【vol.2】リモート美容師、前売りチケット、EC販売。いま、お客さまとどうつながる?(美容師が知っておきたい最新コロナ情報)

問い合わせ急増のECサイト。店販がお客さまとの接点に

 

「今月に入って、EC機能の使い方のお問い合わせが急激に増えています」というのは、電子カルテアプリ「美歴」取締役の石渡武臣さん。

 

「お客さまに『体調いかがですか?』などのお伺いのメッセージとともに、『シャンプーがこちらで買えるようになりました』とご案内すると、その場で購入くださるお客さまが多いという話を聞いています。商品はもちろんですが、ご要望が多かった前売りチケットや回数券も購入できるようにしました」(石渡さん)

 

いちはやくこのECの可能性に気づき、顧客におすすめしているサロンもある。

 

「コロナの影響が大きくなるにつれ、美容室でも宅配サービスが増えるだろうと考えていた」というのは、大阪のHAIR トレンザ INTERNATIONALの岩田考司さん。

 

かつてインフルエンザでサロンを半月休んだことがあったという岩田さん。そのとき、対面だけではなく、サロンに立てなくても顧客とつながることができる仕組みの重要性を考えてきたという。

 

岩田さんのブログより

 

もともと店販に力を入れていた岩田さんは、技術売り上げと店販売り上げがほぼ半々。店に立ち寄り商品だけを購入していく顧客も多いという。そこに加え、いまはECでの店販販売がサロンの売り上げを支えている。

 

(↑お客さまとのやりとり。美歴やLINE@から注文を受け付けている)

 

「いろいろな不安から、最近来店客は多少落ちていますが、逆にECを使った商品購入は増えています」と岩田さん。

ブログで商品の紹介をすると、その商品を買いたいという顧客が、美歴やLINE@をとおして連絡をしてくれる。

コロナの影響はもちろん大きいが、顧客と新しい接点を生み出していく機会にもなりそうだ。

 

 

今こそ、美容師さんの力を

 

最後に、緊急事態宣言を聞いて、思い出したことを書かせてください。

 

以前、東日本大震災の爪痕残る東北で取材したことがあります。

そのとき、各地の避難所のボランティアを指揮していた方から、「避難所で美容師という職業の素晴らしさを知った」と聞きました。

全国から集まったボランティアの中には、甚大な被害を目の当たりにして泣き出してしまったり、被災者にどう話しかけていいかわからないとパニックになってしまう人も数多くいたそうです。

その中で、「被災地の人たちにすっと寄り添って静かに話を聞いてあげ、体をさすってあげて安心させてあげられたのは、どの避難所でも美容師さんだった」というのです。

 

美容師さんとお客さまの間には、ほかの業種の人たちには想像できないような関わりがあると思います。美容師さんにしか話せない話を、打ち明けてきたお客さまも多いと思います。

 

休業されたサロンのみなさんも、営業を続けるサロンのみなさんも、きっと大きな不安の中を過ごしていらっしゃると感じます。

まずは、ご自身とご自身のご家族の心のケアを第一に。そしてそれでもまだ余力がある方は、ぜひみなさまのお客さまの心をほぐしてやわらかくしてあげてください。

美容師という職業を選んだ方たちは、きっとそれが、できる方たちなのだと感じます。いままさにきっと、みなさんの力を必要としているお客さまがいらっしゃると思うんです。

私たち、ハサミを持たない人間がサポートできるとことがあったら、教えてください。

 

(vol.2完)

 

来週は、美容院に関係する補償制度、海外のサロンの情報などをお届けできればと考えています。取り上げてほしい情報や、調べてほしいことがありましたら、さとゆみまでご一報ください。

みなさん、またお目にかかれる日まで、本当に本当に、お身体に気をつけられてください!

 

プロフィール
佐藤 友美(さとう ゆみ)

日本初、かつ唯一のヘアライター&エディター。『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)は、NHK「あさイチ」でも特集され、8万部を超える大ヒットに。「美容業界と一般のお客さまの橋渡しになる」ことをミッションに、数々の企画を担当する。最新著書は『女は、髪と、生きていく』(幻冬舎)

 

 

 

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