珠実の¥マーク第4回 「なんとなく美容師が楽しくて、 目標や数字を具体的に意識したことがない!」〜相談者・陽己(32)さん

 

珠実:私が陽己さんだったら目標達成のために、数字に向き合ってみます。こちらのサロンは歩合のつき方がとてもシンプルですよね(フリー指名問わず技術売上の10%)。ということは基本給20万から30万までの10万を埋めるためには100万の売り上げが必要ですね。ところで、客単価いくらですか?

陽己:7〜8000円です

珠実:8000円だとしたら、125人毎月担当したい、ということになります。コスプレのための休日を差し引いて、毎週平日が4日、プラス土曜なので、4週あるとしたら平日16〜18日、土曜4〜5日。1日何人担当していけばいいのか計算します。おそらく平日で5~6人、土曜で7~8人くらいかな?

 

 

陽己:すごいです、全然考えたことなくて…!

 

珠実:私はめちゃくちゃ計算して仕事してますよ(笑)。その客数に向かってどう行動していこうか、を考えます。または、客単価が9000円、10000円になっていくだけで全然変わってきますし。写真集の入稿するときみたいに、締め切りを作って考えるんですw

 

陽己:本当そうですね、イベントみたいに期限があると思うと、全然違いまね!

 

珠実:私としては陽己さんはめちゃくちゃ新規呼べると思うんですよね。集客はマッチングだと思っています。コスプレイヤー美容師ってすごく特徴的ですから、しっかり打ち出せばお客さまはかなり増えると思います!

 

 

陽己:珠実さんはロリィタファッションの方を多く担当されてますよね? コツ、とかあるんですか?

 

珠実:私にしかできないツボを抑えるようにしています、ロリィタ系のお客さまは、「いつも美容師さんにわかってもらえない」って思ってるんです。前髪パッツン、姫カット、っていう定番スタイルがあるんですけど、流行っているスタイルではないのですよね。でもそこを「かわいい、やってみよう」って応援して、背中を押す感じです。

 

陽己:へぇ〜それはうれしいですよね、理解してもらえた! ってなります。

 

珠実:リクエストが多いと、技術的にも向上して、いつのまにか「得意分野」になります。そうなると、髪型にも納得してくれるので、しっかり自分のファンになってくれますよ!

 

陽己:私だけにできることってコスプレ…? でもいいんですかね?

 

珠実:すごくいいじゃないですか! コスプレ出勤するとか! あとは女性客を増やしたければ、女性ファンも多い作品にも興味を持つとか。ウィッグをかぶる人にしか提案できない便利な髪型とか。

 

陽己:喜んでくださるならば、やってみます! わたしもファンを増やしたいです!

 

 

珠実:自分の好きなものは、美容師として価値になります。ストレスなく取り組めますし。

 

陽己:外国の人とかも挑戦してみたいです、秋葉原多いんで。

 

珠実:いいですね! コスプレもアニメも、めちゃくちゃ人気が出そう!

 

陽己:はい、ぜひやってみたいと思います。

 

 美容師は、現状の環境に何も不満がない方も多いと思います。毎日充実しているのは素晴らしいことです。そういう方が、いきなり「金、カネ」と言い出すのは気がひけるという気持ちも、わかります。

 

 それでも、私は、特に女性は、「自分の稼ぎ」について意識的であるべきだと思うんです。なぜなら、そうすることで、自分の才能や価値により気づきやすくなるからなんです。

 

ではこのように考えてはいかがでしょうか?

 

 今の環境に満足しているからこそ、取り組めることとして「お店のために」「お客さまのために」、自分にできることを考えなおしてみるんです。考えて、行動したことが誰かの期待に答えられたとき、結果として自分の稼ぎに繋がります。

 

 ロリィタファッションの仕事をいただいたときも、フリーランスになったときも、私はお仕事をいただく「周りの人のために」を考え、行動しました。「これをやればいくらになる」といった、自分のお金のためではなかったのがよかったと思います。

 

 人が好き、美容が好き、な美容師だからこそ、自分以外に「喜んでもらうために」発揮できるパワーは計り知れないです。私たち美容師はお客さまの笑顔が対価になります。その行動1つ1つが自分の価値となり、収入に反映される…と思うと、やはりお金の話は楽しくてポジティブだと思いませんか〜?

 

 

(文/珠実・撮影/菊池麻美)

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