後輩にとってうるさい存在と思われてもいい —オーナーとわたし。女性美容師の右腕物語 ACQUA 小村順子さん

望んだわけじゃない。ただ抗わずに応えてきた先に

 


スタイリストになって雑誌のヘアスタイル撮影やセミナーの依頼をいただくようになった当初はずっと、私でいいのかなと感じていました。そういう環境になってもなお、有名になりたいという気持ちが芽生えてこなかったんです。でも依頼をいただいたからには、いい仕事をしてお返ししたい。そう思って必死に応えると、さらに力量以上のお仕事をいただいて。ありがたいことですが、半年以上お休みがないことも普通でした。楽しいという以上に、とにかく必死な毎日でしたね。

何か大きな力に動かされているような、使命のような、そういうものを感じるようになったのは、そんな目まぐるしい日々を過ごす中でのことでした。望む、望まないに関わらず、この美容の世界に何かやるべきことがあるのかもしれない。美容の神様は、私に何をしろと言っているんだろうって、思うんです。がむしゃらに美容と向き合い続けている理由のひとつに、その答えを探しているというのもあるのかもしれません。


「うるさ方」。そう思われても構いません


今、サロン内での立場は、ディレクターです。役職としてもオーナーたちの次の立場ですし、キャリアも長いので、私が言うことはオーナーの言葉と捉えられる部分もあって、そこはとても気をつけるようにしています。各店には店長もいるので、基本的に現場は店長に任せていて、口を出すところ、出さないところは見極めながらやっています。

でもやっぱり女性だからこそ目が届く部分というのもあるんですよね。そういう部分は、うるさいと思われてもいいので、口を出すようにしています。例えばサロンの掃除にしても、お客さまの気持ちに対しても、女性は男性に比べて細かい部分まで気がつきやすい特性があります。でも私としては性別に関係なく、美容師は細やかで繊細であるべきだと思うんです。だって美容の仕事は、髪の毛1ミリ単位を極めるほどの繊細な仕事。プロの美容師ならば、それ以外の部分にも繊細になれるはずだと思うからです。

スタッフに美容のプロとして育ってもらうために、そういう点を教えるのが私の役割だと思っています。この仕事は人ありき。だからこそうるさいとか、厳しいとか思われても、1人ひとりと本気で向き合って、きちんと指摘するようにしています。

 

>スタッフ教育で絶対に言わない言葉とは?

 

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