美容業界をどうサバイブするか? 歳の差38歳!の二人が語る、これからの美容師のはたらき方

美容師の「こうあるべき」という殻を脱いだら…!

 

左は「GTSS」副社長のオオイケモトキさん。

 

春田:「GTSS」は固定概念にとらわれず、美容師以外の仕事に挑戦することを推奨しているから、他のサロンとはちょっと違いますね。ここだったらデザイナーを兼業することも可能だったかもしれません。

 

おばら: そうですね。私は他のことをやりすぎて、最初のころ、代表の大庭さんに「美容師をもうちょっとがんばってよ」って言われてしまいましたよ(笑)。

でも随分後押ししていただきました。結局は、どんな場所で働くかは、「働き方」への考え方そのものに関わるので、ただ単に「フリーランス」になればいいという話でもない気がします。

 

春田:クルーの中には自分のお店を持ちながら、週数回はここで働いている人もいますね。実家の農業を受け継ぎながら美容師を続けている人もいますよね。

 

「農業教えますよ、畑をシェアしますよ」なんて言ってくれることもあって。すごく魅力的な人が多いです。自分もそうした人たちから、エネルギーをたくさんもらっています。

 

―春田さんとおばらさんほど歳の違う美容師さんが同じ立場で働くことに違和感があったりはしないですか?

 

春田: 年の差としては、親子ほど離れていますが、仕事をする上で、年齢は関係ありません。技術面でも、若い人から教わりたいこともたくさんあります。年齢やスキルに関係なく、尊敬できる人たちとともに仕事ができる土壌があることは、本当にしあわせなことだと思っています。

 

 

おばら: 私は、春田さんのように経験を積んでいらっしゃるベテランの方が、そうして若い人から何かを教わったり、改めて練習をされていることが、本当にすごいことだと感じています。美容師は一生勉強なのだなと上の世代から背中で教えていただいています。やめていく人も多い中、43年も続けていらっしゃるのは、尊敬しています。

 

春田: 他のスタッフから「春さん〇〇してください!」なんて注意されることもありますよ。そうしてなんでも気軽に言い合えることは大事です。

 

美容業界はまだまだ「こうあるべき」という固定概念に縛られていますが、それが果たして何になるのだろうと、この年齢になって思うこともあります。

 

おばらさんの場合も、私の年齢から見ていると一見危なっかしく見えるときもあります。でも、やってみたほうがいいのかなと思います。好きなように動いたほうが絶対に自分のためになるし。おばらさんは失敗を失敗と思わずにそれを糧として突き進んでいける強さと柔軟性がある人。きっとポジティブシンキングなタイプ。

 

おばら:そうですね。

 

春田:またそう言ってしまうところもおばらさんらしさだね(笑)。

 

−今後のご活躍が楽しみですね。

 

 

おばら: 私もいろいろなことに挑戦していますが、最終的に何に本格的に取り組んでいくのかまだ決めていません。美容師はお客さまがゼロになるその瞬間まで続けますが。今は土壌を耕し、タネを蒔く時期だと思って。あと2、3年したら、登る山を決めたいと思っています。

 

春田: 先ほどおばらさんが言ったように、今はシェアオフィスとかシェアファームとか、シェアリングエコノミーの時代です。「自分の城」を持つために借金して店舗を借りて、借金返済のためにがむしゃらに働き、自分が本当にやりた

かったことを見失ってしまうような時代は、もう終わっているのかなと思います。

 

美容師として活動しながらも、いろいろなことにチャレンジし、利益最優先ではない「本当の豊かさ」を享受していく時代にきているのかもしれませんね。

 

プロフィール
春田昭彦(はるた あきひこ)

神奈川県出身。横浜商業高等学校別科美容科卒業。美容師歴43年。59歳。PEEK A BOOを経て、SASHUで長年アートディレクターとして活躍後、青山で開業。2017年よりフリーランス。2018年7月より「GTSS」に参加。長い美容経験から中高年層のお客さまから高い支持を得ている。「シンプル イズ ビューティフル」がモットー

 

プロフィール
おばら 

東京都出身。山野美容専門学校通信課程卒業。美容師歴3年。21歳。18歳のときから美容室で働きはじめ、19歳で原宿の人気サロンに入社。2017年12月より「GTSS」にてフリーランスとして活動開始。「愛される、髪づくり」がモットー。ライターとしても活躍中。

 

(取材・文/揚石圭子 撮影/泉山美代子)

 

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