「ウルフじゃ売れない。やめた方がいい」。恩師の否定、師匠の助言、人生を動かした言葉たち AMA TOKYO藤田圭介をつくったコトダマ
「お前、絶対有名美容師になんてなれんよ」

今でこそ人前で話す機会は多いですが、美容学生の頃の僕は口下手。高校3年間は男子ばかりの理系クラスで過ごしていたこともあって、人前で話すどころか、女子と話すこともままなりませんでした。
美容学校の担任は、元美容師で海外経験もある先生で、美容業界の実情をよく知っている方でした。その先生が毎週開いていたリーダー会で、こんなことを聞かれたんです。「藤田ってどんな美容師になりたいの?」僕は迷わず「東京で有名な美容師になりたいです!」と答えました。すると間髪入れずに返ってきたのが、「断言するけど、正直お前、絶対有名美容師になんてなれんよ」という言葉でした。さらに、「東京のサロンに行くことすら無理だと思うよ」とまで言われて。
理由ははっきりしていました。「お前、人前でしゃべれないだろ。一対一でも目を見て話せないし、どうやって有名になるんだ?」。みんなの前で真正面から否定されて、正直、心がへし折られました。でも同時に、自分でも“しゃべれない”という自覚はあったんです。だからこそ、このままじゃダメだと思い、無理やりにでも、人前で話す場数を踏むしかないと腹をくくりました。

先生のアドバイスもあって、毎朝朝礼前に1分間スピーチすることに。最初は当然うまくいきません。「話すことがないならニュースを見ろ!」「1分に収まるようにちゃんと組み立てろ!」と、何度も檄を飛ばされました。それでも続けていくうちに、少しずつ変わっていったんです。1年やりきる頃には、内容が伝わるのは当然として「どこでオチをつけたらウケるか」まで考えて話せるようになっていました。
あのときの厳しい一言と、檄がなければ、今の自分はなかったと思います。
ウルフの神様が言われた「ウルフじゃ売れないから、やめた方がいい」

うちの代表である間嶋(AMA TOKYO代表)は、僕の美容師人生において間違いなくキーマンです。振り返ると、大きく変わるタイミングには必ずそばにいた、と言ってもいいくらいで。
前社でアシスタント3年目くらいのとき、初めて間嶋のアシスタントにつくことになりました。当時の間嶋は複数の店舗を行き来していて、移動時間や空き時間にいろいろな話をする機会があったんです。
僕は今「ウルフの神様」として打ち出していますし、新規のお客さまはほとんどウルフなんですが、アシスタントの頃から既にウルフスタイルを推していました。SNSでもウルフスタイルを発信していた僕に、間嶋はこう言ったんです。
「ウルフじゃ売れないから、やめた方がいい。売れたいなら韓国系とか、もっとメジャーなスタイルを打ち出した方がいいよ。ウルフはオマケくらいにしておきな」

それは否定ではなく、むしろすごく現実的で優しいアドバイスだったと思います。早く売れたいと言っている人間が、当時まだ流行ってもいなかったウルフを軸にするのはリスクが高い。普通に考えれば、王道を選ぶべき状況でした。
でも、その一言で火がついたんです。後にも先にも間嶋の言葉に逆らったことはないのですが、このときだけは違いました。
「だったらウルフで、どこまでいけるか試してみたい」
ただ「好きだからやる」ということではなく、“売上をつくるなら遠回りになるかもしれない道”だと理解した上で、それでもウルフを選ぶと決めました。
王道ではないと分かっていながら選んだ道だからこそ、やり続ける覚悟も持てた。その積み重ねがあって、今ではウルフスタイルで多くのお客さまに支持していただけるようになったのだと思います。
>信じられる人の言葉だけが、人生を動かす。キーマンと選んだ、もう一つの未来