美容業界をどうサバイブするか? 歳の差38歳!の二人が語る、これからの美容師のはたらき方

 

原宿にあるシェアサロン「GO TODAY SHAiRE SALON(以下GTSS)」で活躍するフリーランス美容師、59歳の春田昭彦さんと21歳のおばらさんの歳の差は38歳。そんなふたりに「フリーランスという働き方」について語り合っていただきました。

「美容師は長く続けられない」と言われるなか、21歳のルーキーと59歳のベテランはこの世界をどう見て、サバイブしているのでしょうか?

 


 

自分の価値観を優先したら…フリーランスしかなかった

 

−美容師歴と、フリーランスになるまでの経緯を教えてください。

 

 

春田:美容師歴は43年。フリーランス歴は2年ほどです。今年の7月に「GTSS」のメインクルーになってから4カ月ほどになります。

 

専門学校を卒業したあと数店舗を経て表参道、原宿の有名店で働き、その後独立してサロンを経営していました。青山と代々木公園に店舗がありましたが、約20数年経ちスタッフも独立して最終的に一人で営業していました。借りていた店舗が広すぎたこともあり、考えた末に世田谷の一軒家を借りてそこを改装して再出発しましたが、3.11の震災の後お客さまも目に見えて減る一方で年齢的にも今後に不安を抱えざるを得ない状況に。一社員として働くほうが身軽で安定するのではないかと思い店をたたみました。

 

その後、表参道の恩師のサロンで働いてみましたが納得できないことも多く、フリーランスという働き方を選びました。

 

しかし、面貸しという特殊な環境に疑問を感じることもあり、どうしようかと考えているときに「GTSS」と出会ったんです。

 

ここで働きたいなと思ったポイントは、かなり年上である自分を快く迎え入れてくれたことと、若い人たちの中に年齢が高い私のお客さまがいらしても違和感をあまり感じなかったこと。半個室でプライバシーが適度に守られているところも魅力でした。

 

 

おばら:私は18歳から美容室で働いています。青山、銀座、原宿の美容室に勤務後、今年の2月からフリーランスとして「GTSS」のメインクルーとなって、9カ月ほどになります。

 

勤めていた美容室をやめた理由は、自分の人生を見つめ直し、自分が大切に思うことを優先しようと決めたから。もともと大好きな美容室で、やめるかどうかかなり悩みましたが、「自分の人生に必要なもの」を書き出し、この先ここで仕事を続けて、それが得られるかどうかを考えた末、もっと違う方法があるのではないかと思い、やめることにしました。

 

春田:人生に必要なことを書き出した、というのはすばらしいね。

 

おばら:はい。めちゃめちゃ真剣でした。人生に必要なことの中には、「大切な人のために時間を使う」というのもありました。ちょうど父の病気が発覚して体調が悪いときで。父はその後数カ月で亡くなったのですが、そのまま勤めていたら、一緒に過ごす時間がつくれなかったと思います。

 

また、父の病気を経験し、改めて、お金がなければ大事な人を守ることもできないのだと痛感したところだったので、「時間」も「収入」も全てが自分次第のフリーランスを選択しようと決意しました。

 

 

キャリア43年にして、「もっと自由に生きていこう」と思えた

 

−実際にフリーランスとして働いてみて、いかがですか?

 

 

おばら:実際にやってみると、「お客さまの髪をカットしてよろこんでもらい、お金をいただく」という部分は、勤めていたときとなんら変わるところがないと思いました。自分の大切なお客さまだけに集中して関わることができるので、勤めていたときよりもかえって働きやすいですね。

 

誰に遠慮することもなく、家族や大事な人のため、自分のやりたいことのために時間を使うこともできます。思いつくがままにのびのびと行動できる環境が、自分には合っていると思います。

 

 

春田:わたしの場合は、ここに来る前から1年ちょっとフリーランスをしていたのですけれど、働く環境の違いは大きいなと感じています。以前面貸ししていただいていた美容室は各々が個人主義的な働き方で、人のお客さまは自分には関係ないという感じが強く、お客さまをお迎えする環境としては、ちょっと問題…という感じが気になっていたんです。

 

それに比較的年齢も近い方が多く、雑誌等で活躍していた過去の自分を知っているスタッフにも余計な気を使われてしまい、そうした雰囲気も窮屈に感じていました。

 

ここのスタッフは20〜40代と若い人たちですが、人によっては「春ちゃん」なんて話しかけてもらえて、それが逆にすごく居心地がいいですね。

 

ぼくは、ここにくるまではボタンダウンシャツにセンターラインの入ったパンツといったスタイルでしたが、ここにきてからちょっと気楽に、Tシャツにジーンズといったラフな服装が多くなりました。

無理に大人ぶったりせずに、ありのままの自分でいることに自由さを感じています。

 

>カレー屋さんとスコーン屋さん?! 美容師だっていろいろやっていいのだ

 

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