びよう道 vol.16  Rougy上原 健一さん 〜「感謝」の心が大きな「器」をつくる。順調なときも、逆境に向かうときも、感謝を忘れない。〜

 

美容室でも待遇や休日が大切と言われる時代。もちろんそれも大切ですが、美容人生のどこかで“心も体も美容でいっぱい”という時期があってもよいかもしれません。

 

「びよう道(みち)」は、そんな地道で壮大な鍛錬の道を歩んできた“美容の哲人”に、修業時代に一人前になったと思った瞬間や美容の哲学など、それぞれの美容の道を語っていただく連載企画です。

 

第16回目は、Rougyの代表で、JHAではグランプリ、準グランプリを獲得した実績を持つ上原 健一(うえはら けんいち)さんに、修行時代から大切にしているポリシーや、ヘアデザインの考え方、若い美容師さんへのメッセージを伺いました。

 


 

デビュー前に「上原美容室」を開いていた

 

 

アシスタント時代、カットの試験がなかなか受からなかったことを今も覚えています。とにかく上手くなりたくて、毎日、営業後に4人のモデルさんを連れてきて、練習していたんですよ。シャンプーやカラー、パーマは後輩の子たちに手伝ってもらっていました。自分も上手くなるし、後輩も成長するしで、一石二鳥だったんですよね。一応、3000円とか4000円くらいお金をいただいていたので、いいお小遣いにもなりました。気持ちとしては「上原美容室」のような感じでしたね。カットの練習をするためではあるけれど、自分でサロンを開いて、お客さまを相手に髪を切る緊張感を持ってやっていました。

 

忙しいサロン(HEARTS)に勤めていたので、師匠や先輩たちにじっくり教えてもらう余裕はなかったですね。だから、一生懸命、見て盗むしかない。技術はもちろん、お客さまとの話し方も師匠の真似をしながら身につけていきました。しばらくしてスタイリストになりましたが、自分が美容師として1人前になったと思ったことはないですね。というか、今も自分が1人前だと思っていません。もう48歳ですが、もっと上手くなれると感じているからです。

 

感謝の気持ちがあれば、仕事はきっとうまくいく

 

 

「美容師としてもっと一人前にならないと」とギアをあげた瞬間は、何度かあります。24歳くらいから店長を任され、それから3年くらいたったころ、先輩技術者の売上も超えるほどになっていました。撮影の仕事も多い時は1カ月に20本くらい。そうなるとどうしても店長業務や後輩育成の時間にしわ寄せがきます。そろそろ責任を持って、サロンづくりや教育に力を入れていこうと考えるようになったんです。というのも、それまでは仕事が終わってから、夜な夜なクラブ通いをして遊んでいたんですよ(笑)。夜の遊びは、27歳でキッパリやめて、自分の時間の大部分を仕事に費やすようになりました。

 

 

周りの人たちに対して、感謝を上手く伝えられるようになったのもその頃からです。店長として営業中はリーダーシップをとりますが、日頃から感謝の気持ちを伝えていたからこそ、先輩たちも年下の自分についてきてくれたのだと思います。

 

感謝の気持ちがあると、謙虚に周りの声にも耳を傾けられるようになります。美容師は一生、学び続ける仕事。感謝して受け入れる姿勢は、自分の成長につながります。もちろん、みんなの頑張りがあってのことですが、「もっと一人前にならないと」とギアを上げてから、サロンの人数も増えて、店舗も大きくなりました。

 

お世話になった前職のサロンも、今僕が経営しているRougyも、表参道のど真ん中にあるサロンです。そこで働きたいと考える美容師は、志が高い。有名になりたい、トップになりたい人が集まっています。その中で結果を出す人たちっていうのは、やはり感謝の気持ちを持っているし、仲間に対するリスペクトがあると思うんですよね。サロンのブランドというのも、仲間をリスペクトし合うから生まれるわけで、一人ではつくることができないものだと僕は考えています。

 

>サロンワークでも撮影でも、どこかに自分印を入れたい

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