二十歳の頃、どう過ごしてた? K-two 谷口翠彩さんの二十歳の頃。
─働き始めてからの毎日はいかがでしたか?
当時のK-twoはスタッフが40人くらいいて、本当に忙しかったんですよ。営業時間も今より長くて、最終受付が21時で、終礼と掃除が終わる頃には23時…。次の日の朝もレッスンがあるので8時にはサロンに着いているような毎日で、キツかったというよりは、ほとんど記憶がないっていうのが正直なところです。

基本は朝練がメインでしたが、定休日の前の日は夜練もしていました。それこそ3時、4時くらいまで練習していたんですけど、今思えば、それに付き合ってくれていたスタイリストの先輩ってすごかったんだなあと。だって…絶対に帰りたいですよね(笑)。
なんなら、私はアシスタントの頃から「早く帰りたいな」と思っていましたし、「今日は無理だ」と思ったら早めに切り上げることもありました。ただ、そうするとアシスタントの先輩から「なんで俺が残ってるのにお前が帰るの?」と怒られたりするんですよ。
なんでって言われても、サロンワークだけでもくたくただし、ようやく東京に出てきて、こっちで働いている地元の友達とも会いたいし、帰らせて!と思って、スーッとお店を出ていました。
と言っても家に帰るのではなく、向かう先はクラブ(笑)。先に上京していた地元の友達や、クラブで知り合った人たちと遊ぶのが楽しくて、月曜日の夜は大体毎週行っていたと思います。内田さん(LECO 内田聡一郎さん)なども当時からよくいて、その時のつながりで今でも仲良くしてくれていますね。

─パワフルですね…! レッスンの進みは早い方でしたか?
カラーは好きだったし、パーマを巻くのは得意だったけど、カットはすごく苦手でした。私は左利きなので、右利きの人に教わったことを頭で落とし込んで、左で再現してみてフィードバックをもらう、という工程で技術を学ぶ必要があって。カットは特にそれが大変で、周りよりも少し時間がかかっていたと思います。
ただ、私は「◯歳までに」と期間を区切って具体的に目標を立てるよりも、その都度目の前にあることと向き合い、今を楽しんで生きてきたタイプ。スタイリストから信頼されて仕事を任せてもらうのも楽しかったし、アシスタントという立場でお客さまとお話しするのも好きだったので、焦りはほとんどありませんでした。
─大きな失敗はありましたか?
ものすごく大きい失敗ではないのですが、今でも心に残っている経験があります。
私が入社した頃は、まだシャンプー台の椅子がフラットにならないタイプだったんですね。自分で椅子の高さを調整して、首の部分を倒してシャンプーするのですが、配属されたばかりの頃に、年配のお客さまのシャンプーを任されたんです。
小柄な方だったので、椅子を最大限に倒しても頭がボウルまで届かなくて…。その状態だと、首が台にピッタリついていないから、水が垂れやすくなってしまうんですよね。その結果、シャンプーデビューしたばかりの私は、見事にお客さまの服をびしょびしょにしてしまって。お客さまからものすごく怒られて、かなりへこみました。

その日の営業終わりに、先輩が飲みに連れて行ってくれたんですよ。怒られるのかな?と思いながらついて行ったのですが、一切責められることはなく、その方が大切にしている『気遣い』の話をしてくれて。
例えば、シャンプーするときに「お湯の温度、大丈夫ですか?」と聞いたらお客さまは「大丈夫です」と答えてしまう。でも、「お湯の温度、調整できますがいかがですか?」と聞けば、相手も自分の要望が言いやすくなる、とか。言葉選びひとつで相手を気遣うことができる。失敗を悔やむだけでなく、これからそういうことができるようになることが大切なんだ、という話を聞いて、すごく感銘を受けました。
そのお話を聞けたのも、私が失敗をしてものすごく落ち込んでいたからだと思うと(笑)、失敗したこと自体が良かったとは思わないですが、自分にとってマイナスな出来事ではなかったのかなと思います。
