採用面接「不合格」から逆転した「不屈の男」をさらに強くした言葉たち sand 島崎 譲さん

「お前の一番いいところは、バランスがいいところだ」

 

 

これもまた前職での話ですが、1年目からずっとお世話になった僕の師匠のような存在からの一言もずっと心に残っています。今の美容業界は、一芸に秀でることを良しとする文化があると思うんですが、僕はなんでも高い基準でできたほうがいいという考え方です。サロンワークの売上、クリエイティブ撮影、ヘアメイク、教育、集客、マネジメントなどなどいろんなことに全力を注いできました。その様子をしっかり見てくれていたのが、師匠でした。あるとき、

 

「お前の一番いいところは、バランスがいいところだ」

 

と言ってくれたんです。単純な言葉に聞こえるかもしれませんが、これは嬉しかったですね。自分のことをよく見てくれていることが伝わってきました。

 

 

全てのことに顔を突っ込んで、全てにおいて高いレベルを目指すのは、簡単ではないです。だけど、それをやると決めたのは自分なので、がむしゃらにやり続けてきました。自分の考えを押し付けるつもりはありませんが、Sandのこれからを担うメンバーには、売上もクリエイティブも教育やマネジメントも、いずれやってよかったと心から思えるはずだから、全てにおいて高いレベルを目指して欲しいです。

 

長所を伸ばすことは大事だし、そうすべきだと思います。ただ、その上で、美容師として、社会人として成功したいなら、短所がないことも大事なんですよ。短所がなければ長所が潰されたり、短所に足を引っ張られることもありません。人の上に立つ立場の人間は、マイナス要素をなくしていくべき。例えば、クリエイティブのセンスだけがずば抜けていても、それだけでは人はついてきませんから。

 

「今どき雑誌に出てなんのメリットあるの?」とか、やらない理由ばかり言っている人もいます。そういう人って大体、依頼がきたことすらない。それにも関わらず否定から入る。これってすごくもったいないことだなと。自分にできない事から逃げているにすぎない。

 

否定するにしても、その前に一度経験してからのほうがいいと思います。後輩に何か教えるにしても、自分が経験していないことは伝えられないじゃないですか。みんな将来自分の一番得意なポジションで、どんどん活躍して欲しいと思います。ただ、いろいろなことを経験してからそこに行きつくのか、それしかできないのかでは深みが違います。例えばsandでは幹部としての評価基準に売上はありません。ただ、将来たくさんの後輩を導いていく中で、売上を上げながら他の仕事をやっていく大変さを分からない、共感できないと本当の意味で相談にのれないし、アドバイスもできない。そういう意味でどんどん苦手なことにもチャレンジして、経験値を増やして欲しいと思っています。若いスタッフの2、3年後よりも10年後20年後の幸せに向けて本気で導いていきたいです。だから僕は経験できることはなんでもするし、全てにおいて高いレベルを目指したいのです。

 

めきめき力をつけているsandの若手ホープ三人と(左:トップスタイリスト巣山 竜一さん、左から2番目:店長我部 友希さん、右:トップスタイリスト中 至紋さん)

 

全てにおいて高いレベルを目指しているからこそ、全ての歯車があったときの相乗効果は凄まじいものがあります。Sandからデビュー数カ月で400万円、500万円プレイヤーが誕生しているのも、バランスがいいスタイリストが増えているからだと思うんですよね。Sandの強みは、弱点をつくらない努力をしていること。Sandをハイレベルなチームにするために、これからも邁進します。

 

プロフィール
sand
CEO/島崎 譲(しまざき じょう)

高津理容美容専門学校を卒業後、都内大手サロンに入社。歴代最速のスピードで昇進を続け、店舗代表まで上り詰める。2017年9月に独立し、銀座に「sand」を立ち上げる。2021年1月現在、銀座2店舗、表参道2店舗。ショートカットが得意なヘアサロンとして大ブレイク中。sand5店舗目を6~7月にオープン予定。2018年8月に立ち上げた自身が経営するパーソナルジム「NEXT GYM TOKYO」も2月に3号店がオープン予定。

 

(取材/外山武史・撮影/菊池 麻美)

 

 

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