【韓国人美容師チェズ<後編>】カツラの概念が壊れる瞬間!それは本物か偽物か?超進化系カツラの制作現場に潜入、マイナス30歳若返るマジックで「もうハゲても大丈夫」

 

#3 一人で受注、制作、納品、営業、アフターケアも!

 

X:見たところ、従業員もいないようですが、チェズさん一人で何から何まで対応できるものなのでしょうか?

 

チェズ:それは、イレギュラーを作らないからです。一定のルールを守って、一律に管理しているので。またカツラご購入後は、長い付き合いになるので、最初に厳選させていただいた分、クレームも少ないです。僕は記憶力がよくて、2、3年ぶりに連絡がきても、ちゃんと覚えているんですよね。過去にどんな話をしたのか、その当時の服装も思い出せます。

 

 

僕の名刺にも書いているのですが、「美現師(びげんし)」という肩書きで商標登録もしました。あえて一人でやっているのは、僕なりのビジョンがあるからです。美容師がもっと稼ぐ手段として、いいスタッフを雇う、店舗を増やすのが常識的な流れだったと思います。でも僕は新しいビジネスの形として実証したいという思いで、「美現師」を名乗っています。失われた美を再現する人、という意味です。美容師がカツラを扱うことで、ここまでビジネスを展開できる、小規模でもできるということを世の中に広めたいと思っています。

手前味噌ですが、僕はカツラのメーカーの中では目立っているらしいんです(苦笑)。一般的な認知度は低いけど、カツラ業界の中では知られているみたいで。「技術を教えてください」とか「あなたのウィッグをうちで販売します」といったお声もたくさんいただきました。でもお金目的な人も集まりやすくて、「いくら儲かるんですか?」なんて聞かれたら僕はイラっとしてしまう。魂を削ってやる仕事でもあるので、僕の世界観とビジネスモデルに共感いただいている方だけを集めて、美現師の仲間を作りたいという思いがあります。

 

 

X:独学でカツラ制作を習得したそうですが、大まかな流れを教えてください。

 

チェズ:こちらのサロンではお客さまのカウンセリングをして、型取りをして、どんなカツラにするか設計まで行っています。型と設計書を海外のカツラ工場に発注し、工場で頭皮に被せる形の土台となるキャップをつくり、その上に人毛で植毛していくという流れです。その植毛の方法もさまざまで、オーダーメイドで設計していく必要があって。パートごとの毛量の量感、額の形など細かく指定した僕の設計書をもとに、カツラ工場の職人さんが植毛していきます。工場からこちらのサロンにカツラが届くのは約2〜3カ月後。長めに植毛された状態のカツラを、実際にお客さまの頭に被せた状態でカットしてデザインします。パーマをかけたり、カラーをすることもあります。

 

 

カツラ制作を始めた頃は、カツラに関する何の知識もなかったので、自分の頭が実験台でした。頭の髪を剃って、型取りをして設計図を作って、これに合わせてカツラを作ってくださいと工場に発注したんです。すると工場側からは「は?なに言ってんの」と跳ね除けられました。「こんなのは作れない」とタライ回しにされて、今、依頼している工場だけが自分のわがままを全部聞いてくれています。

 

いい意味で独学だし、非常識でもあります。カツラ業界に20年、30年いる人が当たり前だと思ってやってきたことを、僕は完全に無視してやっているので、賛否両論の意見があります。カツラ業界では、生え際から11センチの所のにつむじを入れるという、謎の決まりがあるんです。そうすると、つむじが頭の上にきます。ですが弊社では、あえて後頭部に、後ろから見える位置につむじを入れます。それが本来あるべき姿だし、自然だと思うから。生え際の形も指定して作りあげます。本来あるべき姿はこれだよね、というのを忠実に再現する。そこに機能性と耐久性を加えて、一切の妥協なく作っています。

 

 

>#4 美容師の視点で作る。「メイクリアル」はその集大成

 

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