角薫さん＆ちはるさん。ヘアライター佐藤友美がみた”美容師列伝” 第15回「共感の人」
女性が活躍できるサロンづくり
角さんとちはるさんが「女性美容師がプライベートも大事にしつつ仕事を続けられるサロン」を作ったのが、2011年のこと。
二人でパートナーシップを組んで独立するという話を聞いたとき、私はなんだかほっとしました。
というのも、角さんもちはるさんも、とても共感力が高いから。
人の気持ちにすぐ寄り添ってしまうから。
スタッフやお客さまが望むことをやりたくても、自分たちに最終決定権がないことが、それまで一番辛かっただろうなと思うからです。
もちろん、オーナーになって経営をすることは大変なことだろうけれど、自分たちの理想に妥協しなくてよくなるだろうから。きっと心が楽になるだろうな、そんなふうに思いました。
ところで二人はけっこう性格が違います。
夜型の角さんに対して朝型のちはるさん。
感性型の角さんに対して理論派のちはるさん。
24時間仕事をしたい角さんに対してプライベートも重視するちはるさん。
ところが、いろんな違いがあっても、根本的なところは一ミリもズレなくぴたっとしていて。それがきっと、長年サロンを経営するパートナーとして信頼しあって続けられている理由なんだろうなと感じます。
たとえば、一生美容師を続けようと思っていることとか
自分のことよりも、お客さまやスタッフのことのほうが優先なところとか
男性ばりの体力だけど、女性ならではの細やかさを何より大事にしているところとか
そして、よく泣くところ、とか（笑）
彼女たちが独立してからも、私は何度か二人が泣いているところを見たことがあって。
そして、その涙は、うれしい涙だったり、感動の涙だったり、誰かの心によりそった涙だったりします。
そんな綺麗な涙を流すことができるこの二人のことを、いつも、女性としても仕事人としても素敵だと感じます。
きっとこれからも、お客さまやスタッフなど、いろんな人の心に寄り添って、一緒に伴走していくのでしょうね。
そんな「生涯美容師」として生きるお二人の姿を、私も、生涯見届けたいと思っています。
－Profile－
角薫
1975.1.28生まれ
青森県出身。国際文化理容美容専門卒業
美容師歴23年
ACQUAにて18年勤務し、その間店長を8年経験。
2016年1月にちはると共にRUALAを設立
サロンワークを始め、海外、全国各地でのセミナーや一般誌、業界誌の撮影、専門学校の講師、女性用のハサミをプロデュースするなど、幅広く活躍する。
髪質にあわせたデザインや大人女性の本来の美しさを引き出し1人1人をプロデュースし、ライフスタイルまで考えたヘアデザインで数多くのファンの心をつかみ予約が絶えない。
ちはる
RUALA代表取締役
1976.11.5生まれ。鹿児島県鹿屋市出身、山野美容専門学校卒業。
ACQUAに15年在籍し、2016年にRUALAを角薫氏と共にオープンさせる。
美容師歴21年
お客さまからの信頼も厚く人生のイベントの
七五三、成人式、ブライダルなどのヘアメイク着付けなどのお仕事の依頼を数多くうけるオールマイティな美容師。
カジュアルからエレガントまで幅広い引き出しをもち
特にボブスタイル、ショートスタイル、メンズヘアを得意とする。
サロンワークだけでなく
一般誌、業界誌の撮影、技術セミナーや
美容専門学校コンテスト審査員、また母校の山野美容専門学校での美容師としての心得の授業(精神美)の講師など勤めた経歴を持つ。
文・佐藤友美
美容サイトの草分け的存在「サンドリヨン」の編集長を経て、雑誌、書籍での執筆を重ねる。15年間にわたってヘア専門のライターとして活動し、全国各地でセミナー、講演を行う。著書に７万部を超えベストセラーとなった「女の運命は髪で変わる」（サンマーク出版）、MINXの故鈴木三枝子さんの生きた道を記した「道を継ぐ」（アタシ社）など。
