『broocH』と提携した『HAIR』が目指すもの。IT化でこれからのサロンはどう変わる?

 

サロン経営をデータ化し、細かくモニタリング

 

ガラス張りで木々を眺められる広々した店内

 

提携から半年ほどが経ちますが、現在は時間をかけて対話を繰り返しながら、お互いの認識をすり合わせている段階です。基本的には『broocH』のこれまでのやり方を尊重し、日々のサロンワークのやり方に大きく手を加えるようなことはしていません。

 

最初に変えていったのは、事務作業と経営の数字の管理です。事務作業ではこれまで紙の資料で管理するなど手作業が多かったのですが、ITツールを活用してより効率よく、内容によっては自動で行えるようにしました。

 

また、経営の数字は感覚で把握されている面があり、もったいないと感じました。『broocH』には15年分の新規顧客、リピーター、客単価などの情報があり、どこを重視するかという指標もあります。それをより細かくデータ化し、モニタリングできるようにすれば、今後のサロンワークや戦略にしっかり活かしていけると考えたんです。事務作業のIT化は、ただこれまでの作業を減らすだけでなく、経営の数字を細かく把握することにもつながりました。

 

そして経営の数字を明確化して共有したことが、採用についての見直しにもつながりました。2020年春の採用は、実際にこれまでのサロンの成長や人材の成長などの数字を読み解いて、計画的に人数を増やしたんです。

 

美容業界では、アシスタントがスタイリストに成長するまで2〜3年の時間がかかりますよね。さらに、成長する前に辞めてしまう人がいる可能性もあり、その場その場で必要な人数だけを入れているだけでは、常に人材不足の状態になってしまいます。

 

そうならないように、採用はものごとを先読みしながら2年スパンで考えていく必要があるのですが、これは経営の数字をモニタリングしていないと案外難しいものです。つい感覚で運用してしまい、「このタイミングで何人採用すればいいんだっけ?」とわからなくなってしまいますから。そうならないためにも継続してモニタリングしつつ、2年、3年と時間をかけてしっかり改善していくようにしています。

 

今後は『HAIR』のコネクションを通じたカットモデルとのマッチングや、メディアを使った集客などに力を入れていきたいと思っています。企業案件のお仕事なども考えていますね。

 

店舗との提携で、美容の現場のリアルをさらに把握

 

提携によって、『HAIR』としてもさまざまなメリットがありました。その一つが、業界の現場をよく知れるようになったことです。

 

最近であれば新型コロナウイルスの影響がどれだけ出ているのか、ヘアスタイルのトレンドや客単価、リピート率などの変化は、実店舗があるとリアルタイムで感じることができます。『HAIR』も『Lano by HAIR』という実店舗を持っていますが、15年という実績を持つ『broocH』のおかげで情報インプットの精度がさらに上がりました。おかげで今後どんなサービスを作っていけばいいのかもより明確になりましたね。

 

それから、『broocH』と提携して「さすがだな」と思ったのはやはり既存のお客さまの強さです。何があっても離れないような強いファンがたくさんいたり、既存顧客で予約が埋まったりするようなトップスタイリストの方を見たときは、本当にすごいなと思いました。

 

リピート率の高さは「お客さまのカウンセリングがしっかりできているか」「お客さまときちんとコミュニケーションができているか」の2点が重要だと考えています。『broocH』はこのどちらもできているから根強いファンがいるのだと思います。

 

ただ、これだけだと新規顧客を呼んだり、デビューしたてのスタイリストが入客してファンをつけるのは難しいですよね。だからこそ、現在に加えてInstagramやLINEなど、SNSを活用したコミュニケーションを図ることでさらに伸ばしていくことができる。この点は『HAIR』が今後力を入れて取り組んでいきたいところですね。

 

>「IT化」がなぜ求められるか

 

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