LECO代表 内田聡一郎×Hair & Headpiece artist 光崎邦生(後編) 今、君たちが憧れている世界は、君たちが輝く未来にはもう存在しない ーVoicyスペシャル対談 ー

「若いときに憧れた世界は、自分が成長したときにはもう存在しない」(光崎)

 

 

内田:邦生くん自身はクリエイティビティを高めていくために最近特に意識していることはあるの?

 

光崎:タッチアップの重要性を感じている。タッチアップっていうのは撮影のときに、カメラとモデルさんの間に入って、髪を整えること。作品をよりよくしていくためのタッチアップなんだけど。これまではモデルさんの顔に髪がかかってしまったのを直すためとか、納得いかないときにそれを直すとか、どちらかというとちょっとネガティブな感じのタッチアップだった。最近は同じ状態のヘアを、何十枚も撮っても意味がないから、どんどんタッチアップで動かして、よりよくしていったほうがいいと思っていて。タッチアップをすごくポジティブに捉えている。

 

内田:このままでも全然OKだよってところにさらに手を加えていくんだ。

 

光崎:そう。その日のこだわりポイントみたいなものがあるから、空気を読みつつ、どんどんそのこだわりを出していく。

 

内田 :「この人提案してくれるな」っていう空気がさらに次の仕事につながっていくし、自分をアップデートしていくことにつながるよね。

 

光崎:あとは単純に撮影が楽しくなる。

 

内田:ロンドン時代のガンガンやっていた感じと、自分でうまくコントロールできる感じが合わさっているというか。その境地にたどり着いたのはやっぱり経験のおかげなんですかね。

 

光崎:それなりに、40歳になればね。

 

内田:そろそろ時間も迫ってきたので、最後にちょっと紹介したいだけど、今日は邦生くんのアシスタントちゃんがきています。お名前いいですか?

 

 

田中:田中愛子です。

 

内田:今日聞きたいことがあるって聞いています。

 

田中:お二人が人生の中で一番影響を受けた人は誰ですか?

 

内田:僕はベタに親とか絶対に言わないタイプで、もう亡くなった方なんですが、ヴィダルサスーンでディレクターをしたあと、日本でDADA CuBiCというサロンをつくった植村隆博さんに影響を受けました。亡くなる前の美容との向き合い方を見ていて、本当にその「生き様」に刺さるものがあった。「表現者としての美容師って、こんな風に生きていくんだ」と。本当に亡くなる寸前まで仕事をして、強く生きたっていう感じはやっぱり影響を受けています。邦生くんはどうですか?

 

 

光崎:僕は父親ですね。昔からクリエイションっていうものを自然に教わってきて、おもちゃとかも含めてなんでも自分でつくれみたいに言われて育ったので。

 

内田:やっぱり小さい時の体験は強烈だね。

 

光崎:あと最初の美容室でお世話になったS.の植田高史さん。いつもターニングポイントで彼がアドバイスをくれて、TETSUさんを紹介してくれたのも彼だし。TETSUさんからはクリエイティブを教えてもらいました。

 

内田:じゃあ、次、これが本当に最後なんだけど、邦生くんから視聴者への応援メッセージをお願いしたい。特にヘアメイクを目指している子たちに対してエールを送ってほしいんですけど、どうですか。

 

 

光崎:まず早い段階で自分なりに自信をつける何かを探すこと。例えば僕の場合は、ロンドンにいったり、その前もバックパックで旅行したりとか、ある意味自分のバックグラウンドを強引につくることも大事だなと思った。あとは、上の世代の人に好かれる。今の子たちって同じ世代だけで成り立っているから。

 

内田:おぉわかる。老害ウゼーみたいなね。

 

光崎:それだと今後、仕事をしていく上で絶対に成り立たないと思う。上の人に好かれているから自分のクリエーションができる。

 

内田:俺はどっちかっていうと反骨精神の塊みたいな人間だったから、いつか見返してやろうって思っていたけど、今はめちゃくちゃリスペクトしてるもん。長くやっている人はやっぱりすごいなって思うよね。技術もそうだけど人としても。

 

 

光崎:もう一つ伝えたいのは、若いときに憧れている世界って、自分が成長して主体的にクリエイションできるポジションに立ったとき、もう存在しないってこと。その時代にはその時代の先端があって、そこに立つのは自分を信じて突き進んできた人だけ。だから、僕らが若いときに憧れたファッションの世界って、もうないんですよ。ファッション雑誌に憧れてこの世界に入っても、今はもう雑誌は少なくなってきてるわけだし。だからといって、もうやることがないよっていうんじゃなくて、未来に向かって自分で新しいクリエイションを探していく。なので、今若い子たちが憧れている世界は、10年、20年後には存在しないってことを意識してやっていくことも大事かなって思います。

 

内田:ありがとう。まだまだ語り尽くせないね。改めて本日のゲストはアーティストの光崎邦生くんでした!

 

光崎:ありがとうございました。

 

 

 

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プロフィール
LECO代表 内田聡一郎(うちだ そういちろう)

2003年より原宿のサロンでトップディレクターとしてサロンワークをはじめ、一般誌、業界誌、セミナー、ヘアショー、著名人のヘアメイク、商品開発など様々な分野で活躍。
2018年 渋谷にLECOをオープン、2020年 セカンドブランドQUQUをオープン。代表として今後一層の活躍が期待されている。著書「自分の見つけ方」(2013年)、「内田流+αカット」(2017年)、「内田本」(2018年)を発売。また、シザーやシザーケースなどのオリジナルプロダクトも発売中。
2019年12月から若手美容師にエールを送るsoucutsラジオを始動。

【twitter 】@soucuts
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プロフィール
光崎邦生
KUNIO KOHZAKI/Hair & Headpiece artist
Hair salon S. 勤務
Hair stylist TETSUに師事
2006-2010 LONDON
2012-2015 NEW YORK SEE Management所属
2016-TOKYO W management 所属
国内外の広告、ファッション誌、コレクション、ミュージシャン、タレントなどのヘアを手掛ける。

【instagram】kuniokohzaki
https://www.instagram.com/kuniokohzaki/

 

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