美容師を“国家産業”に 美容学校と美容室の新しい関係、集客プラットフォームの旧態依然、教育システムの不備、政治へのアクセス不足──年商10億円企業を作った坂口貴徳が美容室の経営を革新し、業界を変える
職人経営の美容室を革新するCVC (Challenge Voluntary Chain)

美容業界の底上げのためにやっていることがいくつもあります。ボランタリーチェーン(独立した事業者が共同で組織を作り、仕入れや情報共有などを協力して行うビジネスモデル)のCVC(Challenge Voluntary Chain /チャレンジボランタリーチェーン)を立ち上げたり、業界団体を組織したりして、個々のサロンをゆるやかに連携させる取り組みを進めているところです。
正直、この業界の“まずい部分”はすべてがバラバラで繋がっていないことだと思います。典型例が美容学校と現場の断絶。学校は国家試験の合格だけを目的にカリキュラムを組み、サロン側は「使えない新人」に高い求人費を払う――このミスマッチは相当なムダだと思いませんか?
そこで僕たちは、来年から全国展開の新しいカタチの美容学校を立ち上げます。
CVCに加盟しているサロンと共に、卒業と同時に即戦力として現場に送り込める仕組みにします。各サロンは“分校”を持つ感覚で人材を育成でき、教育と採用の非効率が一気に解消されるという仕組み。まだ企業秘密の部分も多いので、この話はまた今度(笑)。
CVCは令和最強の経営支援の仕組み

とにかく、CVC自体は「令和最強の経営支援」を掲げる自発的な協業ネットワークです。加盟サロン同士が教育・仕入れ・販促ノウハウを共有しながら、緩やかに連携していく形です。要するに、業界内のあらゆる“孤立”を繋ぎ直すハブをつくり、学校も現場も経営支援も一枚の地図に載せるというのが、僕の構想です。
CVCに入っているサロンは、どれもオーナーさんがそれぞれのスタイルで運営していて、資本関係は一切ありません。だからこそ、みんなで使える仕組みとして、月10万円の維持費だけお願いしています。この費用で、経営のトレンドやコスト削減のコツを共有したり、人材育成や資金調達、補助金・助成金の情報、物件の紹介、イベント参加、新しい事業の立ち上げ、M&A、海外展開、人脈づくりまで、いろんな面でサポートしています。

経営の最新トレンドの勉強会、売れっ子スタイリストのノウハウの提供、推し活ノウハウやライブコマースCHAINON大学のオンライン講座の受け放題。さらに芸人のファイナンシャルプランナーと組んだ“お金の勉強会”、優木まおみさんと進める健康経営プログラム(福利厚生でピラティスが月1,000円)、英会話スクール、韓国語スクール、全国展開するサロン立美容学校――これらも材料費削減や助成金(リスキリング補助など)を活用すれば、実質無料どころかプラスになるサロンも少なくないです。