激しかったスタッフの入れ替わり。エリアで一番待遇のいいサロンを目指して ―10年サロン「FAVORITE GARDEN」のブランディングストーリー前編

2009年〜2013年 拡張移転期

雑誌を信じ、5年単位で繰り返した店舗の移転と改装

 

 

オープン5年目の2009年には、米子市内に拡張移転しました。昔、雑誌で「5年単位で店に手を加えているサロンは長く続く」と読んだことがあるんです。僕は単純なので、それを忠実に守りました(笑)。

 

新しいサロンは、新築の建物の一角にオープンすることになりました。広さは30坪、セット面5面、シャンプー台は3台。設計士の方が知り合いだったので、内装や外観もできる限り要望を聞いてくださいました。内装は、流行していたアンティーク調をオーダー。また、当時の米子店では新規客の受け入れは女性のみにしていたので、女性が入りやすい雰囲気のお店を作ってもらいました。

 

このころの経営はとても好調で、2年後の2011年には再び増築することになります。広さは1.5倍の45坪になり、セット面は6面、シャンプー台は4台で、さらにフォトブースも設置しました。

 

 

エリアで一番待遇のいいサロンを目指した

 

FAVORITE GARDEN並木店

 

店舗の改装と同じタイミングで、会社も法人化しています。このときに社会保険などの福利厚生も導入しました。今となっては当たり前ですが、当時のこの近辺では福利厚生が充実しているサロンは数えるほどしかなかったと思います。そんな中で『FAVORITE GARDEN』はエリア内で一番待遇がいいサロンを目指そうと思っていましたね。

 

地方でスタッフに長く働いてもらうってすごく難しいんですよ。やる気がある子に期待していると「東京に出たい」と言って辞めてしまうし、ほどほどに楽しく働きたいという子を厳しく教育すると、これまた辞めてしまう。東京のように人材がたくさんいるわけではないから長くいてほしいけれど、きちんと指導しないとプロのクオリティにはならないし…。スタッフとのコミュニケーションはそのバランスが難しくて、いつでも苦労の連続ですね。

 

現在は自分がとにかく技術を磨いて、そのエッセンスをわかりやすく伝えることで、スタッフが楽しくレベルアップできるように工夫しています。たとえば、毛髪のダメージレベルに応じた薬の強さの細分化したデータや、顔の形や毛質に合わせた似合う髪型の黄金比を共有するとか。これだけでは足りない部分もありますが、こうした知識を共有することで、効率よく学ぶことができると思います。ただ、さらに上を目指すために、教育の新たな仕組み作りにも着手しないといけないと感じています。

 

もちろん、苦労するばかりではなくてうれしいこともありました。2011年に、スタッフが雑誌のコンテストでグランプリを獲得したんです。15年以上サロンを経営していますが、これが一番うれしかったことの一つですね。スタッフが成長して、コンテストで認められたり、売上を上げたりしたときはやっぱりすごくうれしいです。

 

2011年11月に当時アシスタント3年目だったスタッフが雑誌でグランプリを受賞した作品

 

 

プロフィール
FAVORITE GARDEN
オーナー/齋藤隆志(さいとう たかし)

2004年鳥取県米子市にFAVORITE GARDEN、2017年9月に広島に2店舗目となるFAVORITE GARDEN並木店をオープン。美容師の最高峰JHAにて各種部門にてノミネート、受賞多数。現在はサロンワークを中心に、一般誌や業界誌の撮影、美容師へのセミナー等で活躍している。 

 

 

(取材・文/小沼理 撮影/杉田梨菜)

 

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