「飾らないけど、強いもの」とは何か? DaB 山田千恵、Cocoon SAKURA、Hank. 米澤香央里が語る、女性美容師のデザインと生き方−soucutsの庭Vol.10−
女性美容師は、インプットしない?

内田:お三方の場合、人を見て、カウンセリングの仕方までアジャストしているってことですよね。そこは、柔らかい髪をつくれることとも、共通しているのかもしれないですね。「こう切っているけど、やっぱりこう動かそう」とか、その人を見ながら調整していく感じってあるわけでしょ。
どんどん聞いていきたいんですけど、次はインプットとアウトプットについて聞きたくて。さっきの話ともつながるんですが、割と右脳的な話がいろいろある中で、最近僕が問題視しているのが、「可愛いのバランス」が主観的になりすぎて、なぜ可愛いのかを説明できなくなっているケースが多いんじゃないか、ということなんですよね。
米澤:私は、とにかくアウトプットしてからインプットですね。自分自身を空にして、セミナーだったり、スタッフだったりに、どんどん放出していくというか。昔は、自分が思う「可愛いポイント」とか、イメージソースをあまり共有していなかったんですよ。でも、ある方からアドバイスをいただいて、「どんどん出さないと、入れられないよ」って言われて。要するに、出し惜しみするなってことですよね。それからは、自分が今「旬だ」と思うものも、どんどん出しちゃうようにしています。
内田:そっか。「このコンテストのために取っておこう」みたいなことはしないようにしているんだね。確かに、この2年も相当アウトプットしてましたもんね。
米澤:そうですね。でも、やっぱり言われた通りで、出したら入ってくるんだなって思いました。
内田:入ってくるのは、どうやって?
米澤:センスがいいものかどうかは置いておいて、常に入ってくるんですよ。
内田:どうやって?(笑) 自分から入れようとしてるんですか?
米澤:自分が好きなものを、無意識に探してるんだと思います。
内田:例えば最近、「こんなインプットがありました」みたいなものは? どういうものをインプットしているのか気になる。わかりやすく言うと、「映画を観ます」とか。

米澤:わかりやすく言うと、ファッションだったり、アートだったり。でも、それがそのままヘアに変換されるわけではなくて。例えば、どこかに遊びに行って自然を見たときに、「次の撮影で、ここをこういうふうに使えるな」と思ったり。だから、ジャンルはあまり問わないかもしれないですね。「これ使おう」と思ったものは写真を撮って、共有LINEに送るのが日常です。
山田:それぞれなんでしょうね。私も、インプット/アウトプットって、あまり考えてやっていなくて。自動的というか。多分、女性ってそういう人が多くて、男の人のほうが「じゃあ、今これを調べてみよう」って、熱量を持ってやっているイメージ。「インしまーす!」みたいな(笑)。
内田:わかりやすく「インする」のが、もう愚かっていう(笑)。
山田:私も昔は、蔦屋で気になった洋書を買ったりしていました。数ページしか使わないのにもったいないなっていう本が、今も家にありますけど(笑)。でも、雑誌も携帯も、見すぎると情報が多すぎて、何がいいのかわからなくなっちゃうんですよね。だから雑誌を見るときも、パラパラパラっと見て、「あっ」と思った瞬間に頭に焼き付ける感じ。何かを探そう、調べようと構えているわけではなくて、好きなものを見ているうちに自然と入ってくるのかもしれないですね。

SAKURA:結構聞かれるんですけど、これ、難しい質問だなと思っていて。私にとってインプットって、何かを見て情報を得るというより、「今の自分がどう反応するのか」を知る作業なんですよね。だから、何を見るかを決めるよりも、できるだけフラットな状態でいろんなものを見て、「自分は今、どう感じたんだろう」と考える。その反応を知っておくことが大事なのかなと思っています。そうすると、「私は今、こういうことを伝えたかったんだな」と、あとから言葉にできることもある。作品に直接つながるわけではないけど、自分の感情や反応を知っているからこそ、表現するときにも出しやすくなる。だから私にとっては、何を見たかというより、自分がどう反応するかを知ること。そして、とにかくフラットでいることが、インプットするときのルールなのかもしれないです。
内田:なるほど、難しいですね。最近は、コンテストや業界誌でも、「何をイメージソースにして、どういう女性像をつくるのか」ということが結構問われるじゃないですか。僕らも審査員をすることが多いですけど、「じゃあ、あなたはどうしてるんですか?」と聞かれたときに、意外とそういう明確なイメージソースはない、ということなんですかね?
SAKURA:今の自分の感情を表現する、みたいな感覚のほうが大きいかもしれないです。
内田:わかりやすいインプットをしているうちは、まだ浅はかだということですね(笑)。
SAKURA:いやいや、うーん……(笑)。
山田:難しいですよね。
内田:これ、このラジオでもすごく議論になるんですよ。僕はどちらかというと、「いろんなものを見て、学んで、それをアウトプットしようよ」という話をするんですけど、今日のお三方は全然違う話だったので。もしかしたら、そういうことじゃないのかもしれないですね(笑)。
山田:いや、なんでもありじゃないですか?
SAKURA:うん、人それぞれですからね。
内田:でも、どういうものをつくりたいかと考えたときに、完全に無から生まれることって、なくないですか?
山田:ない。
内田:ないですよね。かといって、自分の感情をそのままヘアにするとか、ムードに変換するって、結構難しいと思うんですよ。だから、みなさんのような表現をしたいけど、なかなかできない人にとっては、そこに何があるのかが気になるんだと思うんです。生活の中では、誰だって喜怒哀楽があるし、いろんなことを感じる。でも、そこからどうやって、それを髪の毛に落とし込んでいくのか。そこを、みんな知りたいんだと思うんですよね。

SAKURA:でも、作品となったら、まずモデルさんがいるじゃないですか。だから、そもそも「無」ではないんですよね。「喜怒哀楽」と言うと難しく感じるけど、例えば、明るい光にするのか、少し暗くするのか。そういうことって、今の自分の空気とまったく関係ないわけではないと思うんです。「今の気分だったら、もう少し影があったほうがいいな」とか。そうやって絵面を考えていくことには、つながるんじゃないかな。
内田:作品をつくるとき、SAKURAちゃん自身がそのモードになっているってこと? 「今日はちょっとダウナーだな」とか、「ちょっと怒ってるな」とか。
SAKURA:多少はあるかもしれないです。あとは、自分が大きく反応して「いいな」と思ったドラマとか、何かを見たときの自分の反応もあるのかもしれない。でも、それを見たときに自分がどう感じたか、というほうが大きいんですよね。だから、「これをインプットしました」というより、そのときに自分の中に起きた感情とか感覚を捉えている、というほうが近いかもしれないです。うまく言葉にできないんですけど……。
内田:問題が解決しないなあ(笑)。
山田:ただ、イメージをつくるために、何かしらあるんじゃないの?
内田:ファッションとか見たりするわけでしょ? ファッションに、さらに感情を乗せている感じなのかな。SAKURAになりたい美容師のために、もうちょっと紐解いてくださいよ(笑)。
SAKURA:うーん……。確かに、海外の人の着こなしとか、ファッションはよく見ていると思います。ちょっと今の質問とは違うかもしれないんですけど、以前、作品撮りをしたときに、カメラマンさんから「自分がいいと思うファッションを、自分が身にまとっていなきゃね」って言われたことがあって。当時はまだキャリアも浅かったので、言葉にも説得力がなくて、カメラマンさんに自分のイメージを伝えきれていなかったのかもしれない。その言葉を聞いて、「ああ、なるほどな」と思ったんです。もともとファッションが好きなのもありますけど、自分が好きなものを実際に身につけて、自分自身が着こなしているからこそ、説得力が出ることもあるんじゃないかと思って。作品とまったく同じかはわからないですけど、そういう感覚はあるかもしれないですね。
内田:あ、でも、ほぼ同じことを今日スタッフにも言いました。自分がつくりたいヘアスタイルが、ちゃんと自分の好きなゾーンとリンクしているかって、結構大きいよね、みたいな話をしていて。女性は、そういうところって結構ありますよね。
SAKURA:ありますね。

山田:それでいうと、私もあらゆる髪型を経験してきました。自分でやってみると、「あ、こういうことなんだ」ってわかるし、その髪型に合わせたファッションや洋服とのバランスも、すごく考えるようになる。最終的には落ち着いてもいいと思うんですけど、ずっと同じ髪型でいるより、挑戦できるうちはいろいろやってみたほうがいいんじゃないかなって。ファッションも、実際に経験して知っているのと、調べて知っているのとでは違うし、そこに今の自分をどうミックスするかを考えるのも面白い。そういう意味では、頭の中へのインプットとしても、経験としても、自分でやってみることは大事なのかなと思います。
内田:ヨネちゃんも、ヨネちゃんみたいなお客さんが多そうだもんね?
米澤:そうですね……。よく喋るので、よく喋る方が多いのかな(笑)。やっぱり、自分と似てくるのかなっていうのはありますね。

内田:ファッション観とかは? 最近、髪を切ったと思うんですけど、ヨネちゃんが切った髪型にしたいっていう人も多そう。
米澤:ありますね。もともとボブだったので、今度はミニボブばっかりになったり。女性には絶対にあると思うんですよね。SAKURAさんも、以前バッサリ切られたことがあったじゃないですか。私も理由なく急に髪を切ったことがあったんですけど、めちゃくちゃ楽しくて。「自分も、もっといろいろ変えていかなきゃな」って思ったんです。ファッションも、ずっと同じものが好きというわけではなくて、常に変わっていくんですよね。そのときどきを全力で楽しみたいという気持ちもあって。たぶん、それが作品にも投影されているんだと思います。自分で髪を切ってみて気づいたんですけど、常に自分自身の変化を体感するって、シンプルだけど大事なんだなって。自分の変化をお客さんが見ていたり、そこから何かを感じ取ってくれたりする。そういう、言葉じゃなく感覚で伝わる部分は、女性ならではなのかなと思います。
40代以降の女性美容師は、どうあるべき?

内田:本当に思うのが、40代以降の女性美容師さんって、その人自身が人生を楽しんでいるかどうかで、お客さんの数も全然変わるんだろうなって。自分が納得できるライフスタイルがあって、そこにファッションやヘアがつながっているかどうかで、共感のされ方も変わるんだろうなと思うんです。それをすごく体現されているお三方だと思うんですけど、同世代のリスナーも多いので、40代以降の美容師としての楽しみ方って、どんなことがありますか? リスナーからも質問があったんですが、年代とともに働き方は変わりました?
米澤:私はちょっと人と違っていて。20代は主にヘアメイクの仕事をしていたんですけど、胸を張って何かをできた感覚がなくて。29歳でサロンに入って、業界誌を初めてやらせてもらったのも35歳からなので、相当遅いんですよ。今年44歳になるんですけど、感覚としては全然20代のままというか。むしろ、どんどん美容脳になっていく40代だなと思っています。それは反動もあって、今まで自分が気づけなかったものや、見られていなかったものを、今になって新鮮な気持ちでやっている感覚なんですよね。いろんな幸せの形があると思うんですけど、私の場合は、今は美容だったり、デザインをつくることに没頭していることが幸せなのかもしれない。一方で、Hank.のみんなのそれぞれの色を大事にして、育てていくことも大切にしたい。そのバランスをうまく保たなきゃ、という感じですね。

内田:希少な……(笑)。40代にして、ここからって感じなんだね。
米澤:でも、やっぱりバランスは大事だと思うので。そこが難しいですけどね。
内田:確かに、今の働き方は30代前半くらいに見えますもんね。
米澤:それが楽しいんですよね。
内田:オープニングから入って、ブランドを背負ってやっているというのも大きいよね。
米澤:そうですね。まだ2年なので。
内田:一方、SAKURAちゃんはCocoonのオープニングで入って、もう何年目ですか?
SAKURA:18年になります。
内田:どうです? 何か変化あります?
SAKURA:私、仕事を「楽しい」って、あんまり思ったことがないタイプで。振り返ると「充実していたな」とは思うんですけど、今この瞬間が楽しいかと言われると、ちょっとわからないんですよね(笑)。
一同爆笑
内田:どういう感覚? 見に来てるCocoonのスタッフ、なんとも言えない顔してるけど(笑)。
SAKURA:楽しいって、難しいなって(笑)。でも、なんだろう……。楽しく見せることは大事だと思っているんですよ。例えば、お客さまを担当しているときの充実感は、ちゃんと感じていますし、もちろんプライベートもそう。サロンワークは、やっぱり「楽しい」と思ってもらいたいから、それは大事にしています。でも、自分自身が「楽しい」と感じるかと言われると……。今、お客さまがたくさん来てくださって、こうして仕事ができているのも、20代、30代で頑張ってきたからだと思うんですよね。そう考えると、「今頑張らないと、その先はつくれないな」って思っちゃう。なんか、頑張り癖みたいなものがあるというか(笑)。

内田:頑張り癖(笑)。死ぬほどやってきましたからね……。
SAKURA:でも、以前みたいに「今、とにかく頑張らなきゃ」っていうだけではなくて、お客さまを担当している自分を、少し俯瞰して見られるようになったという違いはあります。だから、楽しくないわけではないんです。でも、「楽しい」っていうのは、きっと後から感じるものなのかもしれない。今はやっぱり、「頑張らなきゃ」って思っちゃうから(笑)。だから、見えているよりも、私はちょっと暗めかもしれないです(笑)。
一同爆笑
内田:(笑)。もうちょっと美容以外のことを充実させたい、という気持ちも強くなっている?
SAKURA:仕事しかしてこなかったな、という気持ちはあります。でも、それがあったから今があるというか。それ自体が、自分の主軸として大事なことなんですよね。だから、今はまだ、どういうバランスがいいのかはわからないです。ただ、「楽しい」とか「嬉しい」と感じる瞬間でいうと、最近スタッフがデビューしたんですけど、そういうときに「こういうふうに伝えてきてよかったな」と思えることの充実感は大きいです。そもそも、自分自身が「これをやりたい」という欲求って、そんなに強くないんですよね。それよりも、頑張っている後輩がいて、「自分もこうだったな」と思ったり、「あのときの自分を見ているようだからこそ、言ってあげたいな」って思うことが、今の自分の充実につながっているのかもしれない。そう考えると、私にとってのライフワークバランスっていうのは、もう少し先の話なのかもしれないですね。
内田:この話は、また別でも聞いてみたいですね。千恵さんはもう、それなりの年数やられてきて、その時代ごとに働き方の変化ってありました? 2人も本当に相談したそうだもんね(笑)。
山田:DaBがオープンしたのは、私が29歳のときで、結婚したのもこの歳。DaBはこの間30周年を迎えて、私自身も61歳になりました。年齢は全然公開して大丈夫なので(笑)。DaBに入ってからは、業界誌や一般誌の撮影をいろいろやらせてもらえるようになって。30歳を過ぎてからなので、そんなに早いスタートではなかったんですけど、自分の好きな女性像をつくれるようになって、楽しくやらせてもらっていました。
30代はバリバリやって、40代も引き続き撮影などをしながら、審査員のような責任のある仕事も増えてきた。人のことを判断する立場になる中で、どちらかというと、人を応援できるような存在でいなきゃいけないという責任感も芽生えましたね。50代もその延長で、今もまだまだやっている、という感じです。
「楽しいか」と聞かれると、まあ、楽しい。でも、楽しい・楽しくないというより、「これが普通」という感覚のほうが近いかも。このリズムが自分にとっての普通で、自然体でやらせてもらっている感じです。逆に、スタッフの良いことも悪いことも含めて、いろいろなことが起きて、ガチャガチャしているときのほうが楽しいかもしれない。大変ですけどね(笑)。それを一つずつ解決したり、新しいことができたりすることが、自分の記憶にも残るんです。ずっと平坦だと、「今年もあっという間だったね」で終わっちゃうじゃないですか。自分自身の変化も大事だけど、周りが動いていくことも、自分にとっては意味のあることなのかなと思います。
30代、40代は旅行にもよく行きました。いろんな場所を見たり、人の動きや人間観察をしたりすることも、自分の中では大事で。いろんな場所に行ったときの自分の感覚って、写真に撮らなくても頭の中に残っているんですよね。その残像を後から楽しむ、みたいな。それが、何かをつくるときに活きてくることもある。さっき、自分が感じたことが表現に出るという話をしましたけど、いろんな国に行った経験や、いろんなものを見てきたことも、きっとつながっていると思うんです。だから、元気があるうちに、そういう時間はいっぱいつくったほうがいいと思います。私は40代が一番いろんなところに行ったかもしれないですね。お金にも少し余裕が出てきて、いいものを食べたり、洋服もちゃんといいものを買ったり。いいものって何なのか、それだけの価値があるものって何なのかを知るためには、自分も稼がなきゃいけない。稼いで、経験する。40代はいろんなことを経験してみるといいんじゃないかなと思います。

内田:40代で、少しペースダウンしようと思ったことは、全くなかったですか?
山田:そうね。30代後半から40代前半くらいは、子どもが欲しいなと思って、少しペースを落とした時期はありました。7年間、結構しつこく通ったんですよ。朝5時に起きたりして。もう、死ぬかと思うくらい辛かった(笑)。でも、そのときにいっぱいお金もかけたから、「もうスッキリ、いいや」って(笑)。DaBには子どもたちがたくさんいるし、愛犬もいるし。逆に、もし子どもがいたら、私、ちゃんと面倒を見られなかったかもしれない。だから、神様がそうやって決めたのかなって、今は思います。振り返ると、それもいい時間だったなって。そういう、その時にしかできない経験って、それぞれの年代にあると思うんですよね。それと、その頃から、体力もすごく重要だなって実感するようになって。ジムに行って、壊れない身体をつくる、みたいな。そうすると、やっぱり元気でいられる。だから40代は、仕事だけじゃなくて、自分自身をちゃんと管理することも大事になってくるのかなと思います。
この後も質問コーナーは続き、それぞれのサロンの名パートナーを交えて、3人の知られざる裏の顔も暴露される…!? 続きはPodcastで!
三者三様の美容師観と、幸せとは

内田:それでは最後に、一言メッセージをお願いします!
米澤:好きなことを仕事にしていること自体を、まず楽しんでほしいです。もちろん、仕事をしていれば、いっぱい喧嘩したり、ぶつかったりすることもあると思う。でも、そうやっていろんなことを経験することで、人に優しくなって、自分には強くなっていく。そして、いい意味で周りを巻き込みながら、最高のデザインだけじゃなく、いろんなものを自分自身で体現できたらいいなと思います。だから、とにかくチャレンジしてほしい。私自身がそういう精神なので。美容師を続けていると、スタッフだけじゃなく、いろんな熱い人たちに出会って話す機会も増えてきて、改めてそう思うんですよね。やりたいことをいっぱいやって、業界全体が盛り上がって、そこから大きな力になって、もっと面白いことができたらいいなって。私はいつも、未来は明るいと思っているので。また呼んでください(笑)。
SAKURA:今の時代って、どうしても人の「いいところ」ばかりが見えがちだと思うんです。でも、今こうやって私が幸せに仕事ができているのは、自分のありのままの姿や、よくないところ、カッコ悪いと思われるかもしれない部分も、たくさん見せてきたからだと思う。そういう部分を見せて、それを理解してくれる人がいる。そのこと自体が、すごく幸せなんですよね。だから、誰かのことが羨ましくなったり、「すごいな」って思ったりすることもいっぱいあると思う。でも、今日聞いてもらった通り、私も闇だらけなので(笑)。それでいいんじゃないかなって。そして、そんな自分のことをわかってくれる人を大事にすることが、きっとその先の幸せにつながっていくんじゃないかなと思っています。
山田:仕事の跳ね返りって、自分の生活がどう変わっていくか、というところにもすごく大きく出ると思うんです。仕事を頑張ってお給料をもらえれば、美味しいものも食べられる。私は美味しいものを食べると、今度は「これ、自分でもつくってみたいな」って思う。真似してみて、でも同じものをつくってもつまらないから、そこに自分なりの手を加えてみる。ヘアでも、私は同じようなことをやっているんですよね。そうやって、いろんな経験を積み重ねながら、自分の中のいろんなものが少しずつ上がっていく。その感覚を、自分自身で感じてほしいなと思います。仕事の成長にも、営業の時間の使い方や売上、クリエイティブなど、いろんな種類がある。生活だって、家の選び方、食事、人との付き合い方……いろんなものがありますよね。そういう一つひとつを重ねて、いい時間をつくっていくことが、素敵な人生につながっていくんじゃないかなと思うんです。だから、美容だけを頑張るということではなくて、自分の時間そのものに、少しずついろんなものをプラスしていく。そんなふうに過ごしていけたらいいんじゃないかなと思います。
内田:この3人で話せることって、今後なかなかないんじゃないかと思っているので、今日は貴重な時間でした。ありがとうございました!
プロフィール

左から:SAKURAさん、山田さん、内田さん、米澤さん
DaB クリエイティブディレクター
山田千恵(やまだ ちえ)
神奈川県出身。住田美容専門学校卒業後、SHIMAに就職。1995年、「DaB」オープニングメンバーとして参加。サロンワークでは中心的なデザイナーとして、また雑誌・広告、業界誌などでヘアメイクとしても活躍。オリジナリティのある作品に定評があり、さまざまなジャンルのアーティストのヘアを手がける。近年はコンテストに審査員として参加し、美容師・美容学生の技術向上に力を入れている。著書に『TOUCH』(髪書房)がある。
Instagram:@chie_chiechin
Cocoon
ディレクター/SAKURA
都内1店舗を経て、2009年にCocoonのオープニングスタッフとして参加。現在はディレクターを務める。VAN氏(Cocoon代表)に師事し、カット技術を一から見直す。髪質や骨格に合わせてヘアスタイルを仕立てるノンブローカットの考え方を軸に、型にはめない独自の視点から作り出されるデザインで、唯一無二のその人らしさや魅力を最大限に引き出す。サロンワークを中心に撮影や国内外でのセミナー、コンテスト審査員など多方面にて活躍中。2022年VAN氏監修のもと、自身の著書『ノンブローカットの教科書』を出版。
Instagram:@sakurakambe
Hank.(ハンク)/アートディレクター
米澤 香央里(よねざわ かおり)
千葉県出身。日本美容専門学校卒、資生堂SABFA卒。都内3店舗、ヘアメイクアシスタントを経て、SYANのオープニングメンバーとして参加。業界誌、アパレルLOOK、セミナー、写真展、アクセサリーブランドを立ち上げなど幅広いフィールドで活躍。2024年春からは、Hank.のアートディレクターに就任。2025年のJHA優秀新人賞を受賞。
Instagram:@kaoriyonezawa_hank
内田聡一郎(うちだそういちろう)
LECO代表/soucutsの庭ホスト
2003年より原宿のサロンでトップディレクターとしてサロンワークをはじめ、一般誌、業界誌、セミナー、ヘアショー、著名人のヘアメイク、商品開発など様々な分野で活躍。2018年 渋谷にLECOをオープン、2020年 セカンドブランドQUQUを、2025年には別ブランドとしてØØnをオープン。現在渋谷1丁目に5店舗を展開。代表として今後一層の活躍が期待されている。著書「自分の見つけ方」(2013年)、「内田流+αカット」(2017年)、「内田本」(2018年)を発売。また、シザーやシザーケースなどのオリジナルプロダクトも発売中。
Instagram:@soucut
(文/富樫聡美 撮影/菊池麻美)