「美容師である限り、進化し続けなければならない」胸に刻まれた言葉を自分の力に変えてきたー美容師のコトダマHank.米澤香央里さん―

「そうなっちゃうなら、コンテストに向いてない」

 

 

Hank.をオープンしてから、初めてコンテストに出ました。東京大会は優勝できたんですが、全国大会に進んだ時点で、自分のやりたいことやデザインの方向性が、考えれば考えるほどわからなくなってしまって。自分の中でも、だんだんぐちゃぐちゃになっていったんです。

堀江は、いいと思ったものには「めっちゃいいね!」と全力で言ってくれる人なんです。でも、全国大会の決勝では、何も声をかけられませんでした。それで、自分でも「やっぱりダメだったんだ」と感じて。案の定結果も残せず、すごく落ち込んでしまったんです。その後のサロンワークでも、ずっとそれを引きずっていました。そんな私に対して、堀江は「大丈夫だよ」となぐさめてくれるんじゃないかと期待していたんですよね。でも、実際にかけられたのは、まったく違う言葉でした。

 

「米澤さん、ここ最近おかしいよ。もうコンテストに出なくていいし、セミナーも撮影もやらなくていい。そうなっちゃうなら、向いてないってことだから」。

普段は温和な堀江さんから、初めてかなり厳しい言葉をもらいました。でも、その言葉を聞いて、ふっと我に返ったんです。

 

 

決勝の日、私は思うようなデザインができなくて、結果も出なくて、つらいやら恥ずかしいやらで、フィードバックをもらう余裕もなく、帰ってしまっていました。

でも、コンテストに出るということは、うまくいかないことも、結果が出ないことも、作品を批判されることも含めて受け止めるということ。それを全部引き受ける覚悟がないのなら、出るべきではないんですよね。そこまで含めてコンテストであり、自分が成長するための経験なんだと気づかされました。

 

 

今は審査員をさせてもらう機会も増えましたが、この経験は本当に生きていると思います。勇気を出してフィードバックを求めて来てくれる参加者には、私も100パーセント以上の力と言葉で応えたい。コンテストで結果をつかめるのは、ほんの一握りです。でも、結果だけがすべてではないんです。「自分の記憶に残る作品や、その後の自分の力になる作品をつくっていけばいいんだよ」と伝えられるようになりました。そう思えるようになったのは、あの時、堀江さんから厳しい言葉をもらったからだと思います。

 

写真からわかるぐらいに女性像を作る

 

 

あるコンテストに出場した時、審査員の一人が尊敬するメイクアップアーティストの方だったんです。その大会は審査員と話せる機会があって、受賞発表前にフィードバックをもらいに行きました。私が作ったのはパーマヘアの外国人モデルさんにブルーのファッション、メイクは目頭だけにブルーのシャドウを入れるというスタイル。それを見た審査員は、「まとまっているけれど、一回この女性像を壊した方がいい」と言ったんです。「この女性がどうしてブルーの服を着たかったのか、どうしてアイメイクをブルーにしたかったのか、どうしてパーマスタイルなのか。それが写真から伝わるぐらいにする。そうしたらそれが目に止まるきっかけになるから」と言われました。

 

 

それを聞いてからの作品撮りはかなり変化しました。まずモデルさんがどんなバックボーンを持っていて、どんな趣味があって、どんなことが好きかを知ることから始めます。そこから、この人にこういう要素を加えてみたらどうだろう、と試行錯誤していくんです。そこから新しい女性像を生み出していく。さらにモデルさんにも、自分がどんな女性像を目指しているか丁寧に伝えるようになりました。そうすることでモデルさんはただの被写体でなく、一緒に表現する人になってくれるんです。

モデルとの対話では、自分が何を表現したいのかを言語化する必要があります。ビジュアルをつくる以前に、自分の思い描く世界をきちんと伝わるようにすることが、いい作品を作る鍵になっていることに気付かされた言葉でした。

 

>おばあちゃんになっても切って欲しい

 

Related Contents 関連コンテンツ

Guidance 転職ガイド

Ranking ランキング