美容師人生ラスト1年を迎えて。LIMカンタロウさんの考える、美容師のセミリタイアとは

 

LIM統括ディレクターのカンタロウさんが、2021年末でLIMグループを離れることが発表されました。2022年からはサロンワークを休止し、海外で暮らして自分のペースで活動をしていくとのこと。45歳ながら、日本の美容シーンの第一線を退き、いわば「セミリタイア」を決断したカンタロウさん。その理由や、セミリタイアを実現するに当たって準備してきたこと、今後の展望についてなどを伺いました。キャリアプランについて考える若手美容師さん必見のインタビューです。ぜひご覧ください。

 

インタビュー動画はこちらからご覧ください!

 


 

大好きだからこそ、仕事を趣味に戻したい

 

 

70歳以上の現役で髪を切っている美容師さんって、あんまり見たことないですよね。これだけたくさんの美容師がいるのに、生涯現役でいられるのは今のところ本当に一部の方。だから、自分が70歳になって美容師としてどうなっているかをイメージするのが難しくて。その上で将来を考えたときに、ずっと現場に立って働かなければいけない状況ではなく、ハサミを置いてもいいし、置かなくてもいい。選べる自由を持ちたいとずっと考えてきていたんです。

 

僕は自分の好きなこと、つまり趣味を仕事にして美容師になりました。今このタイミングで、もう一度仕事を趣味に戻してやってみたい。なんのしがらみもなく、自由に。完全にハサミを置くイメージではないんですが、これを僕は美容師の引退だと思っています。予約に追われて、気分が乗らない日でもサロンに行って・・・というのではなく、本当に切りたいときに、切る。例えば釣りに行ったりするのと同じような感覚です。切りたいな、ヘアデザインしたいな、と思ったらふら〜っと切る。

 

自分らしく、楽しく生きるために人生を考えた

 

 

28歳の頃、僕は父親を亡くしています。そのときに強く感じたのは、「人間はいつか死ぬ、だからこそ楽しい人生でありたい」ということ。もちろん、楽しく幸せに生きる手段として美容師を選んだけれど、美容師をするために生きているわけではない。さらに、歳をとったら目が悪くなったり、足腰が悪くなったりして現場に立てなくなってしまうかもしれない。先ほど話した、70歳になったときの美容師としての自分も想像がつかない。だから、50歳くらいで大好きな美容師の仕事を趣味に変え、楽しく生きていくためには、どうしたらいいのか。父の死は、将来を見据えるきっかけになったんです。

 

そこで、30歳から50歳まで20年分の人生設計をしました。50歳で仕事を辞めたら収入がなくなるじゃないですか。自分が80歳まで生きると仮定して、残り30年を生きていくためにはいくら貯めればいいのか、毎月いくら貯金をすればいいのか。逆算して考えていくんですよ。下世話な話かもしれませんが、生きていくためにお金は重要。だからこうした人生設計をしたし、仕事に打ち込むモチベーションにもつながったと思っています。

 

我慢しなければならないこともあったし、やらなきゃいけないことは必死でやってきました。結婚して20年以上経ちますが、家族と暮らしたのは最初の5年だけ。家族はシンガポールに住んでいましたが、僕はあちこち飛び回っているので、会うのは1ヶ月で1週間とか。子供の顔もほとんど見れませんでしたね。犠牲にしてきたものも多かった分、これからはそれを取り返すつもり。いくらお金を積まれても、楽しいことでなければやりません。どんどん自分らしさを大事にして生きていきたい。

 

>セミリタイアの時期を予定より5年ほど早めた理由とは。

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