「新規を獲得しなくても安定経営できる方法」―顧客ゼロから出発したサロンが今、「完全会員制」で成功しているわけー

完全会員制サロンは常に新規を必要とする業界へのアンチテーゼ

 

 

完全会員制サロンは、紹介以外の新規を必要としない経営スタイルです。これは常に新規を必要としている美容業界へのアンチテーゼともいえると思います。しかし実際のところ、ホームページもなく、プロモーションもしていないのに40年以上続いている個人サロンは存在します。新規獲得に躍起になるのではなく、今目の前にいるお客さまを最優先に考えているから、お客さまとサロンの切っても切れない関係が育まれるのではないでしょうか。

 

新規獲得のためにかかるコストを、今いるお客さまに使えば満足度も高まります。お客さまのために何ができるのか追求して、全てを注ぐ。もし、それでも失客したらしょうがない。

 

もちろん、完全会員制サロンは簡単につくることはできません。家に帰ってもお手入れしやすいヘアスタイルをつくるカット技術をはじめとする高い「技術」が不可欠。これが信頼につながります。また会員さまへの「想い」を大事にしており、前回話したことやデザインの詳細を細かくカルテに記録し、ご来店をいただく前には暗記できるくらいまでカルテを何度も読み返しています。想いを届けるとはそういった一つ一つの事を丁寧に行う事が大切だと思います。

 

そして「技術」と「想い」に加えて忘れてならないのは「礼儀」です。ご来店時の挨拶をはじめ、イスを倒すときのお声がけなど、すべての所作を丁寧に、心を込めておこなっています。当たり前のことなど一つもないと頭の中ではわかっているのに、人はつい“慣れ”が出て当たり前のことをおろそかにしてしまうもの。そうならないよういつも心に余裕を持ち、感謝の気持ちをもって会員さまと向き合っています。

 

そしてこれらのことは、すべての美容師さんに通じることだと思います。もし、今自分の働き方や、進路に迷っている美容師さんにアドバイスするとしたら、「目の前にあることを大切にしてほしい」と伝えたいです。世の中は大切なものであふれています。

 

 

プロフィール
La Virtueオーナー/増田祐太(ますだゆうた)

長崎県出身。長崎県立長崎美容専門学校卒業後、静岡のサロンに就職。退職後、 VIDAL SASSON COURSE 修得。都内サロンにてDirector、Managerを経験し、麻布十番 La Virtue をオープン。2016年ヘアショー出演、2017年Hair Make SHISEIDO SABFA 64期卒業、2018 La Virtue Academy 設立。完全会員制サロンの経営のみならず、経営コンサルティングもおこなっている。

 

(文/外山  武史  撮影/菊池 麻美)

 

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