全国でも珍しい存在! 日本髪にちょんまげも! 地毛とかつらを手がける結髪師―髪結い処 澤田 澤田聖子さん

フリー結髪師の誕生! 日本髪を求める全国各地のお客さまの元へ

 

 

現在は、拠点となる仙台の美容室以外にも、お声がかかれば全国各地で日本髪を結っています。京都に行かずとも、舞妓さんや姫などの格好がしたいという方や、「成人式や結婚式で日本髪ができなかったから、髪を結って撮影したい」と言う方もいます。最近は、結婚式に日本髪をやりたいけどかつらは頭が大きく見えるので、日本髪を結える人を2年間も探していた、という方もいましたね。

 

また、昔の伝手で宝塚など、舞台やドラマのお仕事に携わることも。日本の伝統文化に興味がある外国の方にも、結う工程を実演することもあるので、本当に年齢問わずいろんな方からご依頼があります。

 

おそらく、私のように全国で日本髪を結うフリーの結髪師は少ないのではないでしょうか。結髪師はご高齢の方も多いですし、日々京都の舞妓さんの髪を結わなければならないので、運営する髪結い処を離れるわけにはいきません。

 

私の強みは、京都の髪結い処とかつら屋で伝統文化を覗き、かつらと地髪、両方のメリットとデメリットを上手に組み合わせられること。お客さまが舞妓さんなら舞妓さんだけを担当したり、かつらならかつらだけを結ったりするのが普通なので、そういう面でも珍しい存在だと思います。

 

例えば、自然な形に見えにくいかつらも、「地髪で使う結い方をすれば、自然にみえるんじゃないか」とか、毛量が少なく地髪では結えないときも、「かつらの方法を駆使したらできる」など、いろんな発見を見つけてミックスしています。

 

レースや洋花を飾りつけ、現代風にアレンジした日本髪(hair design/澤田聖子)

 

文献に載っているような古典的な日本髪の習得だけでなく、独自の日本髪を結えるようになり、バリエーションもとても多くなりました。地髪とかつらの結い方をミックスしたオリジナルのアイデアも含めると、だいたい100種類ぐらいあります。

 

伝統的な日本髪をハロウィン風にアレンジしたもの(hair design/澤田聖子)

 

「日本髪」という伝統文化を廃れさせないために。

 

 

日本髪は、日本人にとってとても身近なものでした。江戸時代には、子どもからお年寄りまで、みんなしていたのですから。だから、日本髪はどんな方にも似合うと思うんです。今までは舞妓さんや役者さんの日本髪に携わっていたので、仙台に移ってから「こんなに似合うと思わなかった」というお客さまの声を直に聞けるのは、本当にうれしいことです。

 

振り返ってみると、子どものころから好きなことを見つけられたのがよかったんだと思います。もし、あの大学生の自分に会えるとしたら、「よくあの歳で決意したね」と言いたいです。やっぱり結髪師の技術を学ぶのには時間がかかりますし、若いからできたこともあったと思っています。

 

今後は、私の学んだ技術を志のある人へ繋いでいきたいですし、外国の方も日本髪にすごく興味を持っているので、この文化を世界に発信していきたいという気持ちもあります。

 

一度文化が廃れてから復活するのは本当に難しいこと。だからこそ、この文化が廃れることのないよう、より多くの人に伝えていき、結婚式で日本髪をやってくださる方が多くなるとうれしいですね。

 

 

プロフィール
髪結い処 澤田
結髪師/澤田聖子

岐阜県出身。大学卒業後、京都祇園町の結髪師へ弟子入り。舞妓さんをかかえる美容室に住み込みで修行しながら6年間技術を磨く。その後、かつら業界に9年間従事し、舞台や朝ドラ、映画、時代劇の結髪師となる。現在は、澤田商事株式会社の顧問として国際文化事業部で「髪結い処 澤田」を運営。仙台に拠点を置きながら京都とかつら屋で学んだ技術を独自に組み合わせたテクニックで、国内外で自由に結髪師として活躍する。現在までに約30ヵ国の外国人客が来店。

http://www.nihongamikamiyui.jp

(取材・文/QJナビ編集部 撮影/佐藤 紘一郎)

 

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