何者でもなかった僕たちは、クリエイションを通じて成長ができた nenenイッシキケンタ×THE STRAMA春宮雅之の「上手くて、かわいくて、響く表現の定義」−soucutsの庭Vol.7−

左から:春宮さん・内田さん・イッシキさん

 

LECO代表・内田聡一郎(うちだそういちろう)さんのPodcast「soucutsの庭」。大御所から同世代、さらには若い世代まで。幅広い層の美容師をゲストに迎え、今考えていること、そして普段はなかなか語られることのない“思考の奥”までを、MCである内田さんがじっくりと引き出していきます。リクエストQJでは、そのPodcastの模様を記事としてお届け中!

今回のゲストは、クリエイションとサロンワークの両軸で活躍するnenen(ネネン)のイッシキケンタさんと、THE STRAMA(ザ ストラマ)の春宮雅之(はるみやまさゆき)さん。二人のクリエイションへの想いやプロセス、サロンワークとの向き合い方まで、とことん語っていただきました! 対談が進むにつれ、一見クールな春宮さんの内に秘めた熱量や負けん気も明らかに。そこをぐいぐい引き出そうとする内田さんにも注目です。

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するとそこは、<span>食器だなと本だな</span>だらけでした。あちこちに、<span>地図や絵</span>がとめ金に引っかけてあります。<br>アリスは通りすがりに、たなの一つからびんを手にとってみました。<span>「マーマレード」</span>というラベルがはってあります。が、空っぽだったので、とてもがっかりしてしまいました。
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内田さんが今一番気になっている2人

 

 

内田:今回のゲストは、僕自身が今すごく注目している若手美容師のお二人です。……若手でもないのか?(笑)。でも僕の中では、若手枠っていうか。実際につくるスタイルの完成度やセンスはもちろん、デザインに対する想いや姿勢みたいなものまで含めて、すごく高いレベルでバランスを取っている二人なんじゃないかなと思っています。まずは自己紹介をお願いします!

 

イッシキ:nenenのイッシキです!

 

春宮:THE STRAMAの春宮です。よろしくお願いします!

 

内田:今日は、リップサービスでもなんでもなくて、今僕が一番気になっているクリエイター兼サロンワーカーのお二人だから来てもらいました。クリエイターでもあり、サロンワーカーでもある。そのちょうどいい間を体現している存在なんじゃないかなと思っていて。僕自身、美容業界のいろんな変遷を見てきましたけど、これから先、こういう美容師がもっと増えたらいいなと思わせてくれる二人なんですよね。なので今日は、根掘り葉掘りお話を聞かせてもらおうと思っています。

今回、ひとつテーマを設けさせてもらいました。ズバリ、「30代のデザイン論」。

副題は、「ポストクリエイティブの現在──上手くて、かわいくて、響く表現の定義」。

ちょっと堅苦しいタイトルなんですけど(笑)、簡単に言うと、二人とも業界誌の仕事なども数多く手がけている中で、どんな想いで作品をつくっているのか。あるいは、今の美容業界やクリエイティブに対して感じていること、物申したいことなんかもあるんじゃないかなと思っていて。今日はたっぷり、ノーカットで、ギリギリのところまで聞いていきたいと思います!

 

イッシキ春宮:よろしくお願いします!(笑)

 

 

内田:まずは2人の出会いから聞いていこうかな。

 

イッシキ:出会ったのは、一昨年くらい前のヘアショーですね。ナプラのドリプラで同じステージに立ったのがきっかけです。ヘアショーって事前の打ち合わせも多いので、その中で自然とコミュニケーションを取るようになって。そこから僕も春宮くんのつくるスタイルをよく見るようになりました。その後、DA(ミルボン主催のコンテスト)で春宮くんが優勝して、「わー!すごいな」と思って、年明けくらいに一緒にご飯に行ったんです。実際に話してみると、クリエイティブに対する熱量だったり、つくっている作品のかっこよさだったり、本当に尊敬できる部分がたくさんあって。今はすごくリスペクトしている存在ですね。

 

春宮:ありがとうございます。

 

内田:イッシキくんの方が年上なんだよね?

 

イッシキ:4つくらい上ですね。

 

内田:後輩にはなるけど、“同志”のような存在ってことだね。それまでは、そんなに絡みがなかったの?

 

イッシキ:全くなかったっす。

 

内田:認識はしてた?

 

春宮:認識は…。

 

イッシキ:うっすらくらいですかね…。

 

内田:じゃあ結構遠い存在だったんだね。そこから一気に接点を持つようになったと。初対面のお互いの印象はどうだった? まずは春宮くんから聞こうかな。

 

春宮:イッシキさんは、デザイン性が高くて、結構尖ったデザインとかもやっていたので、会った時に、「あ、ここまで柔らかい人なんだ」ってびっくりしたのを覚えてます。それと、クリエイションとサロンワークが密接に繋がってる人なんだろうなって感じたのが第一印象でした。

 

イッシキ:春宮くんは、最初のミーティングの段階だと、あまり前に出てくるタイプではないというか、ガンガン主張するタイプではない感じだったんです。けど、掘れば掘るほど、めっちゃフツフツしていて。面白いなっていう印象を受けましたね。

 

内田:二人とも、ベラベラしゃべるタイプには見えないよね。

 

イッシキ:いや、僕は意外としゃべります(笑)。

 

お互いに刺激を受け合うイッシキさんと春宮さん

 

 

内田:あ、そうなんだ(笑)。じゃあドリプラの最初は、イッシキくんが結構話していて、春宮くんは寡黙なタイプだと思っていたけど、蓋を開けてみたら意外と熱いものを持っていた、みたいな感じ?

 

イッシキ:そうですね。チームの中では僕が一番年上だったので、「仕切らなきゃ」っていう感じで動いていたんですけど。でも、当日が近づくにつれて、「あれ、意外とカマしてくるな」って(笑)。もっと引いた感じでデザインしてくるのかなと思っていたんですけど、衣装も含めてすごくて。なんか、「全然勉強してないです」って言いながら、実はめちゃくちゃ勉強していたタイプというか(笑)。

 

内田:手の内は見せてこなかったけど、本番になったら「めちゃくちゃ準備してるじゃん!」みたいな(笑)。

 

イッシキ:本人にそんなつもりはなかったと思うんですけど、僕はそう感じましたね。

 

春宮:そのときは、途中から僕がチームに加わったような形だったんです。それまで皆さんが積み重ねてきたものがあるだろうなと思っていて。まずはその空気や流れを理解してから参加しようと思っていたので、あまり口を出しすぎないようにしていました。

 

内田:二人ともタイプは違うけど、それぞれクリエイティブに取り組んでいて、そこでお互いに刺激を受けたわけだ。それが最初の接点だったんだね。その後、時を経てDAで再会して。

 

イッシキ:そうですね。DAを見て、改めてすごいなと思いました。それまでもずっと春宮くんのサロンワークのスタイルは見ていたんですけど、やっぱり一貫しているんですよね。つくりたいものや表現したいことがブレていない。作品撮りも、その軸の上でずっと続けているので、「一貫しているな」という印象がより強くなりました。

 

内田:それで、「飲みに行こうよ」って?

 

イッシキ:なんでそうなったのか……もう忘れちゃいました(笑)。

 

内田:DAも見にきてたんだもんね。

 

イッシキ:出てました(笑)。一応、壇上にも上がってます。

 

内田:あ、ごめん、そうだ(笑)。じゃあ、一緒に戦ったってこと?

 

イッシキ春宮:一緒に戦いました。

 

イッシキ:それで負けました、僕は。

 

内田:なるほどね(笑)。それでさらに距離が縮まって、「せっかくだし飲みに行こうよ」って。二人で差し飲みしたんだ?

 

春宮:たぶん、その流れだったと思います。

 

内田:どんな話をしたの?

 

春宮:印象に残っているのは、クリエイションの話ですね。共通する考え方もたくさんあったんですけど、イッシキさんはクリエイションをするときに「人を消す」ことを意識していて、僕は逆に「人を消さない」ことを意識している。その違いがあることが、話していてすごく印象に残りました。

 

「人を消す」「人を消さない」

 

 

内田:いきなり面白いテーマが出てきましたね。人を生かすタイプと、言い方は変かもしれないけど、人を消して自分の色を前面に出すタイプ。その違いは、普段二人が発信しているクリエイションを見ていても、なんとなく伝わる気がします。

そんな話も踏まえて、早速今日のテーマに入っていきたいんですけど。

 

僕、このポッドキャストでこれまで何度も、世代ごとのサロンワーク観やヘアデザインに対する考え方、あるいは美容業界におけるクリエイティブ表現について聞いてきたんですよね。その集大成というか、今日はある意味“完結編”だと思っています。

 

もちろんもっと若い世代もいるんですけど、二人は30代前半〜中盤で、業界誌をはじめとしたアウトプットの機会も多い。なおかつ、クリエイションとサロンワークの両方を高いレベルで実践している人だと思うんです。だからこそ、今の美容業界やクリエイティブをどう見ているのかを聞いてみたい。

 

そして、今日のテーマである「上手くて、かわいくて、響く表現」とは何なのか。これは僕自身、ずっと考えてきたことでもあるんです。僕は今40代なんですけど、自分を振り返ると、いわゆるバチバチした尖ったクリエイティブをやって、そこから少しずつ崩していって、SNSが登場して、またそれが循環していって…という流れの中で、僕自身は、今が一番バランスが良いと思ってるんですよ。

2人の今の表現は、意図的なものなのか、それとも自然とたどり着いたものなのか。そのあたりも含めて聞いてみたいなと思っています。

今のポジションや年齢だからこそ持っている、クリエイティブに対するこだわりやポリシーがあれば、ぜひ聞かせてください。じゃあ、年下からいこうか(笑)。

 

春宮:あ、僕からですか。そうですね……。こだわりでいうと、さっきも少しお話しした「人を消さない」ということは、意識的にやっていると思います。僕はクリエイションって、モデルさんありきだと思っていて。その人の骨格だったり、髪質だったり、もともと持っている素材をしっかり生かした上で、自分のクリエイションを乗せていく。そこはこだわってやっているかなと思います。

 

内田:それって、モデルさんの持っているムードに100%合わせて発想するんですか? 髪も衣装も撮影も含めて。そこに自分がやりたいことを乗せる感覚はないの?

 

春宮:今はパーマの撮影をすることが多いので、そもそも自分がやりたいカールスタイルに合うモデルさんを選ばせてもらうんです。だから、その時点である程度、自分の色は自然と入っていると思うんですよね。その上で撮影を組み立てていくので、そこからさらに「自分の色を乗せよう、乗せよう」と意識することは、あまりないかもしれないです。

 

内田:たとえばシーズンの中で、トレンドを作ろうとか、そういうことは考えない?今期はこういうものを推していきたいとか。

 

春宮:正直あんまりなくて。トレンドを作ろうというよりかは、雑誌とかSNSとかいろんなものを見たうえで、自分が一番しっくりくるものを作ろうって感覚でやっています。

 

内田:その“しっくりくる瞬間”って、どうやって判断しているの? 何かが降ってくるような感覚なのかな。あまり決め打ちはしない?

 

春宮:あまり決め打ちはしないですね。それに、予定調和になりすぎるのも違うと思っていて。自分自身がドキッとする瞬間だったり、スタッフがドキッと感じる瞬間だったり、モデルさんがぐっと世界観に入り込む瞬間だったり。そういう現場で生まれる空気感をすごく大切にしています。8割くらいは事前に準備していくんですけど、残りの2割は現場でつくる感覚ですね。その場の臨場感の中で判断していくことを大事にしています。

 

>春宮さん徹底解剖

 

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