【siki磯田基徳】店とスタッフを守るために、止まってはいられない!新しいカラージャンルを確立して一躍人気店へと育てた磯田基徳の守り方・攻め方

(本誌リクエストQJ2020冬号からの転載)


29歳で渋谷にsikiをオープンし、ダークなハイトーンという新しいカラージャンルを確立して一躍人気店へと育てた磯田基徳。自然体で飾らない人柄とは裏腹に、業界に変化球を投げ続けるユニークな美容師は、コロナ禍で何を考え、どこに向かうのか。ジェネレーション、待望の登場です。

 

インタビュー動画はこちらからご覧ください!

 


 

守るために攻める

 

 

2019年3月下旬、磯田は業界を率いる錚々たるメンバーと共にパリにいた。ロレアルiNOAギャングのメンバーとして招待を受けたからだ。

 

「本当にすごい顔ぶれでした。でも、みんな意外にも“初めまして”だったりしたみたいで、パリで仲良くなってめちゃくちゃ楽しかったです。夜はテキーラがテーブルにどんどん運ばれてきて、僕は結構飲める方なので飲まされまくりましたよ(笑)」

 

磯田の2019年は絶好調だった。サロンワークをこなしながら年50回を超えるセミナー依頼にも応え、2店舗目となる「factory(ファクトリー)」の出店も決まっていたからだ。今年1月にそれは実現し、経営は追い風に乗っていた。

 

ちょうどその時期、磯田は友達がオープンしたサロンで髪をブリーチしてイメチェンも図った。2020年という新しい年を迎え、経営者としてもやる気に満ちていた頃だ。しかし、その翌月から世界は一変。東京でコロナ感染者が増え、sikiは休業を決めた。

 

「本当に大変でしたね。初めて『自己破産』というキーワードを検索しましたから。もちろん最悪を想定してのことですが、サロンオーナーはみんなそれくらい必死だったと思います。営業するも地獄、しないも地獄という状況下ですから。でも、それによってやることが明確になりました。対面接客というオフラインが遮断されたら、オンラインで収益を出さなきゃいけない」

 

答えはシンプルだった。磯田はその手段として、OEMの開発、オンラインサロン、新業態サロンの出店を考え、すぐに行動に移した。

 

「OEMはコロナ前から動いてはいたんですが、わりとゆっくり動いていたので、一気に加速させて作りました。『Mood(ムード)』というオリジナルのヘアオイルです。8月に完成して、今はすでに全国の美容室でも取り扱ってもらっています」

 

最初に作った1500本は、2カ月で完売。再販しても、瞬く間に完売する人気商品となっている。また、同じ8月に沢井卓也氏(jurk)と始めたヘアキャンプのオンラインサロン「KIDS」も好評で、すでに500名を超える美容師が登録しているという。

 

「新業態サロンは、12月に静岡で仲間と出す『Laundry(ランドリー)』という業務委託サロンです。今はフリーランスという働き方に勢いがありますし、今後の時代を見据えて教育や独立支援サポートをつけた新しい形で運営し、sikiのスタッフにも将来の選択肢のひとつとして与えられたらいいなと思っています。コロナで人口密度の高い都心の弱点が見えたので、地方の出店も視野に入れるようになりましたね」

 

 3月にオープンした埼玉・大宮の『type(タイプ)』はコロナ前から出店が決まっていたものの、2020年にはfactoryを含め、3店舗を出店。まさにピンチをチャンスに変えて進んだ一年だったと言える。

 

「コロナで考え方がだいぶ変わりました。自粛期間中にスタッフへの愛情が増しましたし、可愛いスタッフとsikiを守らなきゃいけないと考えると、綺麗事で終わらせたくない。そのために経営者としてしっかり勉強もしなきゃいけないし、チャレンジもしなきゃいけない。店にお金をしっかり残すことを考えて、競合が多いエリアでどう進んでいくのか、次の展開はどうするのか。ブランド価値を守りつつ新しい場所を攻めたり、オンラインを攻めたり、守るために攻めないといけないところがいっぱいあります。今年いろいろ仕掛けているのは、守るために止まっていられないからです」

 

ウィズコロナでサロン経営をしていく中で、スタッフの健康管理や店内の消毒、予約の取り方は、もちろん徹底して行っている。サロンのサービスや付加価値についてもスタッフ全員で見つめ直し、改善に繋げたそうだ。

 

 

「こんな状況でも来店してくださる理由は、やっぱり髪の毛が綺麗になったりリラックスすることで気持ちがポジティブになれるからだと思うんです。僕らはトリートメントに力を入れているので、そこにフォーカスしてメーカーさんを呼んで勉強会をもう一度やり直しました」

 

ベーシックを疑うとヒントがある、と磯田は言う。そこにチャンスを見出して、いつも行動してきた。

 

「ブレない信念も持っていますけど、僕はとにかく柔軟でありたいというのがあって。正直、最初にsikiを出したときは1店舗でいいと思っていたんです。もともと気の合う仲間とおしゃれな空間でおしゃれなスタイルを作って発信して、お客さまを幸せにして楽しく働ければいいという考え方なので。これは、共同代表の竜も同じ考えです。でも、この僕らが大切にしていることを守りながら動いていたら、自然と仲間が増えて、売上が伸びて、4人でスタートしたのに気づいたら10倍なっていました」

 

やりたいことを守りながら柔軟に動いたら、3年でこれほどの成長を遂げることができた。コロナ禍でも上手に飛べる理由は、風の流れに逆らわず、軸を大切にしながら飛べる方向を探して進み続けているからかもしれない。

 

>竜と小谷さん

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