下町に生まれたアマゾン!? LGBT床屋が愛される理由

2016.07.19

刈り上げとセックスはほぼイコール

 

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人間って水晶みたいな多面体でできていると私は思います。私のなかにも、男の私、女の私、ゲイの私やレズの私がいる。LGBTと言われる人たちの感覚がすごく分かるんです。

会社ではパリッと決めているけれど、彼氏の前ではすっごく乙女で、でも、帰省したときはぶっきらぼうに振舞ったりして…とか、みんないろんな表情を持っている。それが正しい姿だし、どれか一つに絞る必要なんてなくて、みんなそのままで愛おしい存在なの。

 

ゲイのお客さんが相手のときは、私の中にあるゲイ的な感覚を生かします。ゲイの子って、「食べちゃいたい」って言われるのが好きだから、「美味しそうにしてあげるね」といって、バリカンをあてていきます。刈り上げしているときは、セックスしているような感覚。こんな感じだからみんな私に心を開いてくれます(笑)。

 

お客さまの心に寄りそうために、心理学や傾聴を学んだ経験もあるから、ヒーラーさん、セラピストさんの友達もたくさんいます。「床屋女子」という、女性の髪の駆け込み寺を作ったのは、彼女たちと出会ったことがきっかけ。ナチュラル志向で、髪がボサボサのままの子が多いから、「アンタ、髪の毛なんとかしなさい!」って説教することがホントに多くて(笑)。そこでズボラ女子用のメニューを作りました。

 

そんなこんなでメニューがどんどん増えていって、今では心を整える癒しのメニューも追加してきたんだけど、数が多すぎて、自分でも混乱することがあります(笑)。

 

「寄り添い力」が足りない美容師さんが多いと思う

 

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ウチにくるお客さんというのは、よそで思い通りの髪型になれなかった人がすごく多いんです。じゃあなぜウチに集まるのかといったら、美容師さんの寄り添い力が足りないからだと思う。私自身、美容室難民だから思うんだけど、美容師さんのカウンセリングがあっさりしすぎな気がするんですよね。

 

例えば、ガッツ石松さんみたいな風貌のゲイの人が、松田聖子ちゃんに憧れているとするじゃない?さすがに、私も聖子ちゃんみたいにはしてあげられないですよ。でも、その気持ちを分かってあげることが大事なの。

 

骨格の問題とか、毛量の問題とかで全然無理なときも、突き放すことはせずに、リクエストに応えてあげようとする。その上でちゃんと説明すれば、本人も自分の体じゃできないって理解してくれます。そしたら、次は「自分の素材を受け入れなよ」って促してあげる。そして自分の存在を受け入れたとたん、その人は輝き出すのよ。

 

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誰だって、その人にしかないかわいさがあると私は思う。この子、昼間はこんな感じだろうな、好きな人の前ではこんな顔をしていそう、エッチのときはこんな感じだろうなってイメージしながら、魅力を引き出すにはどうしたらいいか考える。私はいつもそこまでお客さんに寄り添っています。

 

だからウチにきたお客さんはすごくモテるようになるんですよ。でも、だんだん贅沢になってきちゃう。「タイプじゃない人ばかりにモテちゃって…」みたいにね(笑)。

 

プロフィール
関本 愛子(せきもと あいこ)/ジェンダーリベラリスト愛太郎(あいたろう)
イドヤ/LGBTフレンドリー短髪床屋/床屋女子


東京都出身。国際理容美容専門学校を卒業。理容美容問わずさまざななカットセミナーを受講し、自分の技術を磨く修業時代を過ごし、実家のヘアサロンの2代目店長になる。LGBT、男も女も全てのセクシュアリティーがあると認め、ジェンダーリベラリスト愛太郎としての活動も開始。全国各地から講演依頼が集まっている。

http://www.idoyastyle.jp/
http://www.lgbttokoya.com/cut/
http://aitarou39.wix.com/tokoyajoshi

 

(取材・文/外山  武史  撮影/菊池 麻美)

 

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