゃれなお店が出店をし始めてメディアからも注目を集めています。また渋谷や新宿へのアクセスがよく、立地の良さから居住している美容師さんが多い街です。

これから出店を考えている美容師さんで代々木上原にサロン出店を目論んでいる方も少なくないのでは? みんなが気になる街、代々木上原に100平米の大きなスペースを借り、一つしかセット面を置かないという一風変わったサロンをオープンさせた「空間」の武部光矩さんに代々木上原の魅力についてお話を伺いました。

 


 

-武部さんの街の遍歴を教えてください。

 

地元が荻窪なので、中央線沿いのお店が多いですね。

僕、理容免許から取得したので、床屋スタートなんです。美容師免許は通信で取得しました。四ツ谷、三鷹、中野で理容師をした後、中目黒のお店で美容師に。吉祥寺に最初のお店をオープンさせて、その後西荻窪に移転して、1年前にここ代々木上原にお店をオープンさせました。

 

-中目黒以外はほとんど中央線沿いだったのに、どうしてまた代々木上原へ? 昔から好きな街だったんですか?

 

いえいえ、僕小田急線にほとんど乗ったことがなくって。5年くらい前に代々木上原のとあるお店が目的で一度行ったことがあるくらいなんです。そのときもほとんど散策もせずに帰ってしまったので街の印象とかも覚えていなかったですね。

 

-ではなぜ、代々木上原に?

 

代々木上原にくる前の西荻窪のときは地元が近いこと、作家さんやクリエイターが多い街だったので、おもしろい日々だったんですが、馴染みがよすぎて飽きがきてしまったんですね。

中央線は良くも悪くも村っぽさがあります。外の世界を見ずとも自分たちの個性を強めていく街ですが、中央線らしい個性以外も知っておいた方がいいと思ったんです。自分の提案に幅が広がりますからね。

そこでお客さまや知り合いにおもしろい土地はどこか? と聞いたら代々木上原をあげる人が多かったので、代々木上原を見てみようかと。

 

 

-改めての印象はいかがですか?

 

おしゃれなお店も多いですが、代官山にも似た下町感を感じました。都心なのに肩に力が入っていなくて、ヌケ感がある人が多い印象です。

でも年齢重ねている人は、自分の個性をしっかりと持った人が多いような気がします。少し鎌倉にも似ているような気がします。

 

-お客さまはどんな方が多いですか?

 

僕のお店はコンセプトがはっきりしているので、地元の人というよりもコンセプトに共感してくださる方が各所から訪ねていただくことが多いですね。クリエイターさんが多い印象でしょうか。

訪ねてくれるお客さまは意外と普通のヘアスタイルの方も多くて、そこに少しだけデザインを入れてあげます。ヘアトレンドは正直気にしていないですね。

ヘアでギャップを作ることも好きではないので、その人の肌の質感を大事にしたスタイルを作ることが多いです。

もし、トレンド感のあるデザインが好きなお客さまや美容師さんだったらオモハラでカットをすることをオススメします。代々木上原はヌケ感のあるスタイルが合う街だと思います。

 

質問とは関係ないですが、予想外に中国人のお客さまがよくいらっしゃいますよ。

 

-中国の方は何をきっかけで来店されるんですか?

 

このお店をデザインしてくださった方のSNSを見た中国人が東京観光のついでにこのお店にきてくださることが多いんですよ。

日本語で頑張って予約してくれて、だいたいはカットをお任せという方が多いですね。予約した時間に「今東京駅なんだけど、どうやっていけばいいの?」なんて電話がかかってくるというハプニングもあったりしておもしろいですね。

 

 

-代々木上原という土地柄とサロンの方向性は関係していますか?

 

関係はしていないですね。

もともと次に新しいサロンをオープンさせる時は一人で切り盛りをする予定だったので、代々木上原だからこのようなコンセプトにしたわけではないです。

 

-今、代々木上原でオープンしたいサロンが徐々に増えていると思いますが、代々木上原でオープンする上で武部さんがアドバイスするとしたらどんなアドバイスをしますか?

 

そうですね、僕のお店のようなコンセプトが強いサロンはお客さまが偏ってしまうので、難しいかなと思います。複数スタッフで運営するとなると、全員で共通認識を持って運営していかないと、コンセプトをきちんと保持したまま代々木上原で集客することって結構大変だと思うんです。

 

ですが、代々木上原にサロンを求めている方は多いと思いますよ。代々木上原在住の方っておそらくオモハラまで髪を切りに行くのはちょっと面倒だな、と思っているのか、ベーシックなヘアスタイルの人が多い印象なんです。お客さまの間口が広いサロンは重宝される気がします。代々木上原は可能性がある街だと思いますよ。

 

お店のエレベーターの前から見えるこの景色は都心との丁度いい距離感を感じる武部さんのお気に入り。

 

 

プロフィール
空間 武部光矩

複数店舗で経験を積んだ後、吉祥寺にサロンをオープン。その後西荻窪でもサロンをオープンさせたのち、2016年9月に代々木上原に空間をオープン。100平米の広大な空間の中、マンツーマンスタイルで施術をしている。その広い空間を利用したアパレル展示や、写真展なども行う。

 

(取材・文・撮影/高橋 優璃)

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