Voicyスペシャル対談 LECO代表 内田聡一郎×Hair & Headpiece artist 光崎邦生(前編) LONDON、NY、TOKYO…三都市での挑戦と挫折が稀代のアーティストを育てた

「松竹梅みたいな感じね。俺も新規のお客さんがきたとき3つ提案してる」(内田)

 

 

内田:ところで、邦生くんは今幅広く活躍しているけれど、自分のクリエイティビティと仕事としてやるべきことと、シームレスにつながっているものなの?

 

光崎:あんまりクリエイティブという言葉を意識しないようにしてる。究極的に言えば、ナチュラルもクリエイションだから、どの現場でもクリエイションをしているっていう意識かな。

 

内田:とんがったものをつくる意味合いはどう感じているの? 相手のニーズにフィットさせるのが難しいと思うんだけど。

 

光崎:クライアント広告の仕事は打ち合わせが何回もあって。その最初に方向性を聞いて、ヘアのイメージをして提案するんだけど、クライアントが求めているものと、自分がやりたいこととのギャップが大きいと苦しいんだよね。無理やり入れちゃうと空回り感もあるし。

 

内田:現場の空気も微妙になるしね。

 

光崎:でも何もしなさすぎると、それはそれで肩透かしになるから、いい塩梅で今自分が一番かっこいいなと思っていることを提案している。で、僕はアイディアを3つくらい、ABCプランを持っていく。Aが本命、Bはその反対のアイディアで、ちょっと弱めなのを持っていく。Cはボツ案みたいな。

 

 

内田:松竹梅みたいな感じね。図らずもCになっちゃう場合もあるの?

 

光崎:あるよ。それはそれで相手の好みがわかるからいい。そこから自分なりに膨らませていけるから。

 

内田:3つ提案するっていうのはすごく共感できるなぁ。俺も新規のお客さんがきたとき3つ提案するもん。3つ提案した上で「俺はこれをやりたいけどね」というと、大体それに決まる。

 

光崎:それに近いと思う。

 

内田:たまにさ、「これ、俺じゃなくてもよくね?」っていう依頼がくることもあるじゃん。でも、断ったら二度と俺に依頼がこないだろうなっていうときもあるじゃないですか。そんなときに、ちょっとした味付けをすることも大事だよね。

 

 

光崎:本当にそれが大事。ちょっとした毛先の動きとか表情とか、爪痕って言い方はちょっと違うかもしれないけれど、毎回意識している。神は細部に宿ると思っているから、特に顔周りはめちゃくちゃ意識してつくっているね。

 

内田:それは最初から意識してやっていたことなの?

 

光崎:いや、やっていなかった。強く意識してやっているのは日本に帰ってきてからだね。

 

内田:俺も過度なデザイン性のものをずっとやってきたから、コンサバティブな中で俺らしさを出すのは一番難しい。でもそこにアジャストすることが仕事の力につながっていく。

 

光崎:僕もそう思う。今までナチュラルなものをつくるってときに、置きにいっている感じがあった。求められているものを察してつくるから、自分的に満足しているかと言えば、そんなことはなくて。何が正解かわからない、ゴールが見えない感覚でやるのはキツイよね。

 

>「最近は「切らない」っていう選択も選べるようになった」(内田)

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