人は一度いいものを知ってしまったら、昔には戻れない -バリスタと美容師の関係-

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バリスタが腕を競い合う「ジャパンラテアートチャンピオンシップ」と「ジャパンブリュワーズカップ」のファイナリストの経験があり、都内の「NOZY COFFEE 」2号店、「THE ROASTERY」で活躍している佐藤公倫(さとう こうりん)さん。高品質なコーヒーを提供することによって、上質な時間を提供したいという彼の話には、きっと美容師さんも共感するはず…。ということで、今回はファンもいるイケメンバリスタさんから、世の美容師さんに向けエールをいただきました。

 


 

コーヒー文化をワインのように深いレベルにしたい

 

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僕がコーヒーの世界に惹き込まれたのは、シングルオリジンコーヒーに出会ったことがきっかけです。シングルオリジンコーヒーとは、コーヒー豆の生産国、生産地域、生産処理方法まで明示されていて、一切ブレンドしないコーヒーのこと。これを飲むと、豆によってまったく風味が異なることがわかります。

 

たとえば、同じコスタリカ産のコーヒーでも地域によって味が違うし、同じ地域でも尾根を挟んだり、標高が変わったりするとまた違った味わいになる。

 

みなさんが目にするコーヒー豆は、木になっている実を摘んで、果肉をはがし、なかに入っている種を乾燥させたものですが、この処理方法の違いによる影響もすごく大きいんです。果肉をつけたまま乾かすと糖分が種にうつって甘さが濃厚になり、口当たりがまろやかになります。ちょっと発酵させてから果肉を取り除いて乾燥させると、すごくクリーンでさわやかな味わいになります。

 

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コーヒー豆は、野菜などと同じ農産物だから、「今年のコスタリカ ラ コンチャ農園の豆、いいよね」みたいな話をすることも。豆への火の入り具合、バリスタの淹れ方によっても味が変わるから、コーヒーって本当に奥深いんですよ。そして、一度いいものを知ってしまうと、もう昔の味には戻れません。美容の世界で例えるなら、素晴らしい技術を知ってしまったお客さまの心境と似ているかもしれないですね。

 

会社の仲間たちとは、「コーヒー文化をワインのように深いレベルにしたい」と話しています。ワインはボトルにラベルがついていて、細かくその内容が書いてありますよね。僕らが扱っているコーヒーもそれと同じように、産地や生産者、製法まで明らかにしています。本当に一つひとつ味が違うんです。プロでなくても、飲めばわかります。

 

いいコーヒー豆と高い技術で上質な時間を提供したい

 

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バリスタにもいろんなスタイルがあります。焙煎所のある様なカフェで働いている人もいるし、ラテアート職人のような人もいます。僕らはカジュアルな服装でやらせていただいていますが、barなど大人の社交場的なところではスーツでカッチリ決めてやっている人もいる。みんなそれぞれのスタイルで、それぞれの想いを抱きながらコーヒーをつくっています。

 

僕がバリスタとしていつも胸に置いているのは、高品質なコーヒーを介して、お客さまに上質な時間を提供するということ。ひょっとするとこれは、バリスタ共通の想いかもしれません。

 

バリスタの世界でも、美容師さんたちと同じように競技会があります。僕はジャパン・バリスタ・チャンピオンシップという大会に出場しており、セミファイナルまで勝ち残った経験があります。その後も大会には毎年挑戦を続けてきました。だから、普段お世話になっている美容師さんが、コンテストに出た話を聞くとすごく刺激になるんですよね。

 

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ちなみに、僕が通っているのは三鷹の「ROON」という美容室で、真坂さんという美容師さんにお任せしています。真坂さんとは、もう10年くらいの付き合い。清潔感のある髪型という条件つきではありますが、いつも「好きに切ってください」という具合に、完全に信頼してお任せしています。

 

>同じ技術を磨く職業として思うこと

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