「美容師、続けられないかも…」 瀬戸際からの復活劇 -BEAUTRIUM 松本美都さん U29次世代美容師-

 

次世代美容師として注目される「U29美容師」のサクセスストーリーから、成長のヒントを「美容師のタマゴ」へお届けする企画「U29次世代美容師」。第16回目はBEAUTRIUM 広尾で、スタイリストデビューを果たしたばかりの松本美都(まつもとみさと)さん。新規集客なし、アシスタントなしで売上をつくるというデビュー前の課題を、サロン史上最高の結果で達成しました。しかし、その裏には美容師人生を左右する大変な出来事もあったそう。今回は松本さんの今に至るまでの軌跡を辿りました。

 


 

数学が得意で理数科へ進学…でも美容師がしたい

 

 

私が小学生のころ、姉は美容専門学生で、家でワインディングの練習をしていたんです。その様子がとても楽しそうに見えたので、私も美容師になりたいと思うようになりました。

 

中学ではバレー部、高校ではサッカー部に所属。髪型は自由じゃないのに、ウルフカットにしたり、パーマをかけたりして楽しんでいましたね。先生からはよく思われなかったかもしれないけれど、髪のこだわりだけは譲れなかったんです。

 

高校時代は担当してくれていた美容師さんに憧れていました。いつもたくさんのお客さまがいて、バリバリ働いている姿がカッコよかったし、話しやすい空間の作り方がすごく上手だったんです。いつか私も、お客さまから頼られ、いろいろな相談をされるような美容師になりたいと考えるようになりました。

 

ちなみに、私は中学時代から数学が好きで、高校は理数科に進学しました。両親や学校の先生からは大学進学を勧められていたんです。とくに両親は姉が美容師を辞めていたこともあり、美容師になることに大反対。仕方がないので、美容師の夢を許してもらえるまで、家出をしたんですよ(笑)。そこまで思い詰めているのなら…ということで美容専門学校に進むことを許してもらいました。

 

200名中6名の狭き門を突破し、ロンドン短期留学

 

 

高校卒業後は関西美容専門学校に入学。親の反対を押しのけて美容師になったこともあり、とにかく一生懸命、目の前の課題に取り組んでいました。授業が始まる前の朝も、放課後も、必ず練習していましたね。

 

専門学校時代の一番の思い出は、校費サスーン留学制度でロンドンに行ったこと。200名中の6名の選抜メンバーに選ばれることができたんです。ロンドン行きはみんなの目標なので、生半可な努力では実現できません。朝、夕の練習はもちろん、帰宅後もウィッグを切っていました。じっとしていられないので、休日も学校に行って練習したんですよ。ロンドンで美容を学びたいという強く願う気持ちと、反対しながらも自分を送り出してくれた両親に結果を出している姿を見せたいという想いがあったので、とにかく必死でしたね。

 

留学中は、片言の英語しか話せないのに、サロンワークを経験させてもらいました。はっきり言って、人の髪を切れるレベルじゃなかったんですが、お金をいただくからには弱音を吐くわけにはいきません。緊張感を味わいながらハサミを入れました。おかげでかなり度胸がついたと思います。

 

ロンドンの人たちはみんなオシャレで、そのファッションセンスには大いに刺激されました。一方で、日本の美容の良さを再確認するきっかけにもなりました。たとえば、シャンプーなど一つひとつのサービスが日本のほうがていねいだし、とてもきめ細かいです。日本の美容のいいところを大切にしたいと思いました。

 

休日返上でモデルハントを頑張ったから、今がある。

 

 

都内で腕を磨きたいと思い、BEAUTRIUMに入社しました。最初の一年目は、自分の至らない点に気づかされてばかりでしたね。「お客さまが何か言いたそうにしていたことに気がつかなかった?」と先輩に注意されるなど、お客さまを喜ばせることができなかったことを反省することが多々ありました。それからは、お客さまの動きを注意深く見て、先回りして行動できるように心がけるようになりましたね。

 

スタイリストデビューまでのカリキュラムは、3年計画になっていました。でも、誰よりも早くサロンにきて、営業後も遅くまで練習をしても、なかなか思うように進みません。大変だったのはモデルハント。技術課題をクリアするには、テーマに合ったモデルさんを見つける必要がありました。髪の長さやカラーに縛りがあるので、休日に渋谷で終電まで粘ったこともあります。

 

しかも、練習会は土曜日の夜だったので、その場に来てくれるように交渉するのも大変でした。土曜日の夜は、モデルさんの予定がすでに埋まっていることも多いからです。「すみません、どうしても土曜日の夜の練習会にきていただきたいんです。よろしくお願いします!」と拝み倒すような感じで、「そこまで言うのなら…」と言っていただいていました。あれを乗り越えたから今があるのだと思います。

 

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