18年間続けてきた試行錯誤。組織のために、若い世代へバトンタッチしていく ―10年サロン「SORA」のブランディングストーリー後編

未来 組織成熟期

いい意味で若返りながら、思い切りのある決断をしていく

 

 

7月には、『SORA』表参道店をオープンしました。これもまた、大きな時代の変化を感じていて、新しい流れを創るためです。

 

出店は『SALON & “アンド”』以来なので約4年ぶり。『SORA』としては学芸大学前店以来なので10年ぶりですね。昔はどんどん店を増やしていけば、それが価値や組織力になると思っていました。でも、経営を続けていくうえで、「うちはそうじゃないんだ」と思うようになりました。たくさんお店を出してこだわりを薄めてしまうよりは、自分たちの目の届く範囲でいいデザインや接客を提供していくほうが『SORA』らしいんじゃないかと考えています。

 

そのためには、当たり前ですがやっぱり人を大切にしていかないといけない。一人ひとりが個として強い人材になれば、それだけ組織もたくましくなるはずです。どこに行っても活躍できるような人を、想いを持って育てていきたいですね。

 

スタッフ同士がコミュニケーションを取るために欠かせない新人歓迎会。

 

現在はスタッフが自分のお店を出せるような仕組みも考えています。今は独立がゴールになっていますが、会社内に選択肢があれば辞めなくて済むこともある。それに、そんな風にうちの看板を背負って活躍してくれる子が増えたら、僕たちもうれしいですから。

 

今いる子たちが育っていけば、彼らが会社の中心になっていくでしょう。これからは組織を成熟させるために、経営者の3人から彼らにバトンタッチできる部分も作っていかなくてはいけないと感じています。その中では、思い切りのある決断も必要かもしれません。来年には50歳を迎えますが、自分自身もいい意味で若返りながら経営を続けていきたいですね。

 

 

プロフィール
SORA
オーナー/北原義紀(きたはら よしのり)

1970年大阪府出身。専門学校を卒業後、都内の理容室で約6年間勤務。1年間渡英留学後、都内の美容室で活躍し、2002年に同僚の金子利彦氏、山根栄有氏とともに「SORA」広尾店をオープン。現在は「SORA」を都内で5店舗展開するほか、祐天寺の「SALON & “アンド”」「SALON“アンド”」、レンタル形式のヘアサロン兼アトリエ「ヨハコ」を経営。サロンワークをはじめ、ファッションショー、モード誌、広告撮影、教育を手がける。さらに「キタハラヨシノリプロジェクト」ではサロンプロデュースや商品開発、ハサミの企画開発や海外でのボランティア活動「ハサミノチカラ」など、業界の垣根を超えたさまざまな企画・構想を行うなど、多方面で活動している。

 

(取材・文/小沼理 撮影/河合信幸)

 

 

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