ANTI小松利幸さんのびよう道 〜「ガーン…!!」と頭の中で銅鑼(ドラ)が鳴ったあの瞬間から、「パーマを極める人生」が始まった〜 びよう道 vol.30

 

美容室でも待遇や休日が大切と言われる時代。もちろんそれもいいですが、美容人生のどこかで“心も体も美容でいっぱい”という時期があってもよいかもしれません。

 

「びよう道(みち)」は、そんな地道で壮大な鍛錬の道を歩んできた“美容の哲人”に、修業時代に一人前になったと思った瞬間や美容の哲学など、それぞれの美容の道を語っていただく連載企画です。

 

第30回目は、ANTIのBOSS「パーマの魔術師」小松利幸さん。「パーマは髪を痛める」という常識を覆した特許技術、KPM(Komatsu Perm Method)の生みの親です。今回はそんな小松さんの「びよう道」に迫ります。器用なのに伸び悩んでいる美容師さんや、イマイチ本気になりきれてない美容師さんにぜひ読んでほしいインタビューです!

 


 

入社早々、非常識な提案「シャンプーから覚えるのをやめにしませんか?」

 

 

子どものころから造形が得意で、見習いのころから感覚的にカットしてそれなりの髪型をつくることができました。だから、最初に働いた美容室のオーナーに「シャンプーから覚えるのをやめませんか?」って提案したんです。シャンプーから覚えるのが嫌で、少しでも早くカットしたかったからそう言ったんですけど…まあ、型破りな提案ですよね(笑)。

 

「じゃあ、あなた切ってみなさい」とオーナーに言われて、みんなが見守る前で切ることになり、切り終わったら「本当に切れるんだね」と。彫刻のように削るイメージでつくった髪型だから、再現性はなかったかもしれないけど、見たままのカタチをつくることはできたんです。とはいえ、モノゴトには順番があるってことで、その後は教えられたことを一生懸命覚える毎日を過ごしました。

 

 

22歳のころ、最初に勤めていた美容室を辞めて、原宿の美容室に入りました。そこには、「この人のもとでどうしても働きたい」と思えるオーナーがいたんです。でも、問い合わせてみると採用はしていなかった。それでも自分を売り込むために、「指定された日にモデルさんを連れて行ってカットするのでアドバイスしてください」とお願いしたんです。

 

当日は、その美容室のみんなが見る前で、モデルさんの髪をカットしました。カットが終わるとオーナーは一言「君は床屋だね」と。意味が分かりませんでした。「いや、僕は美容師になりたいんです」。

 

「じゃ、もう1回シャンプーしてスタイリングしてくれるかな」と言われて仕上げたら「うーん、君はヘアメイクのほうが合っているかもね」と。「いやいや、僕は美容師をやりたいからここにきているんです」と言うと、「じゃあ、入れてあげるよ」と言われて、希望が叶ったんですよ。

 

まるで漫画のように、頭の中で「ガーン!!」とドラが鳴った

 

 

念願の美容室で働いているのにもかかわらず、初心の勢いも薄れ、漠然と毎日を過ごす無気力な時期を過ごしていたんです。そんなある日の練習会のこと。オーナーに「前髪の毛流れを作るように巻いて見せて」と言われて、「こんな感じでしょ!」と調子よく前髪にロットを巻きました。目線をオーナーに移すと「ダメだな…」と厳しいまなざしで一言。それがあまりにもショックで。本当にね、頭の中でガーン!と銅鑼(ドラ)が鳴り、目の前が霞みました。まさに漫画の世界で見るガーン!です。

 

他のスタッフに対しては「悪くはないか…」と囁くように言ったあと、オーナーが理論的に説明しながら巻くロット構成を見て、感覚だけで巻いていた自分の浅はかな思考に恥ずかしくなりました。頭に血がのぼってトランス状態でしたよ。でも、そのときに「絶対にパーマを極める!」と決めたことで、私の美容バカ人生の始まったんです。

 

 

それからは「今の時代のデザイン、カラーの入れ方、パーマのかけ方、質感、それがなぜ求められているのか。」を常に感じ考えるようになり、、今も毎日考え続けています。

 

ハサミの入れ方で変わる質感やシルエットを考え、カラーの今を創造し、パーマメソッドのKPM(あらゆる髪のダメージにノーダメージで対応出来るパーマメソッド、特許取得)を進化させ、美容を楽しみ、本物を目指しデザインを極めることがポリシーとなりました。

 

>カバンに3冊常備するほどの漫画好きが、漫画から卒業した日

 

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