OL志望の短大生が、2度もJHAグランプリに輝いたわけ

産休明けのJHA準グランプリで目が潤む

  写真5     独身時代は、自由に時間を使って作品創りができました。でも、結婚して、子どもが生まれると自分の時間がほぼなくなります。どんなに忙しくても、17時半に会社を出て、保育園にお迎えにいかなければいけない。お尻の時間が決まっているのでやるしかないんです。   仕事はもちろん頑張りたいけれど、子育てだってすごく頑張りたい。限られた時間のなかで成果を出すために必死でした。作品の仕上がりのイメージを最初に明確にする事で、技術の工程の無駄を省くよう努力しました。通勤時間にクリエーションのアイディアを考えたり、隙間時間も最大限活用しました。   だからこそ、これまでいただいた賞で最もうれしかったのは2013年のJHAの準グランプリ。産休明けで体が本調子ではなく、子供が熱を出すなど想定外の出来事を経ての受賞。その表彰式の壇上では、思わず熱いものこみ上げてきました。私にとっては、独身時代に受賞したグランプリ以上の価値があったからです。   私は今も育児中のため、仕事に費やせる時間が限られています。その中でクリエイションすることは簡単ではないけれど、時間があればいいというものでもないと思います。   資生堂のメンバーを見てみると、原田忠は漫画、計良宏文は音楽にインスパイアされることがあるといいます。みんなに共通しているのは、各々の生活の中にクリエイションのヒントがあるということ。   私の場合は、鳥や蝶々の羽根の色など自然界にあるものを見て、カラーのイメージが湧くこともあります。家事をしているときに、「こんなラインのカットをしたい。どんな色が合うのかな」とふっと思いつくことも。自分らしく暮らしているなかにもヒントはある。これからも仕事と家庭の両方を高める生き方を模索しながら、自分にしかできないクリエイションを続けたいと思います。   写真6  

♦♦♦ 応援メッセージ♦♦♦

女性美容師のみなさん、楽しみながら頑張ろう!

  女性は、結婚・出産・子育てなどでキャリアが中断されたりすることもあり、男性と同じように第一線で活躍し続けるのはなかなか難しいかもしれません。男性と同じ働き方は、体力的にも時間的にも厳しいものがある。JHAの賞を獲得している女性が、男性よりも少ないことなどからもわかると思います。   一方で、女性には仕事と子育て、家事を同時に進める段取り力や、想定外の出来事への対応力もあります。そういう女性ならではの強みを意識しながら、前向きに自分自身が楽しみながら仕事を続けてもらいたいですね。  
プロフィール
資生堂
トップヘア&メーキャップアーティスト/神宮司 芳子(じんぐうじよしこ)

2002年資生堂入社。「マシェリ」などの宣伝広告のヘアメークを手がける他、資生堂美容室のテクニカルディレクターとしてサロンワークにも携わる。美容業界最高峰の賞であるJHA(ジャパンヘアドレッシングアワーズ)でグランプリを2度受賞。ヘアメーキャップスクールSABFAやセミナー講師も務める。ヘアアクセサリーのプロデュースや書籍も出版。著書 『anan特別編集 前髪ヘアカタログ 神宮司芳子のバングメソッド』(マガジンハウス)、などがある。1児の母。

http://hma.shiseidogroup.jp/jinguji/
 

(取材・文/外山 武史  撮影/菊池 麻美)

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