リピート率95%、予約は1年先まで埋まるサロン。奇跡を実現するichiオーナーが語る“業界思考にとらわれない”サロンブランディング論

2017.03.27

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それはまさに「美容」と「美容室」の、新たな価値創造のはじまりでした。今から15年以上も前に“美とライフスタイル”の密接な関係に気づき、「ライフスタイルをデザインする」をコンセプトに掲げた『ichi』。理念はかたちとなり、お客さまに確実に伝わって、現在1年先まで予約が入るサロンに。またリピート率は95%以上という、驚異的な結果を出し続けています。「新しい価値」、「従来の業界思考にとらわれない」と言っても、これまでの常識から抜け出すのはなかなか難しいもの。『ichi』を率いる代表取締役・石井孝治(いしいこうじ)さんは、いったいどのような視点と思考を持ってこの新境地を切り拓いていったのでしょう。彼のクリエイティブなブランディング論に迫ります。

 


 

世の中の役に立たなければ価値を認識してもらえない

 

-ichiのコンセプトは「ライフスタイルをデザインする」ですが、このコンセプトは、どのようにして決めたのですか?

 

僕はこの仕事に携わる以前から、常にものごとを本質から考えるようにしてきました。コンセプトを決めるときもそうで、これからの日本の社会や世界経済の中でどのように生き、価値を創造していくのかというのを考えたのです。どんな仕事をするにしても世の中の役に立たなければ、自分たちを価値として認識してもらえないですから。これからの日本は少子高齢化が進み、シニア層のお客さまが増えていくことが既にわかっていました。その方たちのお役に立つというのが、僕らのミッションだと考えました。もうひとつは「鏡の前がゴールではない」ビューティビジネスをつくりたいという、創業前からの僕の想いです。お客さまにはサロンを出た後、日常の生活の中でも美しくあり続けてほしい。そのお手伝いこそが美容の仕事だと感じていたのです。

 

「ライフスタイル」というキーワードは、どうやって導き出したのでしょうか。

 

先述の要因を考慮していくと、日常の美と健康は絶対に切り離せないことも見えてきました。健康でなければ美しさは手に入れられませんし、またライフスタイルを無視した提案ではお客さまの日常を輝かせられませんよね。『ichi』のコンセプト「ライフスタイルをデザインする」は、このような背景から生まれたのです。

 

今でこそ「ライフスタイル」は美容業だけでなく、時代のキーワードとなっていますが15年前は珍しかったのでは?

 

そうだったと思います。ですが、すでに成熟社会となっていた日本では、価値観が多様化し始めていました。かつてのように誰もが同じ価値観を共有し、流行の波が大きかった時代とは変わっています。価値観が細分化されれば、各分野により専門性の高い人間が必要とされるようになってきます。ライフスタイルにフォーカスした仕事もひとつの分野として出てくるし、需要もあるはず。『ichi』はそこをいち早く形にしていきました。

 

また、価値観の多様化は、今まで関係のなかった者同士がつながる可能性を広げています。異なる分野の専門家同士が「価値観」を軸に理解し合い、ともに新しい仕事を生み出していく。そしてその価値観に共感した利用者が、新しいものを受け入れていく。そういった動きは、すでにさまざまな場所で始まっていますよね。たとえばichiの場合、「ライフスタイルをデザインする」を切り口に、予防医学的な分野にまで踏み込んでいます。以前なら美容と医学はまったくつながりのないものでした。でも今では美と健康は切り離せないという認識、価値観が浸透してきているので、サロンという場で提案することが可能になっているのです。

 

とはいえ今までにないこと、新しいこと、を取り入れるときには注意も必要です。

 

-新しいモノやことを導入する場合に、コンセプトとの整合性がなくならないようにということですか?

 

そうですね。新しい価値をつくろうと思うと、誰もが変わったこと新しいことを考えようとしがちです。でもそこで考えないといけないのは、それがお客さまに認識してもらえるかということです。

 

一般的にお客さまが持っている美容の基準は、これまで行った美容室での経験が基準になっています。だからその基準との差を感じてもらえなければ、どんなに新しいアイデアでもお客さまにスルーされてしまいます。流行っているから新メニューを導入したのに、集客できないというケースは、この理由が大きいと思われます。他にはない価値があり、自分にとって必要だと認識されないとお客さまに支持してもらえないのです。

 

僕は流行かどうかで判断するのではなく、お客さまが「自分にとって必要だ」と認識してくれるかどうか。そしてサロンが長く継続していくために、必要かどうかでジャッジするようにしています。この視点から物事を組み立てていけば、サロンとして何をしたらいいかが見えてくると思います。

 

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>五感を通じてコンセプトを届ける

 

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