店販売上が2倍に! カラーリピート率と客単価が上がるカラーテク「ゼロテク」とは? ―MINX木俣翔さん

店舗への導入時は、スタッフの反発も大きかった

 

 

導入にあたっては、アリミノのインストラクターと相談しながら進めていきました。インストラクターにサロンで勉強会をしていただいたあと、1ヵ月ほど店内で練習する期間を設け、最後にインストラクターにウィッグを使った施術をチェックしてもらい、それで受かった人がどんどん営業に入っていくようにしました。

 

しかし、最初は若いスタイリストやアシスタントからあまりいい反応がもらえませんでした。ゼロテクよりも普通に塗ったほうが手間が少ないですし、サロンワークとしてもやりやすいので、導入を決めたものの、簡単なベタ塗りに流されやすい雰囲気だったんです。お客さまファーストではなく、働き方ファーストというか…。若いスタッフたちの間で「ゼロテク」が浸透しなかったのは「なぜこれを導入するのか」という本質が伝わらなかったからだと思っています。お客さまのためであることは大前提ですが、それ以外にも、僕はお店の強みを作りたいということも考えていました。そして、なにより、若いスタッフが自信を持ってお客さまに勧められる技術を習得させてあげたかったんです。「ゼロテク」の技術を会得すれば自分の武器としてアプローチできるし、顧客を増やしていけます。そこでスタッフには、「デビューしたときの武器作りとしても『ゼロテク』をやっていきたい」と説いていきました。

 

ただ、その説明に頭では納得はしてもらえるのですが、実際にやっていたかというと、なかなかやらないんですよね。なので、アシスタントの子たちに「ゼロテクでやって」と指示を出したり、僕自身も、どんなに忙しいときでもゼロテクをやり続けたりということを1ヵ月、2ヵ月続けました。すると、サロン全体としてやらざるを得ない空気になるんです。ゼロテクをやってないスタイリストがいたら、あえてその人の隣で施術して、ゼロテクをやるように促したこともありました。初めて導入してから、スタッフ全員がゼロテクをやっているという状況になるまで、結局半年くらいかかりました。

 

既存の「ゼロテク」からMINXの「ゼロテク」へ

 

左手に持っているのがゼロテク専用のコーム。

 

店舗に浸透させるまでには苦労もありましたが、銀座中央通り店で導入してからは、結果が数字としても出はじめました。そして、「会社としてやったほうがいい」という話になり、全店舗に導入されました。現在は、1年目のカリキュラムにしっかり組み込まれているので、カラーに入れるスタッフ全員がゼロテクの技術を会得しています。

 

ゼロテクに必要な道具は、基本的にはコームです。どんなコームでもできますが、塗布量の均一さを意識させたかったので、最初はアリミノの専用コームを使用していました。ただ、ゼロテクに慣れていくと、いろいろと見えてくるものがあったんです。例えば、髪の毛が硬くて立ち上がる人、薬を弾きやすい人、リタッチ幅の広い人の場合、アリミノのコームだと塗布量がのらないので、塗布量がのりやすい隙間の広いコームを使うほうがいい。逆に髪の毛が細くてぺったりしやすい人や、地肌に絶対につけたくない人は、これよりももっと密度の高いコームを使うこともあります。そのほうがテンションがかかるので、立ち上がりもいいし、コーム同士の隙間が狭いので塗布量が少なくて済むんです。

 

 

また、基本的にゼロテクではハケを使わないのですが、表面と顔まわりだけはハケで薬を押さえつけるように塗ることもあります。お客さまによっては「ゼロテクで本当に染まるのか」と心配する方もいらっしゃるからです。とはいえ、頭皮までベッタリ塗ることがいいことだとは思っていないので、お互いの折り合いがつくところで、顔まわりと表面だけはハケで塗るなど、個別で対応しています。

 

導入時は、塗り方を「ゼロテク」「ちょっとゼロテク」「通常のベタ塗り」など、塗り方を選べるようにしていたのですが、「ゼロテク」のほうが頭皮や新生毛のためにはいいということはわかっていますし、もう選んでもらうステージは終わったのかなと思っています。今はもう「MINXのカラー=ゼロテク」という感じで、ほとんどのお客さまにゼロテクで施術をしています。

 

ただ、追加料金を取らないでやっているメニューではあるので、きちんとお客さまに説明をすることがとても大事です。ゼロテクのことを説明しながら塗ると、お客さまも自然と頭皮に意識がいくので、「冷たくない」「沁みない」という声も多く上がってきます。「我慢できるレベルだったから言わなかったけど、実は違和感があった」というお客さまも多いんですよね。

 

MINXがゼロテク導入時に取り入れていた3種類の塗り方。

 

>導入に苦労したゼロテク。果たしてその成果とは…?

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