お客さまを想うからこそ、僕は顧客カルテに頼らない -風と雲の美容室 JUNさんの習慣 前編-

お客さまは美容師の技術の幅を知らない

 

 

顧客カルテは、作業の迅速化に役立つものだし、失敗しないための安心材料になると思います。ただ、お客さまに新しい可能性を与えるという意味では足かせになることもあるんです。

 

お客さまは、美容師がどんな技術を持っているのかあまり知りません。たとえば、いつも1色のカラーで染めているお客さまに、「今日は5色にしますか?それとも100色にしますか?」って聞いたら、「え、そんなことできるの?」という話になる。さすがに100色は冗談ですけれど、1色しか使えないと思い込んでいるお客さまもいるわけです。

 

ボブも同じです。前下がりか、前上がりかだけじゃなくて、長さを左右で変えてみますか? 内側刈り上げちゃいますか? とかいろんなことができますよね。だけど、お客さまは意外とそのことを知らないのです。いろんな選択肢があることを知ってもらうことで、お客さまの髪型の可能性が広がっていきます。美容師、お客さまの双方に引き出しが多いほうが、飽きずに良い関係を続けていけると思うんですよね。お客さまは、担当の美容師さんのことは嫌いじゃないけれど、変えてくれないからほかの店に行ってしまう…そんなの悲しいじゃないですか。

 

毎回同じ髪型をつくるだけだったら楽です。だけど、お客さまと初対面のつもりでゼロから考えてみる。もちろん、毎回苦しみますよ。だからこそいいんです。その分、いくつになっても成長し続けることができますから。

 

プロフィール
風と雲の美容室 
代表/JUN(ジュン)

神奈川県出身。高校卒業後、地元小田原の美容室に3年間勤務。半年間のロンドン留学を経てPHASEに入社。ディレクターとしてサロンを牽引するかたわら、雑誌・業界紙の撮影、セミナー講師などさまざまな活動を展開。2016年1月に独立。高円寺に「風と雲の美容室」を立ち上げる。

http://www.kazekumohair.jp

(取材・文/外山  武史  撮影/菊池 麻美)

 

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