湘南発。個室で働く孤高の贅沢を20年謳歌する木村武司。快適に働ける環境を追求して生まれた、街の美容師が集う「集合型個室サロン」とは

 

 

美容師の働き方を根底から揺さぶるムーブメントが、藤沢・湘南エリアでじわじわと進行中。仕掛け人は、藤沢市を中心に12店舗の集合型個室サロンを展開する木村武司(きむらたけし)さん。最大の特徴は、1人1室という明確に区切られた空間。それぞれにシャンプー台とエアコンが設置され、内装を自由にカスタマイズが可能です。木村さん自身も、現役の美容師。20年前に七里ヶ浜の一軒家を改装し、1席のサロンで一人サロン事業『N+1(エヌプラスワン)』をスタートさせました。そんな木村さんの一人サロンに伺い、集合型個室サロンを始めるまでの道のりと具体的な店舗形態について、そして手掛けている内装事業について取材しました。

 


 

気持ちよく働くために必要なのは「自分の部屋」

 

――木村さんは20年前に七里ヶ浜で一人サロンをスタートされたとのことですが、そのきっかけは?

 

僕は湘南で生まれ育ったんですが、最初に務めたサロンが10人ほどのスタッフがいるところだったんですね。毎日ずっと同じ場所で長い時間を過ごすので、気づいたらみんなの会話が同じような話題で、考え方や話し方まで似てきているのを感じたんです。それにものすごく違和感を感じて、26歳で店を辞めました。そこから1年ほど海外を放浪していたんですけど、その間に考えたのが「一人で働けないかな」ということでした。

 

それで帰国後に場所を探し、今のサロン(noan)がある一軒家を見つけました。ここは、もともとサーフショップだったんです。駅から遠いですし、人も歩いていないので美容室は無理だろうなと思っていたんですけど(笑)、ご縁があって始めることにしました。


七里ヶ浜駅から坂道をひたすら歩いて20分で到着。風情のある外観のnoan。

 

――当時はまだ一人サロンが多くない時代でしたが、やってみてどうでしたか?

 

ありがたいことにお客さまには恵まれて、20年快適に働いていますよ。僕は利益追求型ではなく、”平和”が好きなんです。今はストレスが全くないので、それが最高ですね。七里ヶ浜は企業の社長さんもたくさん住んでいますし、経済的にも豊かな方が多くて。

 

顧客は4割が男性です。施術しながらいろんな情報を教えていただいて、それでお金までいただけるなんて、という気持ちですよ(笑)。みんなも一人で自分の部屋を持てばいいのに…と思っていたんですが、一人で店を持つとなると、どうしても駅近などの好立地は難しいじゃないですか。それで考えたのが、集合型個室サロンでした。一人サロンが集まれば、仕入れ効率や集客力、経費削減にもプラスになると考えたんです。





――それを2008年に立ち上げたとは、先見の明ですね。

 

最初は周りから「何それ、よくわからないな」という反応だったんですけど、半年ほどで部屋が埋まって問い合わせが増えていき、12店舗に増えました。ここ10年でフリーランスが増え、シェアサロンが誕生しましたが、僕が経営しているのは完全個室で営業上の制限が一切ないのが特徴です。かといって、完全に独立したフリーランスではなくて、僕の感覚では「自分の部屋を持つ」感覚で働けるサロンです。

 

部屋にはシャンプー台とエアコンがついているだけなので、内装は最初に準備金13万をお渡しして好きなように作ってもらっています。どう使うかは、その人次第。家賃制ではなく、売上や仕入れに応じて還元率も変わってくるので、どのように配分していくかは個々の美容師さんが自分のペースで営業しています。

 

最初の頃は全員を雇用していましたが、今はそうではありません。ただ、気持ちとしては今も“雇っている感覚”なんです(笑)。とはいえ干渉することはなく、こちらから積極的に連絡することもありません。強いて言えば、パートナーとか、親心に近いスタンスですね。





 

>条件は一切なし!「どんな人でも歓迎します」

 

 

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