業界屈指の “仕掛け人”Lily寺村優太が語る、 美容の未来予測と手がける新天地 ~VR教育、STEKiNAイベント~

SNS時代の先に必要なのは “圧倒的な技術力”。VR教育の先にある、美容の未来とは?

 

 

−寺村さんの第二の仕掛けとして、美容教育にVRを取り入れたとのことですが、そのきっかけは?

 

寺村:以前から、美容師が一人前になるまでの期間が長いことを懸念してまして。下積み時代の期間を短く、かつ現場に活きるスキルを身につけられたらと考えたのがきっかけです。

 

−学生時代も含めると、やはり数年はデビューにかかりますもんね。

 

寺村:そうですね。現状、国家試験をクリアするために2年間学校で勉強した後、入社したサロンのカリキュラムに取り組みます。営業前後で教育をするのが一般的で、とにかく時間がかかるんです。

 

教育するスタイリストからしてみても、アシスタントを3〜4年ほど手塩にかけて育てて、やっと戦力になったと思った矢先にデビュー…また一から別のアシスタントを育て上げないといけません。

 

だったら、最初から即戦力になる人を学生のうちに育て上げられたら、みんながハッピーになるなと。

 

 

−具体的にどんなカリキュラムを考えているんですか?

 

理想としては、仮内定者が決まったら、そのサロンに合わせた教材を用意し、VRを通して学んでもらいます。週一回スタッフからの技術チェックと、定期的にテストを実施して、アシスタントで学ぶことを学生のうちに習得してもらえたらと考えています。

 

学生は入社してすぐ役立つ内容を学べ、企業側もサロンで即戦力となる子を内定者として雇えたら、互いにメリットがありますよね。その結果次第で、初任給が変わったりしたら内定者のモチベーションも上がるかなと。

 

現在その試験として、原宿ベルエポック美容専門学校と、住田美容専門学校の学生さんにご協力いただいています。

 

 

−VRを取り入れることのメリットって、何ですか?

 

寺村:VRならではのメリットは“私の体験(一人称視点)として脳が認識してくれること。普通の映像を見るときは、“私はこの映像の人を見ている”と第三者視点になるので、理解したつもりになってしまう人がほとんどなんです。その中で理解できる人は、「これは、今後の自分に必要だ!」と自分事として見ている人。

 

VRは、ユーザー自ら体を動かして施術のマネができ、360°映像を見渡せることにより能動的なアクションが可能なので、 “体験”として脳が認識します。

 

施術者の目線で撮影をしているので、うまい人の手慣れた技術を自分の体験にできるんです。実際に体験者が実践すると、こちらも驚くほどのスキルで再現しますね。

 

 

−それは、すごい! 学生さんからの食いつきもすごそうですね。

 

寺村:そうですね、生徒を募集するときにただ「VRの授業が体験できます」と募ると、面白がってくる子もいるかなと思いまして…。まずは「5年後の美容の未来予想」というテーマのセミナーを開きました。真面目に取り込んでくれる学生さんをターゲットにするためです。

 

−5年後の美容の未来予想…! 非常に気になります。

 

寺村:僕も含め30歳前後の美容師は、非常に恵まれていた時代です。「雑誌に載る巨匠たちみたいに活躍するには、どうすればいいんだ」と試行錯誤していたところに、SNSが登場し、個人でも発信できるようになりました。

 

でも、今はSNSも飽和状態。現在学生のみなさんは、どう集客やブランディングをすればいいのか…と僕なりに予測したときに、“圧倒的な技術力”をつけたほうがいいと考えました。

 

 

 

−技術力。なんだか根本に戻るイメージですね。

 

寺村:今後はおそらく、AIによる美容師とお客さまのマッチングサービスも増えていきます。時代の流れをよんでも、マッチングサービスが個人発信力より影響力を持つ可能性が高い。

 

その場合、必要になるのが“圧倒的な技術力”なんです。お客さまから「上手い!」と評価されて選ばれる人が、強くなる時代と言いますか…。

 

とはいえ、巨匠たちと比べたら、技術だけでは敵いません。そこで武器になるのが、“若さ”。年齢が近いから寄り添えることや分かり合えるトレンドってあるじゃないですか。10代から20代前半のお客さまを、年齢が近い美容師が担当し、生涯顧客になっていく流れが作れたらベストだと。

学校生活の2年間、VRを通して技術を習得しておけば美容師になったときに圧倒的に強いと話し、立候補をしてくれた学生が参加してくれています。

 

 

−今日は受講者のみなさんもいらっしゃるので、せっかくなので聞きたいのですが。VRの授業を受けてみて、いかがですか?

 

ベルエポック美容専門学校のみなさん : 施術者と同じ視線で手元を見ることができるのがうれしいです。実際に自分がやるときに「こうやって手を動かしてたな」と映像を思い出しながら、やることができます。自分の手が覚えているというか…。一回見ただけでも、実践に活かせました。

 

寺村:うん、本当に毎週うまくなってるよね。想像以上に出来るようになっています。ただ、VRがどんなに優れたツールだとしても“リアル”も大切ですね。

 

授業に入る前、学生みんなに「どういう美容師になりたいの?」って目標を確認しました。すると、全員「激戦区で通用する美容師になりたい」と言っていて。

 

LINEなどで予習復習の報告をチェックしたとき、ちょっとこのペースはやばいなと思い、1回目の授業で「今の練習量では、激戦区では活躍できない」と、率直に伝えました。就職するとやりたくてもやれなくなるから、まだ体力や時間に余裕ある今、やっておいたほうがいいと。

 

そういう話をした次の授業、見違えるほど上達していました。こんな風にVRで確かな技術を伝えながら、コミュニケーションも交えて受講生のモチベーションを高めていけたら本望です。

 

>仕掛け人寺村優太が2020年に実現したいこと。

 

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