朝日光輝さん。ヘアライター佐藤友美がみた”美容師列伝” 第16回「太陽な人」

「ヘアライター佐藤友美がみた 美容師列伝」。日本全国の美容師を取材してきたヘアライターの目線から、毎回「●●な人」を紹介し、その素顔に迫る新企画です。第16回めは「太陽な人」。TIMELESSの朝日光輝さん。

 

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         (イラストレーション:カツヤマケイコ)

 

光り輝く朝日さんの、光と影

 

「名は体を表す」ということわざを聞くたびに、私が思い出すのが朝日さんのことです。

「朝日光輝」ってすごい名前ですよね。朝日が光り輝くわけですよ。天照大御神(アマテラスオオミカミ)も真っ青な神々しい名前。

でも、朝日さんという人は、その名前に全然負けない、本当に太陽みたいな人だなっていつも感じます。陰陽でいうと、確実に「陽」の人。しかも、夕日じゃなくて確かに「朝日」っぽい。

 

私が朝日さんと会う時は、だいたいいつも撮影現場だったけれど、常に分単位のスケジュールで撮影をはしごしていました。ヘアページに、タレントの取材に、テレビのヘアメイクに、表紙仕事に……。

責任重大な仕事ばかりだけれど、いつも颯爽とあらわれて、さっと可愛いヘアを作って、あっという間に仕事を終えて次の現場に移動していく。朝日さんは、そんなイメージの人。

ときどき丸一日がかりの撮影だったとしても、最初から最後までニコニコ爽やかで、多分その頃は日本で一番忙しくて睡眠時間が取れない時期だったろうと思うのに、絶対に愚痴を言わない、忙しい自慢をしない。

その安定した明るさや朗らかさは、東京に疲れた女性たちの(それはタレントやモデルさんであればなおさら)、救いなんだろうなあと思ったりします。

 

作るデザインが素敵なのはもちろんだけれど、そういう「人としてまっとう」な空気をまとった朝日さんに、私はひそかに憧れていました。

こんなふうに楽しそうに仕事をしていく人になりたいなあ。周りの人も明るくしちゃうような、エネルギーにあふれた人になりたいなあ。そんなことを思っていました。

そうそう、私、朝日さんと同い年なんですよね。

だから余計、朝日さんの肩の力が抜けた仕事っぷりがカッコよく見えたし、憧れたのかもしれない。

 

ただ、私が朝日さんのことを尊敬しているのは、明るさや朗らかさや人に対する親切心みたいな、そういうところだけではないんです。

 

もう時効だと思うから言ってしまうんだけれど、私が初めて朝日さんとお会いしたのは、たしか六本木だか西麻布で美容師さんが集まるパーティの場だったと思う。もう12年以上前の話。

 

そのときの朝日さんは、今の朝日さんから考えられないくらい、弱って見えたし、疲れているように見えたし、物理的に酔っ払ってた。そしてお酒をあおりながら、もっていきどころのない感情を吐き出していた。

 

私が朝日さんが弱っている姿を見たのは、あとにも先にもそのときだけで、あまりにも今の朝日さんとはイメージが違うから、夢でも見たのかなって思うくらいの過去の記憶。

 

ただ、誰もが認める実力の持ち主なのに、朝日さんにもそれを発揮するチャンスになかなか恵まれなかった時代があったんだなあと考えることは、私たち凡人にも勇気を与えてくれると、思う。

そして、だからこそ朝日さんは、どんなに売れっ子になっても、奢らずにまっすぐ仕事に取り組まれていらっしゃるんじゃないかなあ、と。勝手にそんなことも思っていました。

 

朝日さんは

光あり、影ありの人生を、ちゃんとハンドリングして、今の光り輝くポジションを確立された人なんだということを、ひとしお、感じるのです。

 

 

>「街のパーマ屋」でありたい

 

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